フローズン・リバーのレビュー・感想・評価
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シブい
演技が素晴らしいです。
お母さん役もラウラ役も息子役もとても見応えのある演技でした。
最初はなんかノロノロして生活感しかない安っぽい映画だなと思いましたが、サッと銃を出してドアをぶち抜いた時に一気にスリリングかつ非日常的な映画に変わりました。
この映画の主題の一つにクリスマスの奇跡があげられると思います。
ストーリー的には、赤ちゃんが死んで家が全焼して二人の息子も死んで自分も凍った川に落ちて死んでもおかしくなかったわけですが、最終的には収まるところに収まってむしろハッピーエンドといっても過言ではない結末を迎えたと思います。
だからこそ、徹底的に救いのない映画ではなく、鑑賞後にスッキリと安心するようなとても救いのある映画になっていると思いました。
貧富の差・・・
いきなり貧困家庭の現実をまざまざと見せつけられる。新しいトレーラーハウスの手付1500ドルを払っていたのに残金の4000なんぼかの残金が払えない。夫の車に置いたままにしたのだ。保留地にて見つけた車。「盗んだのね」と問い詰めても、「見つけた」と答えるライラ。しかし、保留地ではNY警察の管轄外なのだ。キーを付けたまま、夫らしき人物はバスに乗って行ったと言う・・・ちょっと魅力的だったのが密売業者に2000ドルで売れるという。そんなこんなで移民の密輸に付き合わされたレイ。パートの給料だけじゃ家の残金を払いきれないのでライラの密輸に加担することにしたのだ。国境地帯の保留地とカナダ側の保留地を凍った川を渡って往復。結構簡単そうだ。1回1200ドル・・・
順調に金を貯めて、あと一回だけというときに、中国系の女の子を二人乗せ、報酬が半額。銃をぶっ放したり、キレてしまったレイ。その後はパトカーに追いかけられ、車は薄氷のため沈んでしまった。なんとか逃げ延びたもののライラは族会議で5年間の追放。レイは見せしめのために警察に自首する羽目に・・・
なんともやりきれない展開だが、そこまで貧しい国アメリカ!というわけだ。人種の違いはあるけど、夫と死別したライラも同じく、赤ん坊を義母にさらわれた経緯があり、子を想う母親の気持ちが伝わってくる。ただ、途中から退屈になってくる・・・テロリストの武器と間違えたため移民の赤ん坊が死にかけたあたりから。
最後は自ら警察へ捕まり、自分の息子2人をライラに託すレイ。そして、振り込め詐欺を働こうとした息子は被害者のばあちゃんに謝るだけで済んだ。これがあったから、母親には何も言えなかったんだな。犯罪行為ではあるけど、生活のためなんだ!というところで評価が分かれる作品かもしれない。
低予算でも優れた脚本と演技と演出
総合:85点
ストーリー: 85
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 70
音楽: 70
登場するのは、生活に追われて化粧気もないくたびれた中年の母親とその子供二人、そしていかにも貧困層出身という雰囲気を漂わせる太ってすれた感じの先住民の女。あまり俳優らしくないそのいでたちに加えて、そのままでは生活が立ち行かない現実を前にして犯罪に手を染めていく姿を映し出していく方法は、まるで記録映像のような緊張感がある。 犯罪に加担するのか、凍った川を渡るのか、どうやって相手と交渉するのか、そんな一つ一つの決断に神経が擦り切れるような圧力を感じるし、それを見せる演出は見事。同様にこの家族と人生を背負った女優二人の熱演はかなりの見応えがあった。家族を守りたいと奮闘する二人の結末は悲しく寂しくやるせなく、だけど少しの救いもある。
IMDによるとわずか100万ドル程度の低予算で無名の映画だったらしいが、十分に見る価値がある質の高い秀作だった。低予算でも脚本と演技と演出が揃えばこれだけの良い作品が作れるといういい見本。
メキシコ人や中南米の人々によるメキシコ国境からの越境は有名だが、それだけじゃなくてカナダ国境でも海外からの密入国者の人々の越境もたくさんあるんだなと理解した。実は個人的に映画の舞台のすぐ近くの国境を車で合法的に越えたことがあるのだが、そのときはこんな問題があるなんて考えてなかったし、アメリカ原住民保護区の独立性についても勉強になった。
12chのお昼のロードショーで流れるような
12chのお昼のロードショーで見るようなちょっと古臭い画像です
アメリカの極寒のカナダとの国境にある原住民の地域で行われる
不法入国のブローカーのお話です
物語の内容が
おじさん的にはまったく受け入れる気がないものです
夫が逃げて子供2人いて大変だかなんだかしらないが犯罪で稼ぐのかよ?
