「勝てる空中戦」レッド・バロン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
勝てる空中戦
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憎き敵?そんなものは存在していないかのようなバロン=リヒトホーフェン(シュヴァイクホファー)。祖国のためだとか、戦争に勝つためだとか、彼には一切関係ないような・・・とにかく空を自由に飛び回り撃墜すること。何度も台詞にあるように、空中戦はスポーツなのだ。敵機を撃墜し、敵が生きていたら迷わず助け、地上では銃を持たない。特に印象的なのは、一度助けたカナダ人ロイ・ブラウン(ジョセフ・ファインズ)とノー・マンズ・ランドへ降りたときに握手を交わすシーン。彼はリヒトホーフェン。
英雄となった彼が出会った看護婦のケイト(ヘディ)によって考えが徐々に変わってゆく。貴族は好き勝手に戦争をやって、平民には選択肢がない・・・などなど。一度頭を撃たれ、病院に担ぎ込まれて親密な関係になった2人。その怪我のせいで一旦は地上の指揮官となったが、「降伏すべきです」などと皇帝に言ったものだから、また英雄として前線に駆り出される。彼の信条は「勝てる空中戦しかしない」ことだったのだ。
スポーツ感覚だったものだから、戦争の悲惨さというものに気づくのが遅かった。生涯で80機の撃墜王となったものだから、彼を英雄として崇め、ますます士気を揚げてしまったのは事実。やっぱりおぼっちゃまだったのね・・・
全編英語で話しているので、なんだか台詞が流暢ではない。それでもドイツ側から見た戦争観が描かれていて、貴族の主人公ですら上の人間が勝手に領土争いしているだけと自嘲したりする。反戦映画としては成り立っていないようにも感ずるが、バロンに次ぐ撃墜王のフォス(シュヴァイガー)だとか悲惨に戦死する映像を描かないのでつまらない・・・
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