「『安定した出来栄えで充分愉しめた』」ビッグ・バグズ・パニック 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
『安定した出来栄えで充分愉しめた』
自宅にて何度目かの再鑑賞。原題"Infestation"、冴えない男を主役に立て、突如襲来した巨大昆虫と死闘を繰り広げるコメディ要素の強いモンスター・パニックで、一種のロードムービーでもある。丁寧な作りで、クリーチャーの出来栄えも悪くない。お笑い要素も諄過ぎない程度に程好く盛り込まれており、テンポよく最後迄流れる。続篇以降を鑑みたとも思われる、想像を駆り立てられるラストは好みが別れる所であろうが、許せない程の反則技でもない。欲を云えば、何らかの捻りが欲しかった気もするが、安心して観れる充分及第点の出来。65/100点。
このテのには珍しくクリーチャーが複数の種類登場しており、それぞれ魅力的に見栄え良く描かれていた。がさつなガサガサした動きと翅音を始めとした効果音もそれっぽく佳く出来ており、このクリーチャーの説得力を高めていた。犬や人に肢が生える変態は、伊藤潤二の『ギョ('12)』か、或いは『スター・ウォーズ』シリーズの「プリクエル・トリロジー('99・'02・'05)」から登場したR.パーク演じる“ダース・モール”辺りを彷彿させる。
何かと頼れるE.Q.スローンの“ヒューゴ”、耳が不自由な設定が終盤活かされている。“イーサン”のR.ワイズは流石の存在感を発揮しており、ヒロインの“サラ”役、B.ネヴィン同様、“リーチー”のL.パークも知的な上、チャーミングで魅力的に映っていた。(ファーストネームが“クリストファー”とクレジットされている)クリス・マークエット演じる主人公“クーパー”のダメっぷりを相対的に際立たせる為か、彼を取り巻くキャラクターは個性的で辣腕を振るってそうな大人達ばかりが登場していた。
・鑑賞日:2019年2月16日(金)