「画面は一向に躍動してはくれない」猿ロック THE MOVIE 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
画面は一向に躍動してはくれない
原作コミックは知らず、ドラマ版を観た事も無く…と。何も知らない状態で観る。
これって元々、市原隼人演じる鍵屋の主人公が店を構える、商店街での人情喜劇物語なのだろうか?
映画本編は、大掛かりな犯罪ドラマを目指していたみたいだったが。鍵屋が自分に持っているスキルを利用して、事件を解決するならば、商店街の様な小さな地域のエピソードに限定した方が、面白くなりそうですけどね。
映画版って事で、話をでかく広げすぎてしまったのが、結果的に詰まらなくなっている様に思えたんですが…。
市原隼人のキャラクターを生かした、単細胞妄想大暴走場面を数多く入れる事で、楽しい場面が多いのに、(小西真奈美とは『天使の卵』のコンビ)國村隼や西村雅彦の警察関連の話。更には光石研演じる暴力団っぽい悪の組織側。これらが混ざり合いながら展開して行くのに、一向に画面は躍動してはくれない。
肝心のトランクの中身は一応“マクガフィン”として観客には提示される。それは例え最後に「何だったのか?」別に“マクガフィン”なのだから、知る必要性も無いのだが、だったら“それ”を意識させない位に面白くないとね!?ただダラダラとした場面が続いてしまうと、どうしても「一体何だったんだよ?」…と、なってしまう。
この監督は、前作の『ブタがいた教室』は素晴らしかったのですが、『陽気なギャングが地球を回す』同様に、ややスカスカ気味な内容の薄い作品になってしまっている気がしました。
市原隼人はいつもの役柄。いつもの喋り方。
以前は個性的と思って見ていたが、これだけ“引き出し”の無いのも今後は考えものなのでは?
商店街の仲間の女性役に芦名星。ドラマ版を観てないから何とも言えないのですが…。
何の為に居るのかさっぱり理解出来なかった。
そんなこんなで、(←だからどんなだよ!)全く面白さを感じない中にあって…。ではどこに面白さを見出すかと言うと、ズバリ…。
比嘉愛未の可愛らしさに尽きる。
男目線で作品を観たら、もう“そこしか無い”から(苦笑)
(2010年2月27日TOHOシネマズ西新井/スクリーン7)