「草食系オヤジ記者と肉食系ハッカー娘」ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
草食系オヤジ記者と肉食系ハッカー娘
世界的なベストセラーの映画化、そしてキリスト教絡みの難解なミステリーの謎解きといい、どうしても「ダ・ヴィンチ・コード」のラングドン・シリーズと見比べてしまう。
事件の背景にあるものは、どちらもダークだが、ラングドン・シリーズの創作された陰惨さに比べ、本作は人間の裏側にある凶暴さの表現がストレートで体現的だ。狂った陰湿さを真綿でくるむようなことはしない。孤島という密室性と、そこに住む一族内の犯行という設定が、さらに淀みを増す。
謎解きも、映画版ラングドンのように観る者を置いてきぼりにしたりしない。ミカエルはジャーナリストとしての手腕を生かし、膨大な資料を集め、そこからヒントを見いだす。そしてまた新たな標的に取材をかける。その繰り返しは地味なようで、実は観ているこちらも謎解きにどっぷりハマる。
ここにリスベットという捕らえどころのないキャラを被せてくるから面白い。しかも、天才ハッカーで頭も切れるというだけでなく、暗い過去もあり、その謎も徐々に解き明かされていく。観ていて興味が尽きない。
ミカエルは決して男前とはいえないが、好奇心は人一倍で、いったん首を突っ込んだら後戻りしないジャーナリスト。でも、やっぱり冴えない。
リスベットはパソコンさえ持たせたらご機嫌のオタッキー。しかも天才。悪魔のような凶暴性を繰り出す反面、時折、垣間見せる子供のような瞳が魅力。
素材は暗く猟奇的だが、草食系オヤジ記者と肉食系ハッカー娘のコンビによる謎解きは、意外に後味が悪くない。不思議と続編が楽しみになる。
コメントする