桜田門外ノ変のレビュー・感想・評価
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前半40分がすべて
江戸幕府大老・井伊直弼が暗殺された桜田門外の変の前後を、襲撃を指揮した水戸藩士・関鉄之介(大沢)の視点から描いた作品。
前半40分で井伊直弼暗殺は終了。そこからは回想やその後の展開が目まぐるしく繰り広げられる。わかりにくいぞ!(笑) 京都に集結しているはずの薩摩の3000の兵をあてにして京に向かう生き残りの一行。しかし、薩摩は出兵しておらず、孤軍奮闘する水戸浪士。頼りの鳥取藩を独りですがりにいくものの、代が変わり、手配書も出回っていて、水戸へと帰る鉄之介。仲間たちは次々と斬首されるなど孤独感を強める・・・
それにしても尊皇攘夷という言葉自体が虚しく思える。開国を拒否すればアヘン戦争によって清国が列強に占有されたと同じく、日本の歴史も大きく変わったのだから。まぁ、第二次大戦後の日本の運命がもっと早くきていただけかもしれないが・・・
時代の変革、その狭間で。
Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作は未読です。
タイトルは「桜田門外ノ変」ですが、それがクライマックスと云うわけではなく、始まって3分の1の辺りで変が勃発し、それ以降は事件前後の水戸浪士たちの動きを、時系列を交互に組み合わせながら描くと云う趣向の作品でした。
大作請負人の異名を取る佐藤純彌監督最後の作品なだけあって、桜田門の周囲を再現した大規模なオープンセットや、大沢たかおを初めとした演技派の豪華キャスト陣と云った、まさに超大作の趣きのある映画に仕上がっており、感無量でした。
尊皇攘夷を旗印に、幕府の大老を暗殺すると云う空前のテロを敢行した水戸浪士たち。事前の根回しでは彼らの思想に賛同する藩もあり、井伊直弼暗殺成功の暁には京で挙兵し、帝を拝し奉って攘夷を決行する手はずでしたが、暗殺は成功したものの、時局が熟していなかったためか掌を返したように賛同を約束した諸藩に見限られ、次第に追い詰められていきました。
水戸藩にも裏切られ、帰る場所を失い、次々と捕らえられていく桜田烈士。ある者は変当日に壮絶な戦死を遂げ、ある者は捕縛前に切腹し果て、ある者は斬首に処せられ…。どれほど多くの血が流されたことでしょう。どれほど無念だったことか。烈士それぞれの末路を冷徹に、そして畏敬の念を籠めて描いていたため、何度も目頭が熱くなりました。
この出来事が維新の原動力のひとつとなったことは間違い無く、彼らの理想とは違ったかもしれないけれど、今の日本の礎となったことを忘れてはならないと思いました。
※鑑賞記録
2022/05/04:時代劇専門チャンネル
歴史の映像化
劇場で観たときは全くつまらなかった。登場人物が名前でスーパー出る度に覚えなきゃいけないと思ってついていくのがやっと。画面の雰囲気とかは良かっただけに残念だった。で、今回はしっかり『幕末の水戸藩』を読み込み再鑑賞。覚えておかなければいけない人物は、関、金子、高橋、野村、斉昭、直弼程度。時代背景も万全。そうして観るとなんとも味わい深い。当時の水戸藩士の対立抗争、斉昭と直弼の対立、朝廷の立ち位置、井伊家の当日の様子、薩摩藩の卒兵上京の中止など、ははぁなるほどと思わせる。これは時代背景と桜田門外ノ変そのものを知ってないと面白くない。知ってれば味わえる。そんな映画。
関の囲ってた女が拷問されるシーンの見せ方は、この監督変態なんじゃないかと感じた。
ばかめ、ばかめが・・日本をどうするのだ・・・
映画「桜田門外ノ変」(佐藤純彌監督)から。
NHK大河ドラマのように、物語が淡々と進み過ぎて
あれっ?、これで終わり?と物足りなさを感じてしまった。
そこで、私が気になる一言に選んだのは、
大老・井伊直弼を桜田門外で襲撃した主人公たちではなく、
殺された「井伊直弼」が籠の中で呟いた死ぬ直前の台詞である。
腐敗した世の中に不満を持ち、その一番大きな原因とされる
大老を殺害することで、世の中が変わると信じて襲撃を企てた。
そして彼らは目的は果たしたが、簡単に世の中は変わらなかった。
逃げ惑う中で、以前「共に手を取り、この国の道を正そうぜ」と
約束を交わした同士に「大老襲撃は本当に正しかったんかいや」
「なんぞ変えることができたんかいや」
「まちごうとりゃせんだかいや」と訊ねら答えられないシーンが
一番印象に残った。
そんな会話を予想したかのように、鉄砲で撃たれ槍で刺されながら
大老が呟く。「ばかめ、ばかめが・・日本をどうするのだ・・・」
正しい、正しくないは、後の人たちがが評価するのだが、
少なくとも私は、今の日本をこうしたい、という考えはあったぞ、と
言いたげな台詞であると感じメモをした。
お前たちに任せて、日本は守れるんだな、と念を押されたような台詞。
物語とは関係ないかもしれないが、最後まで逃げ回って終わった結末に
大きな意味が隠されていたのかもしれない。
もう少し、私たちの予想を裏切る結末が欲しかったなぁ。
歴史を学び、現代のあり方を考える
佐藤純彌監督の初の本格的時代劇。日本史で教わる「桜田門外の変」を詳細に追った内容だが、物語の進行は一筋縄ではない。井伊大老を憎む浪士たちが首をとった…という単純明快な、勧善懲悪なお話ではないのだ。前半に襲撃シーンがあり時系列でないのが、サスペンスフルに物語を進めてくれる。
歴史の英雄ではない関鉄之介を大沢たかおが演じることで、映画のヒーローに成り得た。
なぜ大老を暗殺せねばならなかったのか、関鉄之介はどんな思いで襲撃に参加しその後潜行を続けたのか。映画というエンタテイメントを通して、歴史を学びながら現代のあり方を考えさせられた。
予想外…
見る前から大体の展開は読めていたものの…。
見所であろう井伊直弼暗殺が物語の前半で展開され『桜田門外の変』というよりも『桜田門外 首謀者たちのその後』というタイトルの方がシックリする内容である。
エンディングの暗殺シーンに向けて盛り上がって行く…と言う内容ではなかったので拍子抜けしてしまった。
この手の作品は史実に基づいているため登場人物が多い。
予習しておくと物語が進むにつれつじつまが合って面白いと思うが…逆に知識がないと難しい。
映像は綺麗でリアリティも高いし殺陣のシーンはなかなかの迫力である。
血に弱い人はちょっとドギツイかも。
血の吹き出るシーン多し。
しかし加藤清史郎氏はよく出てますな~。
イメージが『子供店長』で出来上がっているためか演技がイマイチ。
もはやシビアな配役は今後難しいのでは?
