「ゾンビ非常事態」サバイバル・オブ・ザ・デッド kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ゾンビ非常事態
州兵(スプラング)がゾンビを始末する苦悩を伝える独白シーン。始末するのは簡単だが相手が友人だと辛いものだと嘆くのだ。主人公の州兵はドキュメンタリー映画撮ってる大学生たちを襲った男であり、まるで前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』からの違う視点からの始まりだった。
マルドゥーンは蘇った死者を殺さずに奴隷のような形で生かすという意見の持ち主で、対するパトリック・オフリン(ウェルシュ)はすぐに頭に銃弾をぶちこんで殺すという主義。州兵のサージ(スプラング)が奇妙な共通項をオフリンに見出し、フェリーを奪って仲間と島に渡る。そして対立する二つのグループが激突するという、まるで西部劇のようなストーリーだ。どちらかと言えば、ゾンビを殺さずに生かした方が新たなゾンビ対策になるとも思うが、そのあたりは『ゾンビーノ』を見れば納得いただける(笑)。
ロメロ作品を続けて見てみると、二つの対立する意見がぶつかり合う葛藤はどの作品にも見られる。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、特にリメイク版なんかは「地下に籠る」か「窓をふさいで戦う」かでずっと対立している(笑)。そしてこの対立を世の中の政治的なものに反映させようとしているのがこの作品だが、あまりにもメッセージを強調するあまり、単なる西部劇で終わってしまっているのが残念だ・・・
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