告白(2010)のレビュー・感想・評価
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奇跡
予告動画を見ると、たった数分なのにあまりにも衝撃的で
観るまでに15年もの時が経過していた
最初の30分
激しい苦しみが胸をえぐる もうこれで終わってくれと思った
怖かったのは生徒達
まだ未熟な物差しで、友人や先生、親達の審判となりジャッジする
そして自分のことは棚に上げて感情のまま実際に行動に移す
集団で行うことで、その罪の重さを感じない……
恐ろしいのは親達
我が子可愛さあまりに、他人の言うことが耳に入らず溺愛してしまう
それは子供への愛ではなく、自己愛にすぎない
でも、最も恐ろしいのは、そうなるように仕向けた国である
分断! 無力! 攻撃!
世界に類を見ないほど教員を多忙にし思考力を奪う
偏った教科書で教える内容も限定し強制する
ストレスの溜まった教員の残虐な事件をことさら取り上げ
親の教員に対する信頼を地に落とし、分断へ
勿論、子供も追随する
パワハラ・セクハラを浸透させ、教員から躾の場と力を奪うだけでなく
少年法の改正によって子供第一主義を徹底
銃を取り上げられた警官や、攻撃されないと反撃できない自衛隊と同じ
我が子の言うことだけを信じ
教員には人権さえないかのような攻撃的な言動の数々も当然のごとく許され、
それらはSNS時代に加速度を増す
という思いを巡らしていた
が、しかし その続きには、唖然とした 戦慄が走った
人をあやめることを何とも思わない生徒が、1クラスに2人もいたなんて!!
薬を集める女子生徒、そして、
屋上でいじめを繰り返しておきながら人には「お前、反省してないだろ」と罵る奴も
いじめることに正義感さえ感じている輩も
極めつけは、悠子の真の復讐★ でも・・・
見終わった時に、なぜかスッキリしてしまう自分もいた
こんな日本で、子供がまともに成長したら奇跡に近い
宝くじが連続で当たるよりも凄い
やはり結論は、最も恐ろしいのは、そうなるように仕向けた国である
PS 幼い頃の芦田愛菜が可愛い!
木村佳乃はいつも冷徹な役ばかりで、そのイメージが固定されてしまった
松たか子
松たか子の演技が好きです。だから観れました。未完成な思春期の危うさがリアルに描写されていて、その点では面白いと思います。映画として面白いかと言われれば…(?)ですかね。
内容は、救いの無い話。子を持つ親としては、劇中の松たか子の行動に理解してしまう自分がいます。
やるせない気持ちになりました。。。
『8番出口』の公開予告番組を見ていたところ、川村元気監督が過去に企画として携わった作品として紹介され面白そうだったのと、公開当時話題になっていたことがなんとなく思い出されて観てみることにしました。
主演の松たか子さんとの出会いは、大好きなシリーズでDVDボックスも買い揃えているドラマ『古畑任三郎』でした。山城新伍さんが犯人ゲストの回でその娘さん役で初々しい演技を見せてくれましたが、若いのに存在感のある人だなあと思ったら後に松本白鸚さんの娘さんだと知りなるほどと思った次第です。
『告白』というタイトル通りひとつの事件に関係者ひとりひとりが告白していくスタイルのシンプル具合に序盤こそ退屈さを覚えていたものの、真偽が入り混じったそれぞれの告白に各個人の寂しさや身勝手さ、やり切れなさが滲み出てどんどん引き込まれ救われない気持ちになっていきます。
不安定な中学生という自我が芽生える年頃が故の自己顕示欲、この作品ほど酷くは無いにしても多かれ少なかれ私も含めて観た人は共感を覚えるとともに、自身がこのクラスの誰かには当てはまるのではと思います。
15年も前の作品ですが後に大活躍される俳優さんがダイヤの原石の如く多数出演されています。
橋本愛さん、のん(能年玲奈)さん、三好彩花さん、そして山口馬木也さん、ほか皆さん当然お若いですが、光る演技で存在感バリバリです。
更にまだ幼少の芦田愛菜ちゃんの可愛さと演技力はこの頃からスゴイの一言です。
原作は本屋大賞の受賞作とのことですが、『8番出口』公開のおかげで思わぬ拾い物をした気持ちです。
