「飛び立つ小鳥。」冬の小鳥 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
飛び立つ小鳥。
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孤児院(養護施設)と少女の話、と聞くとどうしても子供の頃好きだった
漫画&アニメ「キャンディ、キャンディ」が浮かんでしまう。
施設では大人が見学に訪れる度に、この境遇から抜け出そうと多くの
子供達が正装し健気に明るく振舞う。ところが主人公は仲良しのアニー
に頼まれたことで、自分を貰おうとする養父母にわざと失態をさらし、
結果、アニーの方が選ばれてしまう。すると彼女はキャンディから去る。
ずっと一緒にいて…と頼まれていたキャンディは裏切られてしまうのだ。
…皆幸せになりたい。優しい父母に出逢いたい。ここでは普通のことだ。
だから今作で主人公・ジニに対して親友のスッキがしたことは恨めない。
そんな経験をバネにジニが一人の少女として成長していく過程を厳しく
優しく見守った作品。施設での過酷な(精神的に)毎日を彼女はどうして
耐え抜いたか。父親に捨てられた意味が分からず(というか信じたくない)
必ず迎えに来るはずだからと誰にも心を拓こうとしない頑ななジニの心を
溶いたのは何だったか。タイトルの冬に拾った小鳥を必死に看病するも
あっけなく死んでしまうさま、そのお墓を今度は自分用に掘って埋まるさま、
大人にはなかなか理解できない子供心を丹念に描き出した作品である。
主人公を演じたキム・セロンはかなり芸達者。表情ひとつで感情が分かる。
(これが原因だと涙ながらに訴えるシーンは圧巻。親に見せてやりたい)
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