「アイコン化されても困る」ケンタとジュンとカヨちゃんの国 もっちりもっちりさんの映画レビュー(感想・評価)
アイコン化されても困る
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東京フィルメックスの招待作品上映時と劇場公開と二回みた。
映像センスは前作のとき同様、目を奪われるものがある。
美しいと思う。
しかし時間を置いて二回みると一回目にみてモヤモヤしたものが明確に浮かび上がってくる。
わかりやすい「貧困」や「差別」や「弱者」がアイコン化されケンタとジュンという施設育ちというシチュエーションありきの薄いものに感じ取れてしまうのだ。
ケンタとジュンの苛立ちの根を理解することは可能だが共感共有には至らないのは自分の感受性に問題があるのだろうか。
かたや、カヨちゃん。安藤サクラという女優さんの力には圧倒された。天才かもしれない本当に。宮崎将も凄まじい空気を醸していた。あの虚無の瞳孔開いているんじゃないか、という瞳。
この二人の素晴らしさは鳥肌ものだ。
知的障害者の施設のバスの場面は何のために入れたのだろう。ケンタとジュンは柄本佑演じる施設の幼なじみに会いにいく。
かれは隻眼である。母親に虐待を受け抉られたという設定で(その母親役は洞口依子)現在は障害者施設で働いている。
彼の職場の利用者たる知的障害者と一緒のバスに乗ってケンタとジュンに何を表現させたかったのだろうか。
映画全体を通して社会的弱者とか搾取される側の視点を取っているのだろうが、社会的弱者ってこれを言うのだろうか。アイコン化したようなわかりやすさに、現実のほうが遥かに残酷だわな、と思った。
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