それぞれの事実
松たか子演じる担任の先生の娘が、受け持つ生徒の誰かによって殺された。先生は犯人を公にはしないものの静かに復讐を実行し、生徒達が翻弄されていくストーリー。
離れ離れになった母に愛されたくて、科学的に色んな代物を作る頭脳明晰なAと、なんとなく優しさとあどけなさが垣間見えるBの少年2人。
2人とも同じ罪を犯した様で実は違っていて、その事でのすれ違いや錯綜、混乱するクラスの雰囲気。
亡くなった先生の娘を思って犯人を執拗に虐めるクラスメイト達。
熱血な様でどこか間違った方向に行ってしまう新任の熱血教師。
ストーリー全体で見ればあり得ない様だけど、一つ一つ見てみるととてもリアリティに溢れていると感じた。
主観的でなく、色んな人の視点でストーリーを観れたのも面白かった。
ラストシーン、(携帯電話のボタンが爆弾のスイッチになっていたコードを)切りました。と松たか子は言っていたのでてっきりもう爆発しないものかと思っていたら、結果少年Aの母親の職場を爆破させていて。
コード切ったんじゃなかったの?そこまで爆発する?と最後の最後で疑問が残りました。
この映画の凄さは、映像の陶酔感かも
原作は湊かなえの小説で、2009年本屋大賞に輝いた。
娘を、自分が担任をしていた中学生に殺された女性教師の復讐を描くというショッキングな作品。主演は松たか子。監督は、「嫌われ松子の一生」で独自の世界を作り上げた中島哲也。
期待以上の、鋭い感覚(感性)と完成度の高い傑作。
スタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」と「シャイニング」を彷彿させる。「時計じかけー」のアクションの華麗さ、それに白を基調とした色彩の使い方で、派手さより抑えた色調が、なんとも血の濃い赤を感じさせるところは「シャイニング」を思い出す。
演技、映像、音楽、すべてがしっかり監督が吟味して作られてるところもキューブリックを彷彿させる。
アクションが(これほど日常のものを扱いながら)、華麗にハイスピードでしっかりと決まり、それ自体の映像だけでも、見ていて心地よい。子どもをプールに投げるとき、子どもが孤を描いてプールに落ちてゆく様は、ストーリーを超えて見ていて心地良い。 そんなシーンが随所に見られる。
それに音楽の使い方、効果音の使い方、どれも唸ってしまう。当然、子役を含め演技も、過不足ない。ラストの少年Aの叫びも素晴しい。
映像の陶酔感のある映画だった。内容よりも、その点が私には、この映画の凄さだと思う。
それで、内容-。
私は、映画を見終わってすぐに原作本を読んだ。
映画は、この原作をうまく、また原作の衝撃も余すことなく表現していたと思う。
原作は、この現代の教育、子育てを鋭く、寓話として描ききったことに感嘆してしまう。問題を提起した点も、その問題をストレートに伝わるのは、やはり原作だったというのが印象。原作はラストも、突き放した感じが凄い。
~~ 詳しく書くと、
「原作」では、最終章の前の章が、少年Aの告白なのだが、真相が分かる直前で、終わる。それで、最終章が担任だった森口先生の告白になるが、徹底的に少年Aを糾弾し、少年Aの反応はまったく描写されずに終わってしまう。その点が「突き放した感じ」がした。
「映画」は、当然映像でその両者を映し出しながら、描ききるので、少年Aの反応がそのまま映画的なインパクトとなる。それは、映画的だけれども、どこか、原作より救いがあるように思えた。その後の彼を想像できるように思えたから。~~
映画はあまりに映像の出来が良すぎて、メッセージ部分が華麗な映像美に心を奪われてしまい、弱くなってしまったのかなと思う。原作のほうがストレートに伝わると思った。
それでもこの映画は、身近な問題を扱った現代の痛い痛い、傑作だと思う。
怖かった!
いや!ずーっと避けてました。湊さんの話は、えげつない。恐ろしい。松たかこさん、怖い。とことんやるな。
橋本愛ちゃん可愛い。のんは、干された時かな?
知ってる顔もありました。岡田将生が、うっとうしく演じてたね。
これぞ復讐、胸糞悪いけどスッキリ!
