9 ナイン 9番目の奇妙な人形のレビュー・感想・評価
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“9”が持つランプは、地球の新しい灯火のようだ
つい「サイボーグ009」を思い起こす。キャラクター設定など、似通った部分もあるが、よく独特の世界観を醸し出している。また、2Dでも3Dのような奥行きのある絵作りは奇妙な臨場感がある。 ピクサーやドリーム・ワークスのアニメに比べたらダークだが、決して陰気臭ささはない。それは、人形達が前向きに生きているからだ。 世の中、便利になればなった分だけ、人と人との接点が希薄になる。コミュニケーションがとれている間柄の争いはたかがしれている。科学力を人のために役立てるには、人として大事なものを見失ってはならない。それは“思いやりと勇気”であり、人形達に込められたメッセージでもある。“9”が持つランプは、地球の新しい灯火のようだ。 80分という長さは、短いようだが、すっきりまとまった感があり、新人監督としては上出来だ。これが2時間を持て余さないようだったら、スピルバーグも真っ青だろう。 初めから最後まで、グリーン(緑色)が印象的な作品だ。
人間味溢れる個性を持つ9体の人形は素晴らしく魅力的。切なさと希望の化身なのかもしれません。
登場する人形たちは奇妙かつダーク、それでいて愛らしくもあるキャラクターは、ティム・バートンのアニメ作品にも通じる独特の魅力を放ちます。 ティムを唸らせた、そのダークでファンタジックなディティールと、ハリウッド大作をも凌ぐアクションシークエンスを併せ持つ、かつてないファンタジー映画を誕生しました。『アリスワンダーランド』よりもこちらの方が面白かったです。 背景となる荒廃した未来はスチーム・パンク(産業革命の原動力となった蒸気機関が発達し、現実とは異なる方向に発達した社会を前提として描くSFジャンル)と呼ばれる世界観に基づくもの。 破壊された街並みや、瓦礫の一つひとつにまで古きヨーロッパの懐かしい雰囲気が込められています。ティムが驚嘆する「感情に響くディティールと、記憶に焼きつく美しい世界観」が展開されていました。 物語の基本線は、「機械によって滅ぼされた人間文明」を背景に、「自分探しの冒険」というよくある話なんです。でも舞台となる世界の姿、そして「9」から「1」まで、人間味溢れる個性を持つ9体の人形は素晴らしく魅力的です。ヤン・シュヴァンクマイエルやクエイ兄弟の人形アニメにも影響を受けたというアッカー監督は、人形の質感と重量感をCGで見事に表現して、いのちを吹き込んでいました。 廃虚と化した未来の世界の古びた研究室の片隅で、奇妙な人形が目を覚ましました。麻の布地をつぎはぎした体に、あり合わせの道具を再利用したとおぼしき目や手足。腹部には大きなジッパー、その背中には数字の“9”が描かれていました。 その人形は、一見無機質です。でも動き出すのを見た瞬間から肩入れしたくなることでしょう。柔らかな何かを内包した無防備で重たい体が、自分たち人間の肉体を連想させ、思わず感情移入してしまいました。 「9」は誕生後、恐る恐る外を見ます。荒れ果てた外の世界。そこは見渡す限りの廃墟が広がっていました。「9」には自分が誰なのか、ここがどこなのか、何のために存在するのか、わかりません。かえって余計な説明がない謎めいた冒頭に、グイグイと作品の世界に引き込まれていきました。 茫然とするものの、外に出て彷徨っていた「9」の前に現れたのは、背中に“2”と描かれたボロ人形でした。「2」は壊れていた「9」の発声装置をなおし、自分たちは仲間だと語りかけてきます。自分が独りではない事を知り、ホッとする「9」。その時突如現れた巨大な機械獣の襲撃に2人は逃げまどいますが、「2」は「9」をかばって連れ去られてしまったのです。 気を失っていた「9」を助けたのは他のナンバーをつけた人形たちでした。リーダーの“1”、人のいい職人の“5”、風変わりな芸術家“6”、そして腕力自慢の“8”。彼らは機械獣の脅威に怯えながらも、その小さなコミュニティで慎ましく暮らしていたのです。 「9」は彼らに2を救出に行こうともちかけますが、慎重で保守的な「1」に阻止されます。気持ちを抑えきれない「9」は「5」を誘って機械獣たちの棲み家へと向かうことになります。 人類はなぜ滅びたのか?9体の人形は何のために作られたのか?戦いの中で次第に明らかになってゆく謎。80分という短めの上映時間のなかで、その謎が手短に上手く明かされる展開が、秀逸です。映画「カールじいさんの空飛ぶ家」の冒頭シーンを彷彿させてくれました。自らのいのちと引き替えに、「9」たちを誕生させるところでは、開発者の深い愛情を感じさせてくれました。 やがて、「9」は人類滅亡後の世界に自分たちがいる理由を知ることになります。そして、荒涼とした世界で、危険を冒しても生を全うしようとします。戦いの中で、いのちを奪われた仲間たちの魂を、解放するラストシーンが、とても感動的でした。 「9」は、人間の魂から作られました。だからわたしたち人間の短所と長所を色濃く持っています。そんな彼は、現実の世界で生きる観客にとって、切なさと希望の化身なのかもしれません。
世界観
ティム・バートンが全面バックアップということで期待を膨らませて劇場に足を運んできました☺ やはり世界観は圧倒的で、映画が始まると「ナイン」独特のダークな世界に入りこむことが出来ました。映像の迫力もあり、細かい所までよく出来ていたと思います。 しかしこの映画、キャラクターと世界観作りはみごとなものですが、それに対してストーリーが追いついていけてないように感じます。見ている側をもっと引きつける要素として、ストーリー構想にもう少し工夫が欲しいところです。正直勿体ないなぁというのが本音です。イイ所もたくさんある作品なので、この作品を手掛けた新人監督(シェーン・アッカー)にはこれから期待していきたいです。
友情と犠牲と希望
人間は全く出てこないけれど、 アニメーションだったのがむしろしっくりときた。 機械に対抗して、生き残った人形達が立ち向かっていくなんて、 人間の映画だったら使い古されたテーマだけど。 アニメの不思議な人形達が繰り広げる、人間と同じようなやりとり。 一人一人のキャラが違うし、それぞれの個性が強調されている。 ダークな機械音が結構耳障りではあったのだが・・・。 クライマックスでは涙を拭っている人もいたが、 それには少々驚いた。 ティムバートン監督らしく、全体に映像がダーク。 ちょっと大人向けのアニメーションという所か。
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