カケラのレビュー・感想・評価
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男はなんなんだ?
語りがもったりしている感じはまぁいいとして、満島ひかりの男がどんな人なのか分からない。男はレズビアンなら即気持ち悪いという魅力のない感性の持ち主、ならば何の魅力があって彼らは腐れ縁なのか?結局セックスってこと?男の側のディティールを捨てるならこの尺は長いし、作り手が男に興味がなすぎ。
女同士の出会いとかすごく良いんだけどな。
レズビアンって美しくて男から見ると良いなあと呑気な認識でいたんだけど、そんなに楽な物ではないらしい。
女として美しい人が相手ならば、常に彼女の裏に潜む男の影に怯えなければならないし、相手を独占する事に対して人によっては何故か後ろめたさを感じなければならない。終わりが見えている相手と一緒にいるしかない時もある。
見ていて思ったのは、セックスを描いていない話なのだけど、女同士の恋愛における男性器の不在は大きな欠落感をもたらすのだろうなという事だったり何故かした。だからこそこの2人のセックスをしない経緯を掘り下げて観たい気もした。
この映画、問題は解決しようがないし、ラストは要らない映画だなと思って観ていたら案の定2人は出会わないのだった。語り口は素人くさいんだけどツボを押さえた映画だと思った。後半一気に巻き返したと思う。
満島ひかりは凄い。
自分がない感じの、幸薄めの感じ。やっぱ満島ひかりは凄い。最後は含みをもたせていたけど、下らない男とも別れ、女も違うなってことで、やっと自分が変われる、自分を自覚できると思ったわけですね。
自分のことも、周りの人も、好きになれるような気がした。
人はみんな何か欠けていて、それは自分だけではないのかと。
月に一度くらい満月の日があって、その欠けてないことがすごいことで、憧れてた。
でも「欠けてる月も綺麗だよ」って聞いたとき、すごく気持ちが楽になって、欠けてる自分のまま、欠けてて綺麗な皆と一緒に居たいと思いました。
映画の中では、沢山の欠けてて綺麗な人がいて、とくにリコさんが魅力的でした。
自分の気持ちをストレートに表現できる自立した女性。でも、やっぱり欠けてる所はあって、人との関わり方がハチャメチャで、誤解されることが多そう。そんな所も含めて、魅力的だと思った。
あと、この映画のもう一つの魅力は、満島ひかりさんの欠けっぷり。すっごく綺麗な人なのに、ここまで欠けた人を自然に演じる女優さんはなかなかいないと思う。
問答無用。素晴らしい作品です
2回ばかり観てきました。
特に2回目のあとには監督、満島さん、中村さんの舞台あいさつがあって (5/24)、すごく得した気分になれました。
(※以下、ネタバレあります)
◎だったところ
1.この作品全体を流れる空気感が心地よい。ゆったりした感じ。細かいことは抜きにして、もうこれだけでポイントは5です。
2.オープニングで、ハルが了太の顔をつねるところがキュウトだった。
3.了太の靴下に穴があいていたところで、了太のキャラが一発でわかったような気がした。
4.ものを食べるアップのシーンが何気に印象深かった。了太がサラダやトーストをむしゃむしゃ食べる、ハルが立ち食いそばを食べるなど。
5.ハルのイタい感じのファッションがすごく良かった。でも、舞台あいさつでの話によれば、あれはドイツの少年のファッションで、値段的にもかなりお高いそうで(?)
6.了太のいい加減さがいかにも今ふうで良かった。ああいう男が案外女にもてるんですよね。
7.ハルとリコの、飲み屋でのけんかのシーンはまじで怖かった。一瞬だったけど、本当に恐怖を感じた。でも、それがリアルで良かった。
8.ハルの朝のトイレのシーン、公園での生理用品のシーン。男からすると日常ではまずのぞけない禁断のシーンなので興味津々だった。安藤監督という、女性監督だからこそのシーンでしょうね。
9.一番良かったシーンは、2人がペットボトルを投げ合うところ。2人の仲の良さがあのワンシーンに凝縮されているような。
10.2人が絡むレズシーン(?)が綺麗で良かった。
11.バックに流れる音楽が全体的にカッコ良かった。ガンガンロックしてたなあ。作中に登場してた、パンツ一丁で雄叫びパフォーマンスのバンドはパンキッシュでイケてた、
12.舞台あいさつで3人が並ぶと、実に美しく、壮観だった。かなりどきどきした。まだ20代の、あの3人の女性がああいう作品を生んだってことが凄いと思った。ミラクルです。
13.ひとつ発見だったのは、舞台あいさつでの素顔の中村さんが、作中と違ってずいぶんと控えめでおしとやかな日本的女性だったこと。それから、満島さんと安藤さんについては、話し方や話す内容から、お二人とも非常に才媛というか頭の良い女性だなあと感じさせられた。
14.随所で鳩が効果的に登場していた(舞台あいさつの質問コーナーでは、やはり鳩について質問している人がいた)。
15.最後がハルの叫び声で終わるのがカッコ良かった。あれは何を示唆しているのでしょうか……。
△だったところ
1.ハルとリコがコンタクトするとき、ケータイの“電話”ばっかり使ってたけど、実生活ではケータイの“メール”のほうが多いんじゃないかなあ。特に仲直りしようとするところの最初とかは、電話よりメールの方がコンタクトし易いんじゃないかなあと思ったり。
2.ハルがリコと初対面して、日が変わって2回目に会うとき「じゃ、昨日のカフェで12時半ね!」みたいなアポイントメントになってたのに、その後のシーンではハルがリコの仕事場にいきなり来てた。あのシークエンスがわからなかったです。ひょっとして僕が何か見落としてるのかなあ(2回も観てるのに)。2人の間で別のコミュニケーションがあって、カフェで会わず、仕事場で会うことになった……(?)。
<追記:このレビューをアップした翌日、ツレより指摘あり、あれは2人がカフェで会ってランチやコーヒーを済ませてから、オフィスに行ったんでしょとのこと、たぶんそんな感じなんでしょう。映画の観方、修業します。。。>
×だったところ
特に無し
☆ま、何はともあれ、問答無用、お勧めの映画です。
☆それにしても、これが安藤監督の『処女作』と聞かされてびっくり。恐れ入りました。将来が怖い人だね。
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