これぞ復讐、胸糞悪いけどスッキリ!徹底的に相手を許さず、修哉と直樹を追い詰めていく森口の復讐が面白かった。
復讐する作品って大抵相手を殺して終わる作品が多い。でも相手により苦痛を与えられるのは、その人の大切な人を殺すことだよね。本人を殺しちゃったらその一瞬は気が晴れるだろうけど、相手の反応を見ることが出来ない。
俺だったら「自分と同じ気持ちを味わわせてやりたい」って思う。相手の絶望した表情を見たいし、生きたまま地獄を味わってもらいたいから。復讐相手を殺して終わる作品が多い中、相手の大切な人を殺して復讐相手は生かすというパターンは新鮮だった。復讐のやり方としては俺はこっちの方が好き。このパターンの復讐劇をもっと見てみたい。
シュウヤはあの後、森口の娘を殺した罪を猛省したに違いない。すんごいマザコンだったから立ち直れなくて自殺する可能性もありそう。「私にも聞こえました。大切な者が消える音、パチンじゃなくて…ドッカァーンって!」さいご修哉にはなった森口のセリフ。静かなテンションから「ドッカァーン!」って急に声を荒げて楽しそうに言う森口怖かったなぁ…。
復讐する母親
娘を殺された母親が犯人の生徒に復讐する話
それぞれの視点から物語が語られ話が進み心情がみえてくる。主観で語られているため、何を信じるかは鑑賞者にゆだねられる。最後は爆弾で死のうとした生徒の裏をかき生徒自身の手によって母親を殺させるEND なーんてね
役者の演技や演出も作品に雰囲気に合っていてよかった。
唖然茫然
告白。
当時本屋大賞受賞したとかで騒がれてました。
いつもなら手を伸ばすのですが、告白は未見でした。
でも、後味の悪い小説だ、という噂は聞いていました。
そして、映画化。
あの不幸の連続の重い重い松子の一生をなんとも楽しそうに?映像化した中島監督。
当時CM見て、後味の悪い悪い告白を、今回もそんなライトな感じで映像化したのかな?
とだまされた人がここにいます(汗
あの悪意の塊が、魑魅魍魎がうごめく?映画のワンシーンを切り取って繋げたらあ~んなCMになるんですね!感心しました!
そして、レビューを見てからいくべきだったと初めて後悔しました…。
この日、映画観た後そのまま本屋へ直行し、原作一気読みしました。
もう、中島監督の作ったこの「告白」という映画には何の文句もありません。
役者もベテランも生徒たちもすべて素晴らしい。
本当に見て損はないです。(後悔はするかも)
色々思うところはすべてこの原作にあります。
殺された少女の父親は聖職者として天国へ旅立ちました。
復讐では何も生まれない。生徒は立ち直れる、と。
しかし母親は、そんな父親の思いを全く汲み取るどころか、おそらく死んだ娘も引くくらい、突き抜けた素晴らしい復讐を遂げました。
あの人この復讐遂げてこれからどうやって生きていくつもりなんでしょうか。
目には目を。歯には歯を。しかし、目に針さして、歯をペンチで抜いちゃいました。
中二病の彼らは大人をなめすぎてましたね。
敵に回してこんな怖い大人いません。最強です。
善意の後輩教師も犯人以外の自分の生徒もぜ~んぶ復讐の道具にしちゃいました。
そして、犯人の少年ABの母親はもっとも使える復讐の道具としてしまいました。
色んな人が、彼女の復讐劇のため新たに命を落としました。
死んだ愛娘以上の人間の数ですよ!
