「女と博打には気をつけなさい的な作品です」ウディ・アレンの夢と犯罪 あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
女と博打には気をつけなさい的な作品です
2007年イギリス映画。108分。今年37本目の作品。ウディ・アレンのロンドン三部作最終章にあたるのが本作であり、シリアスドラマ。本作でもウディ本人は監督・脚本のみ。
内容は;
1、父親が経営するレストランの手伝いをしている兄は、将来は投資家として成功して悠々自適な生活を送ることを夢見ているが、肝心の資金がない。
2、一方、車の修理工をする弟はごく平凡な生活を夢描くかが、ギャンブル癖が直らない。
3、兄は自分が投資家だと嘘ついて美人の彼女をつくり、弟は多額の借金をギャンブルで背負い、金が必要になっていた矢先にある犯罪のオファーが。
犯罪に縁のない育てられ方をされていた兄弟が犯罪に手を染め、転落していく人生劇。そのきっかけが女とギャンブルとは、男の弱点を容赦なく本作はついてきます。
「成功を手に入れるためにはリスクを背負わなきゃならない」なんて、よく耳にする格言じみた言葉でどんどん人が悪に染まっていく姿に、ウディらしいブラックユーモアが感じられます。
しかし、本作が後半に進むにつれポイントになってくるのが数値化できない心の問題。それはギリシャ神話の時代から語り続けられる心理学なのですが、現代に当てはめてもすごい密度で物語を力強く推進させていきます。
「インテリア」同様、最後はほんとまじで不条理そのものです。でも、それを観てて何故かカタルシスを感じている自分がいる。他人の振り見て我が身と良く言われますが、このカタルシスは我が身のように作品に集中してしまった自分がいて、映画が幕を下ろして架空の物語だったのだとホッとしていたからなのかもしれません。
女性は本作をどう観るのかが気になります。
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