ヤギと男と男と壁とのレビュー・感想・評価
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ハリウッド映画の懐の深さ
この豪華俳優陣が、大真面目にふざけているところが何と言っても贅沢だ。
ジョン・ロンスンのベストセラー・ノンフィクション「実録・アメリカ超能力部隊」をベースに
したコメディ。
極秘部隊「新地球軍」のアホらしさと大真面目さが絶妙なバランスで笑いを誘う。
ハリウッドスターがこぞって出演するハリウッド異色作。
こういうキャスティングができるところにアメリカ映画の懐の深さを感じる。
バカバカしいけど大まじめ
サイキックを盲信している人たちの滑稽話なのだが、60年代のベトナム戦争への介入、90年代の湾岸戦争、03年のイラク侵攻など、アメリカがやってきたことを否定する風刺に溢れている。
劇中、「フランスでよく使われる単語は?」の問いに「降参」と答えるシーンがあるが、これは、この映画を甘く見るなよ、はっきりその方向性を投げかけている。
白人から見たら、異なる人種は、皆、ヤギのように顔が長くて何を考えているのか解らない表情に見えるかもしれない。だが、そのヤギにもヤギなりの考え方があるだろうに、そのノドを潰して何も訴えることさえ許さないやり方ってどーよと猛省しているのだ。
だが、この作品、前面に出るのはおバカな行動ばかり。しかも何かが起きると期待させながら、結局は何も起こらず進んでいく。じゃ、何をどう楽しめばいいのさっていうと・・・それはキャスティングにほかならない。
ジョージ・クルーニー・・・なにもイラクの砂漠にまでコロコロ(スーツ・ケース)を持ってくることはないだろう。ひょっとしてマイレージ・カードも持ってきた? しかも、自分だけシート・ベルトして事故ってるし・・・。
ジェフ・ブリッジス・・・カントリー&ウエスタンのヒット・メーカーとして返り咲いたんじゃなかったの? 若い彼女(マギー・ギレンホール)にフラれて、いまどきヒッピーってか?
ユアン・マクレガー・・・「僕にもジェダイの資質があるんですか?」なんてトボけたこと言ってるし。無限に広がる砂漠の彼方(far away)なんかじゃなく、far far awayで、ダース・ベイダーと渡り合えるほどのジェダイ・マスターだったじゃないですか、忘れたの?
ケヴィン・スペイシー・・・「交渉人」でも「ラスベガスをぶっつぶせ」でも、いつも貴方は冷静で頭脳明晰でした。それが何を血迷ったのか、意味不明の人体実験の数々。貴方の祖先はまさかヒトラー?
スティーヴン・ラング・・・超能力の存在を信じて疑わない瞳のきらきら光線はジョージ・クルーニーより数倍も素敵でした。なのに、あなたの未来の子孫は、地球から遙か遠く、パンドラという衛星で、原住民ナヴィを無差別攻撃する暴挙に出るのです。どこでDNAが狂ったのでしょうね?
・・・なんて観ていると、とくに何もなくても、なかなかに楽しめる不思議な映画なのです。ロルフ・ケントの音楽がまたすっトボけていい味を出してる。
*シュール
ベトナム戦争の時にアメリカに実在した エリート超能力部隊を描いたコメディー映画ですが、どこまでが事実で どこからがフィクションになってるのか 検討もつかないほどおバカ(爆!) それを真面目に演じてくれるところが、笑えました。
ジョージ・クルーニー演じる 元特殊部隊と、ユアン・マクレガー演じる ジャーナリストの絡みを中心に ストーリーが展開します。 ジョージがユアンに対して「俺はジェダイ・ウォーリアーなんだ」と告白する部分は、ユアンの 『スター・ウォーズ』のイメージも重なってかなり笑えました。ジョージの車の上でヨガ・シーンも、プレビューで観てたけどまた笑えたし。
その他の俳優さんたちも、“その歳で”よくこんな映画に付き合ったもんだと感心するほど名演技でした。特にケビン・スペイシー、計算高いアホの役が面白かったです。
あと、壁と闘う将軍役のスティーブン・ラングは、『アバター』の暴れる大佐役でも大活躍してましたね。壁に向かって(通れると思って)走りこむってのは、いくら演技とはいえ勇気がいったと思います、エライ(賞賛☆)
事実かどうかは別として、【シュールな笑い】を欲してる方にお勧めの一本。
*シュール…現在の日本では、奇抜で難解なギャグや絵を表現したり、不思議な性格の人を形容したり、不可解な状況に置かれた際に使用される。 単に 現実離れしているだけでなく、現実を皮肉った、シニカルなものを指すことも多い。
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