「繊細なテーマに笑いのセンスが光る」恋するベーカリー マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
繊細なテーマに笑いのセンスが光る
離婚という作業はかなりのエネルギーを要する。これが通常の再婚ならまだしも、元の鞘に収まるとなると並大抵のことではないだろう。本人同士がよくても、周りが動揺する場合があるからだ。本作は、そんな当事者の心の揺れを描いた作品だ。
考えられるのは、男はこの映画のように行け行けムードになるだろうな、きっと。
対する女性は、心の葛藤に悩まされるのだと思う。そして家族は、離婚と再婚、両方に振り回される。
復活するバラ色の恋と、同じ過ちを犯す危惧とに揺れ動く女心をメリル・ストリープが好演。脳天気な元夫をアレック・ボールドウィンが愛嬌たっぷりに演じる。
このふたりの間に割って入るのだが、微妙な立場に終始するマジメな設計士を目立ち過ぎずに演じたスティーブ・マーティンも巧い。
実は重くて繊細なテーマを3人の演技力に預け、数々の手作り料理が並ぶ明るい食卓を軸に据えた、笑いのある娯楽作に仕上げた演出が冴える。
ハンス・ジマーらしからぬ音楽はヘイター・ペレイラによるものか? いずれにせよ、サンタ・バーバラの美しい風景によく似合う。
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マスター@だんだんさんのコメント
2010年2月28日
女性は強いですよ。男に比べて信念があるのかもしれません。ダメったら絶対ダメですからね。
男ときたら、パーティーのシーンのように、間に割って入ってきた男(建築士)を殺意のあるような目で睨みつけるしか脳がないんですから情けない。
元の鞘に収まりたいという心境は分かりませんが、そう簡単にはいかないところもあるんだと納得しました。