劇場公開日 2011年2月5日

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「最善を尽くすことの重みは感じるが…」ジーン・ワルツ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5最善を尽くすことの重みは感じるが…

2011年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

「チームバチスタの栄光」や「ジェネラル・ルージュの凱旋」に比べると、舞台となる病院が小さく、スケールも小さくなってしまったのはやむを得ずといったところか。
それでも海堂尊の作品らしく、現代医療が抱える問題の提起はしっかり行われている。
まず冒頭の産科医逮捕事件は福島で実際にあった事件がモデルと思われる。産婦が帝王切開手術中に死亡し、医療ミスとして逮捕、裁判、報道されたが、現在は“医療ミス事件”ではなく“医師逮捕事件”となっており、逮捕そのものが間違いだったという判断がされている。
完全な予測が不可能な医療に於いて、医療ミスか否かを問う基準だけを設ける前例を作ってしまうと、だれも医師になる人がいなくなってしまう。そうした現実を導入線に据え、日本では基本認められていない代理母問題に触れていく。
ここでも代理母の是非を問うのではなく、自分の子供がほしいと思う人のことを考えることが大事であると謳うに留まっている。この点は、通常妊娠の患者に対しても同じ気持ちで接することが基本だと訴えているのではないか。
なんの仕事でも同じで、相手の気持ちになって処理できているかが問われるべきであって、そこがミスか偶発的なものかの分岐点になるような気がする。
最善を尽くすことの重みは裁判の判決に関係なく自分自身が納得できる。

映画的には・・・
観た映画館がスクリーン上部のピントが甘くはっきりは言えないが、少し前ピンが多いように思う。それにプリント状態が最悪。粒子が粗く、ハイライトが飛んでいた。
菅野美穂が少し構えすぎ。
ラスト、浅丘ルリ子演じる茉莉亜は、まさにマリアさまのようだった。
いったい理恵はどんなところに住んでるんだよってなロケーションに首を傾げる。
全体にTVの2時間ドラマの枠を出ない安っぽさ。

マスター@だんだん