劇場公開日 2011年10月8日

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アクシデント(2008) : 映画評論・批評

2011年9月27日更新

2011年10月8日より新宿武蔵野館ほかにてロードショー

サスペンスからサイコスリラーへと変貌する“意外”な香港映画

過激なバイオレンス描写で注目された「ドッグ・バイト・ドッグ」のソイ・チェン監督作を、<仲間の絆>が十八番のジョニー・トーがプロデュースした本作。オープニングでいきなり偶然の事故死に見せかけた用意周到な暗殺が描かれ、香港映画独特のエンタテインメント性を期待させるが、そのあとは“意外”な展開に驚かされる。

日本語で「事故」を意味する“意外”を演出する闇の仕事人。彼らはあくまでも<偶然>に執着しているため、任務遂行に至るアクションに派手さはない。しかも、交通事故で妻を失ったトラウマを抱える主人公、彼に感情をぶつけられない女、アルツハイマーを発症する初老の男と、彼らは“病み”の仕事人でもある。そのためか、彼らの関係性は想定外の「事故」で簡単に崩れ、それぞれが疑心暗鬼になっていく。極端に少ないセリフと、仕事人たちの精神的混乱がストーリーを屈折させて、映画はトリッキーなサスペンスから一転、サイコスリラーへと変貌するのだ。

目の前で起きた出来事に対し、自分の解釈は常に正しいのか、といったテーマやオチなど、初見時のインパクトは薄いかもしれない。だが、リピートするたびに発見するスルメ感や異質感は、妙な快感を生み出す。これは練り直された脚本と17カ月の撮影期間という、香港映画らしからぬ製作陣の確信的犯行によるものだ。

(くれい響)

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