映画では原作以上に、人間がモノでしかない、命の軽さが十分伝わってきました。
そして、原作には最後の「な~んてね」がないのです。全く空恐ろしいです。
あの「な~んてね」の一言で、いいようにとらえて映画を観終わることができた人もいるかもしれません。
ラッキーです。
映画の森口先生は、自分に更生云々、などといえる人間ではなくなったことを認識しています。
あの「な~んてね」は私はそう取りました。
原作の森口先生は本気であの復讐が彼の更生の第一歩とか言っちゃってそうなんですよ…。
こんな大人が子どもを育ててたら、死んでしまったかわいいあの子も、もしかしたらきっととんでもないモンスターに育ってしまったかもしれません…。
子どもを殺されたというだけであんなに人間堕ちますかね。
もともと素養があったとしか思えません。すごいです。
とにかく、よくこの小説を映画化しました。あっぱれです。
これを問題作!衝撃!と思える自分は平和なんだと思いました。
タイトルなし(ネタバレ)
バトル・ロワイヤルにも似た、学園物の胸糞映画。不完全な自己を抱える若者の歪みがもたらす犯罪、それを助長する周囲との関係、母親たちからの虐待、溺愛、無関心などが複雑に絡み合って、モンスターが出来上がる。
少年A、少年B、少年Aと仲良くなる少女、少年Bの母親等、それぞれの視点の告白で、見えない部分があぶり出されていくのが面白い。最終的には、少年Bとその母親、少女も死に、少年Aの母親も少年Aが作った爆弾のボタンを自ら押して、死に追いやるという復讐が完結する。
弛緩の無いストーリー、次から次へと連鎖していく悲劇と犯罪という意味では秀逸。しかし、胸糞が悪くなることだけは確かです。
湊かなえらしい作品。
湊かなえらしい、残酷で暗い作品。原作も読んだが家内と観てみた。少年AとBには同情の余地はなく、改めてこういう作品を見ると少年法はさっさと廃止してもらいたいと心底思う。松たか子は適役だったのでは?いい味を出している。芦田愛菜という女優が子役の時は知らなかったのだが、可愛らしいと思った。エンドロールで能年玲奈の名前を見つけて巻き戻してみたのだが家内も僕も発見出来ず。
最高に練られた復讐劇 えげつないほどに面
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学校の先生の松たか子が愛娘を自分の生徒2人に殺される。
ただ注目を浴びたいとか、極めてエゴな理由からの犯行だった。
ここから松たか子の恐ろしい復讐劇が始まる。
それはまずはエイズの菌をソイツらの体に入れることから始まった。
(これについては精神的に追い込むために口で言っただけっぽいが)
1人の生徒にはクソ真面目な自分の後輩教師を利用して精神的に追い込んで行き、
頭がおかしくなって自分の母親を殺すという結末となった。
もう一人、首謀者の生徒は、注目を浴びるために学校爆破事件を計画するが、
それをソイツのHPで事前に知った松は、仕掛けられた爆弾を予め奪っておき、
マザコンであるこの生徒の母親のところに仕掛ける。
そうとは知らない生徒は起爆し、自分の手で母親を殺すハメになってしまった。
また唯一コイツを理解してくれた女生徒も自らの手で殺すハメに。
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いやあ、これはすごいインパクトの映画だった。
そして見事なくらいに最後に全てが1本の糸でつながる。
結局は松たか子が全て計算づくで、裏で糸を引いていたというもの。
極端に言えば、学校の教師なんてこんなものだろう。
自分の一人娘を面白半分で殺されれば、犯人を殺してやりたくなるはず。
この教師に関してはそこに一切のモラルは無く、復讐のために命をかけた感じ。
実際にラストシーンの後は罪に問われることになるだろうしね。
(少なくとも生徒の母の所に爆弾を仕掛けたのは犯罪)
結局、2人生徒側からしたら、殺されるよりも悲惨な結末になったと言える。
それが松のイメージした最高の復讐だったのだろう。
それにしてもラストシーンの松たか子の「なーんてね」の時の演技は、
ゾーッとするものがあった。人間の持つ怖さを描いた素晴らしい映画だった。
能年玲奈(のん)さんが出演していた
数年前に鑑賞済みだったが、
機会があったので再度鑑賞。
森口先生(松たか子)が
失ったもの
守りたいもの
奪いたいもの
そこに注目してみた。
森口先生の
本氣の復讐。
分断と孤立と
イジメを促した。
北原美月は
イジメに加担しなかった。
言い換えれば
森口先生の味方をしなかった。
森口先生の味方をした生徒達は
渡辺修哉の
爆弾による大量殺人事件から
守られた。
考えさせられた。
もし、
失ったら狂う程に愛する人が
殺されたら、
自分なら どうするのだろう。
芦田愛菜さんは
すぐわかったが、
能年玲奈(のん)さん
は氣付くことが
できなかった。
BGMもテンポも良く、
演出も素晴らしかった。
現代のいじめ、性的虐待、差別は全く別の所にある。
かの金属バットの事件を振り返ると、サイコパスなマザコンが犯す犯罪の種類が全く違う。彼らに出来る事は自壊すること位。勿論、稀に周りを巻き込んで犯罪を犯すことはあろうが。
現代のいじめ、性的虐待、差別は全く別の所にある。
寧ろ、この状況を傍観する側に日常生活を脅かす問題がある。『絆』で結ばれた家族に問題が無いと思う所に寧ろ問題がある。
少年法の改正目的の為だけのプロパガンダ映画として私は見る。
原作がホラーだけを追ったライトノベル級の小説であるだけでなく、頭に逆上せた演出家が思わず作ってしまった駄作と思うが。まぁ、ご飯を食べる為には仕方ないのだろう。大変に残念だ。問題が重いだけに人の命は大事にしてもらいたい。ただでさえ、火曜日ごとに殺人があって、崖で犯人が2時間で自決するのだから。もう少し、救われる何かが見たいものだ。
松たか子さん!!
