「こんな国、ありえないでしょ」ペルシャ猫を誰も知らない septakaさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな国、ありえないでしょ
第10回東京フィルメックス、審査員特別賞受賞作品
好きな映画評論家が同作を推奨。
これは観ねば、と当日券を購入し鑑賞してきました。
☆彡 ☆彡
カンヌ映画祭「ある視点」部門で特別賞受賞
たしかにコレを公開したら国にはいられなくなるだろうな
上映前に
バフマン・コバディ監督のメッセージがスクリーンに出ました。
「この作品を撮影したことで国にいられなくなりました」
「現在のテヘランを映しました。ナデル役だけプロの役者、あとは本物」
今作を観る前、ある作品を思い出しました。
『オフサイド・ガールズ』(06)こちらもイランの映画で、
ワールドカップサッカーの観戦の禁止されている女性たちが
スタジアムに入ろうと悪戦苦闘するコメディっぽい作品です。
「女性がサッカースダジアム観戦できないなんて、ウソでしょ」
そして、今作、
「コンサートができないなんて、ウソでしょ。
えっ、コンサート会場で400人が逮捕された?
女性ボーカルが犯罪になるなんて、ありえないでしょ」
イランでは
特に西洋音楽に対し、規制が非常に厳しく
国からの許可がおりないとコンサートが開けない。
もっとも、それ以前に、国から許可がおりないそうです。
そのため、
インターネットなどを使い、
闇でコンサートを開催する。
そして当局に見つかった場合は逮捕されてしまうそうです。
今作を作るキッカケになったのは
監督自身も音楽が好きだったことと、
そんな抑圧された環境を抜け出し、自由に音楽ができる環境を求めて、
海外に行こうとしていたミュージシャン2人との出会いがあったからだそうです。
作中のセリフにもありますが、
今作、バフマン・コバディ監督は無許可で撮影をしています。
厳しい状況の中でも
懸命に音楽表現をしようとする人たちに
触発された、そして勇気をもらったのは間違いないでしょう。
監督、その2人を軸に映画製作決定。
フィクションとドキュメンタリーを融合させる形をとりました。
監督が記されていた通り、
たくさんのテヘランの風景が映しだされます。
厳しい環境の中、作り出された音楽に乗せながら、
まるで、そんな環境がウソのような力強いリズム。
まるで、一本のビデオクリップのような映像が次から次へと。
そこには
音楽を演奏する困難さだけでなく、
海外へ行くことの難しさ、ペットに対する法律など、
日本では考えられないようなイランの現状が盛り込まれます。
“表現の自由”
そんなものは、まったく存在しません。
わたしたちが、普段の生活であたりまえのようにしている、
音楽を聞く、音楽を演奏する、犬の散歩をする、そんなことまでもが、
国の法律によって禁止されている日常。繰り返しになりますが、日本では想像もつきません。
そんな衝撃的な事実が、次々に
我々の目の前に突きつけられるのです。
☆彡 ☆彡
変な話ですが、
日本に住んでいてよかった、と心の底から感じました。
どこまでがノンフィクションなのか
わかりづらい部分はありますが、それを
軽々と凌駕してしまう力が、この作品にはありました。
作品の性質からして、
日本でのロードショー公開は難しいかもしれません。
あとは、配給会社の監督にも負けない勇気と英断に期待します。
本当すごいですよね。
そうですか、ユーロスペースですか。
なんか、作品にピッタリ?な映画館ですね♪
どんな、客層がかけつけるのかな?
その点にも、興味があります^0^
昨日、試写で見てきました。
いやー、すごいですね。これを今のイランで作ってしまうデタラメさに乾杯!です。
イラン版アンダーグラウンド!?クストリッツァ的な雰囲気を持ってますね。
この夏、ユーロスペースで公開です!