『もっと玄人受けする子役はいないのか』と言いたくなる。
あと西郷隆盛氏のキャスティングももっと重鎮を起用して欲しかった!
温水洋一氏と『5万回斬られた男』福本清三氏の出番が見どころ。
映画というより説明解説。
某映画サイトの、
「茨城県の地域振興と郷土愛の醸成を目的に、
市民が主体となって企画し、映画化が実現した時代劇」
という触れ込みを見て、なるほど~。と感じた作品。
エンターテインメント性とか、感動歴史巨編とか、
そんな類とは一線を画している不思議な作品に思えた。
何しろ冒頭からナレーション解説は入るわ、字幕は入るわ、
へ?これ映画?と思ったほどTVの歴史特集などに近い。
なので、ある意味非常に勉強になった^^;
桜田門外の変。といえば歴史的大事件で教科書にも載る
事件なのに、大老・伊井直弼の暗殺ぐらいしか記憶にない。
水戸市民は、更にそれ以外のことを伝えたかったのね。
歴史に詳しくないと分かり辛いかと思いきや、
何度も丁寧に入る解説やそれぞれの登場人物の字幕説明
の多さからして、知らない人にも分かり易く。がモットーの
ような気がする。冒頭であっさり(テロ)は行われてしまうが、
問題はその後、彼ら水戸藩士がどのような運命の末路を
辿ったかが克明に描かれる。配役の豪華さもさることながら、
歴史に対してリアルに忠実に描かれている(のであろう)のが
スクリーンからひしひしと伝わってくる。
カッコいい英雄も、必殺○○人も、そんな人間は出てこない。
やたらと長く、見せ場のない暗殺シーンも、つまりはそんな
現状だったのだ。と淡々切々と描いているように感じられた。
時を見誤ったか、せっかくの事変も計画通りに大成ならず、
彼らはお尋ね者として追われ続ける。怪我で命を落とす者、
捕まり斬首となる者、拷問される者…無残で非情な場面も
多く、血飛沫もかなり上がるが、いかに激動の時代に彼らが
日本の為に(誰もがそう信じて)闘ったかが克明に描かれる。
本当に、あらゆる意味で、「無念」とはこういうことかと思った。
哀しみの連鎖は、彼らの家族、彼らを守り抜こうとした下士
らの行く末へと繋がり、さらに深みを増す。そして最後には
指揮官である関鉄之介の最期までを丁寧に追い続けていく。
ひとつの歴史的事件をここまで忠実に語る映画も珍しいが、
前述の通り、市民が一丸となり描いたとなれば納得できる。
ただ、映画としてドラマとして、どうかと考えると、
その歴史にたいして史実を極めるか情緒を優先させるかの
ギリギリのところであのナレーションになってしまったのか。
という、私的には残念な感想もややあったのが本当だ。。。
(しかし勉強になりました。最後の現在の光景は実に印象的)
あの映画の後だからカナ‥
すみません、きっと『13人の刺客』を3日前に観たばかりだから、退屈に感じたのでしょうか‥。
時代劇らしく、独特の間合いを取っていたりして忠実な描き方をしているんでしょうが、全体的に間延びしていた感が否めないです。
キャスト陣も、大沢さんはもちろん素敵だし北大路さんや本田さんなんて大御所も出ていらして豪華なんですが、いかしきれていないキャストもその他多々いたり‥
ハセキョーさん好きですが、やはり洋顔に時代劇は合わないっす。
その他、今年の邦画の時代劇映画ばっかりブームのせいか、先にも観させて頂いてた『武士の家計簿』の西村雅彦さん・『雷桜』の柄本明さん・テレビに関しては『龍馬伝』の生瀬さん然り吉田松陰先生など、被りまくりで何か落ち着いて観てられなかった‥。
もちろん、演じ分けられてた本田さんとかは素敵でした☆
良かった点はというと、やはり雪が降りしきる中での井伊暗殺は、血飛沫の赤と雪の白が何とも言えず、情感があり綺麗としか言えず。
あとは加藤清史郎くんが可愛すぎて♪
1番残念な箇所が、大沢さん演ずる関氏が暗殺では刀を抜きさえしなかったところ。
がっくし‥きました。。
終盤の一騎討ちに見せ場を取っていたのかもですが、残念で仕方なかった。
1番言いたいコトは、『13人の刺客』が面白すぎました!!
(『武士の家計簿』は、今作より全然良いです!)
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