もう、初っ端から最後まで、松たか子さんを全面に映画を織り込んでいくんですね。正解でした。
母性と母性と母性の怖さ、堪能させていただきました。
そこだけおっきな声で"ドッカーン"とか言われたから、オシッコチビりそうになりました。
男ってなんて愚かで脆弱な生きものなんだ。母性より怖い物なし、松たか子さんより怖い物なし。
決して戦っちゃダメだ。ましてや、あんなに真っ向勝負挑むなんて狂気の沙汰。ひたすら耐えるか、後ろ振り返らずにすぐ逃げてー。
ということで、何気に終わりまで飽きさせずに観させるところ、この監督さん、やり手ですね。
復讐者の真黒な悪意が犯人を蹂躙しつくす快感
2009年本屋大賞受賞。
湊かなえの同名小説の映画化。
【ストーリー】
学級崩壊した中学のクラス。
その担任教師が辞任し、最終日に放った言葉はこうだった。
「このクラスには、私の娘を殺した犯人がいる。私はその二人にエイズで死んだ夫の血を混ぜた牛乳を飲ませた」
静まり返った教室で、今までになく行儀よく座る生徒たちの間を、教師は犯人たちがどんな手口を用いて娘がどんな風に殺されたのか、その経緯を淡々と説明しながら歩く。
ついさっきまで粋がりたおしていた生徒らが、教師の底なしの悪意に囚われ、拷問の様に重い空気を味わいながら、息を殺してその言葉をただ聞く。
ーーそして犯人たちは不登校になった。
共犯の少年は教師によって追い詰められ家庭ごと壊された。
だが主犯の少年はさらなる犠牲者を求め、もっと大きな凶悪犯罪を計画していたのだ。
これは中二病のサイコパス少年を、彼の悪行によって悪魔のような衝動に開眼した純度100%本物のサイコパスが、その全てを蹂躙し破壊し尽くす物語です。
動機は殺された娘の復讐ですが、犯人二人とその周囲にいたワガママ放題だった生徒たちを、その後も束縛し続ける、静かな語り口ながら生々しい呪いの言葉が強烈に耳に残ります。
復讐の起点となったホームルーム以降、犯人や他の生徒たちがどう壊れていったかが、克明に描かれるのです。
そして思春期の幼稚な信仰を叩き潰し、ラストに相手の一番大切なものを奪う瞬間の、ものすごい気持ちよさ。
心の底からざまあみろと思わずにはいられません。
『すでに終わった犯罪』として語られる、犯人への復讐の一部始終。
感情を織り交ぜない松たか子の平滑な声が、クライマックスへの期待をゾクゾクするほど煽ります。
全てを失い、犯人が絶望してひれ伏したところに、あの最後のホームルームで教室をめぐった歩調と同じ、ゆったりと一歩また一歩と近づいてくる教師の、悪意満点のラストの言葉。
犯人の大切なモノを、完膚なきまで蹂躙しつくした復讐者の天才性。
重ねて書きますが、復讐が成就した瞬間、ものっすごく気持ちよかったです。
嫌ミス(胸糞)の女王と言われた作者の、衝撃のデビュー作。
ぜひぜひご覧いただきたい逸品です。
これ好き!
