「劇場が凍りつきました!!」告白(2010) shinematsuyamaさんの映画レビュー(感想・評価)
劇場が凍りつきました!!
個人的には、満点です!
しかし、なんという映画なんでしょう!
ジャンル分けも難しい・・・
決して楽しい映画ではなく
涙を誘う感動作でもなく
ただ言えるのは、単純ですが
〝問題作〟です。
今までの中島監督作品のような
ファンタジー色があるのは、冒頭の
1曲目だけです。
原作は、めずらしく、ハードカバーが出た
時点で既に読んでいました。
主人公を始め、主要の登場人物が、順々に
独白(告白)をしていくのですが、
全て、真実を述べていません。
なぜか?
それは
それぞれが、ある対象に向けて語っているからです。
表現する手法は違いますが、完全なる独白ではなく、
聞かせる(読ませる)相手がいるから、
本当の気持ちではなく、時には都合良く、
時には、同情されようと
時には、強く見せようと
脚色しています。
今まで、こんなに悪意に満ちた映画が
あったでしょうか?
そして、
こんなに、セリフに溢れた作品があったでしょうか?
ファーストカットから、ラストカットまで、
異常なまでの緊張感が漂い、鑑賞する側も
かなりの、パワーが必要に感じました。
私はほぼ身動きしないまま、
過ごしてしまいました。
上映中、劇場内が、こんなに静まりかえっていた
記憶はありません。
これは、決して大袈裟ではありません。
そして、エンディングロール中も、誰も一言も発せず
場内が明るくなっても、静かに劇場を後に
する人たち・・・・
なにか異様なムードを感じました。
何か、スゴイモノを観てしまった・・・
これは賛否がハッキリと分かれてしまう
映画なのかも、知れません。
もしかしたら、キライな人が
いるかも知れません。
この映画は
〝素晴らしい〟と
思える人が映画通だとか
そういったリトマス試験紙的な
事も、この作品には、言えません。
たぶん、嫌いな人は結構
いるでしょう。
そういった次元では
ない気がします。
松たか子の演技は完璧でした。
原作のイメージを崩すどころか、
更に広げています。
原作に忠実ですが、一部付け足して
いるシーンが2つあり、
その2つのシーンにより、
原作を超えました!
原作では全く見ることのできない
主人公の内面が描かれているのです。
そして、やってくるラストシーン。
原作を超えたオリジナルな
ラストシーン。
この時の松たか子の表情!!
観た人、それぞれ
感じ方が違うかも知れないので、
書きませんが、
この表情は、衝撃的でした!
この人は、ホントに上手い!
もう、松たか子以外に
考えられません!
そして
いつものように、原作を上手に構成しなおした
脚本!(中島監督スゴイです!)
文句なく、
今年ナンバーワン映画です!
この作品は、観た人に是非、感想を
聞いてみたいです。