松たか子さんじゃなければ出来なかったと思う。
最初の30分、生徒に自分の子供が殺された経緯を事細かに話自分の旦那がエイズだということも告白し、1人喋り続けるというシーンですが目が離せない。
松たか子さんしか出ていない状況と教室という変わり映えのない場所でただ喋ってるだけなのに、恐怖と刹那を感じるシーンです。
途中松たか子さんが出なくなり新任教師と殺人犯にクローズアップされますがラストはスカッとする展開に。
マザコンの殺人犯が自分の母親を間接的(?)に殺すシーンと松たか子の頭の回転の良さが圧巻。
本当に見て良かったです。
これを観るにはちょっと辛い
このタイトル公開されていた時から気になっていました。でも。怖くて 10年以上経っても怖いです。命を軽るんじている中学生に怖さを感じました。松たか子の教師の役も凄かったし生徒役の人達もすごい。教師の子どもを意味なく殺ろす中学生 殺された子どもの教師は子どもを失った哀しみを復讐という形で話が進んでいく。
精神的に生徒を追い詰めていく。
その様がスゴイ 殺された側にしたら不本意で許される事ではない。松たか子の告白が淡々と始まって最後は告白に凄みがでて狂喜となって終わる。
精神的に追い詰められました。怖くて重い作品です。
映像化されることでより毒々しさの刺激が強化
先日、原作の方を読み返したので、改めて映画の方も見直しました。
原作の方で、散々感情的な毒々しさは感じていたので、映画自体からストーリー的な恐怖感を新たに感じることはなかったのですが、映像化されることでより毒々しさの刺激が強化された部分は多々ありました。
原作にはないシーンですが、目の裏側に森口先生の「どっか~ん」の映像が張り付いて、『告白』=『どっか~ん』くらいのインパクトで残っています。
所々、ストーリーも原作との違いはありますが、辻褄合わせ程度のもので大筋に違いはないかと思います。
強いて言えば森口先生の復讐する姿に少し罪悪感的な描写を持たせた部分はありますが、原作同様、僕の中で森口先生のスタンスは救いのない復讐という立ち位置に変化はないです。
元々、原作の中でもキャラクターの心情的な部分にはあまり入れ込めなかったのですが映画も同様でした。
きちんと筋道立てて悪事に至るまでの心理は描かれているものの、なかなか突飛な10代の過敏な過剰反応が描かれているだけに共感も同意もしかねるという感じで。
寧ろ、この原作も映画も魅力はそういった過激さを上回る描き方にあるように思います。
原作は悪意の塊を全身に浴びながらも読み切らされてしまう勢いがあって、映画の方は悪意という意図を持った映像作品を観ているような真新しさと飽きなさ。
テンポの良いカット割りと細切れで意思をもった映像の連続、いじめ、殺害、序列、アイドル、携帯メール、回想シーン、映像は時にスローに、時に景色を変えて、時にダンスで感情をデフォルメさせて、ただほとんどの映像が悪意という共通項をもって自由に編集されています。
そういったカットの連続は否応なしに映像の世界に引き込ませ、圧倒的な映画作り、というよりも映像作りの巧みさを感じました。
だからと言って、この映画が映画ではなく映像作品と言うつもりはなく、映画としての評価として、かなり際立ったセンスと巧みさのある作品だと思っています。
映画の魅力として、松たか子さんの存在感は際立っていました。
冒頭から、細切れのようなカットが続く中、淡々と変化のない口調で悪意を口にしていく姿、時間にして30分程このシーンが続きますが、ストーリーの前提条件、子供達の教室風景・人間関係、娘の死亡と殺害の状況、そして最後に明かされる復讐の宣告。
これだけの情報量を開始30分に全て詰め込んで、破綻なく、後の展開に繋いでいきます。
この構成の上手さは素晴らしいですが、やはり松たか子さんの演技があって成り立つ構成かと思います。
安易に子供達に迎合しない少し冷たさを感じる絶妙な距離感、そして娘を亡くした(というよりも殺された)憎しみを内に秘めて静かな攻撃性を帯びた語り口。
それでも言葉を崩さずに、淡々と記憶を辿り、子供達を未熟で弱い物として突き放して語っていく姿。
凄まじいですね。本当に。原作の雰囲気を踏襲しつつ、よりイメージが違和感なく映像化された最高の仕上がりです。
音楽も素晴らしい選択でした。
ノイズあり、ギターサウンドあり、ダークで、退廃的で、浮遊感のある曲が多かったイメージです。
radioheadの曲も繊細なピアノの音色がなかなか良いですが、BORISは書下ろしだったようです。
映像作家の方の音楽への知見とセンスは驚くことが多いですが、中島監督に対しても尊敬の思いで観てしまいます。
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