なにが新しいトレーラーハウスだよ ばかか!
ありえない
しかも、ガキはガキで、オレオレ詐欺紛いのことやって
こんな安易な設定ではまったく同情もできませんね
おじさんはこんな犯罪者は、氷の川に落ちてしまえばよいと思いました
やっぱりタランティーノとおじさんは気が合わないかもしれないな
イングロは有りだったんだけど・・・
潔い肌肉と行動。
名画座にて。
公開時にかなり話題になったのを思いだす…。
タランティーノも絶賛したらしい。なるほど…と思える。
何時ぞやも書いた気がするんだけど、
「女性」監督が「女性」を描くとこうなります。の貧困版^^;
どちらの女も、愛らしさとか艶っぽさとか全てに欠けて
おり(すいません)本当に辛いのよ感が面前に迫りくる。
もうハッキリ言って皺とか肌肉を見てるだけで、辛い。
旦那に新居の資金を持ち逃げされた子持ちの中年女と、
旦那に死なれ子供を義母に獲られてしまう先住民の女。
二進も三進も行かなくなった二人の前に広がる凍川…。
うーん、設定が面白いうえに巧い。
まずハリウッドじゃ観られないような展開を見せる。
緊迫感はそこそこなんだけど絶対絶命感が莫大((+_+))
だいたい食事がポップコーンだけ。ってどうなのよ~。
どう見ても子供達は育ち盛りだぞ。
息子がお母さんに電話して「ゆで卵があったでしょ!」と
言われるシーンがあるんだけど、エ?ホントそれだけ?
(一応理由は給料前だかららしいが)いやいや、新居の
資金だけじゃなく全財産持ち逃げされたんじゃ?である。
しかし私的にツボだったのは主人公の息子で、
そんな母親を助けるべく、なぜか庭でメリーゴーランドを
直している^^;直したら売って生活費や学費の足しにする
という目的みたいだが、何か他に思いつかないのか?と
思えるほど呑気で笑える。ついにはオレオレ詐欺商法に
手を出すことになるのだが…。(ラストに乞うご期待)
違法ビジネスに手を出したとはいえ、切実な二人の姿を
見ていると(しかもこの二人、ちっとも仲良くならないし)
なぜだか悪いことをしているように思えず^^;
失敗したか…!?と思った瞬間に、二人の間の緊張感が
ピークに達し、川より凍りつくところなども秀逸。
安いお涙頂戴モノになっていないところなども素晴らしく、
女だからと甘く見るんじゃねーぞ。感も絶大。
ラストの選択には、そうきたか…というこれもまた意外で、
かといって不幸なラストでもない。
この一家には、夫が帰ってこない方がいいんじゃないか?
大きなお世話ながら原因を作った夫がまったく出てこない
ところなんて、やけに潔い^^;
(いくら凍っていてもその上を車で…つーのは怖いですねぇ)
お母さんのハードボイルド
「戻ろう」「それしかないわ」にシビれた。
うなだれた白人女性レイの、生足のアップ。涙でにじんだマスカラ。さびついた浴槽。
女性監督ならではの視点が光る。しぼんだ肌に彫られたタトゥーやパンダ目や湯垢が、貧困にあえぐ女の絶望を、言葉より雄弁に物語る。
レイは高額の報酬目当てで、密入国ビジネスに加わった。相棒は先住民族のライラ。二人の間にも、まともな会話はない。見ず知らずが最悪な出会いを経て、互いに我が子を養うためだけに組んだのだ。人種の違いも手伝い、不信も露にいがみあう。
そんな彼女達が、密入国者の赤ん坊の危機に迷わず「(助けに)戻ろう」「それしかないわ」決断はやっΣ(@д@)
報酬は既に懐、危険な救出、しかも他人の子…
なのに、たった二言で反発をかなぐり捨て、同志になれる。夫や姑の愚痴で傷を舐めあうママ友ではない。子供への想いだけを武器に、全てをなげうつ戦友だから。なんて潔く、カッコいい。
最後まで会話は必要最小限、笑顔さえ交わさないレイとライラだが、それでいて(あんたならわかるでしょ?)的な、目と目で伝わる絆が確かにある。
新人監督の初長編は、ハードボイルドな母親達。小粒でもピリリと辛い佳品。これだから、ミニシアターはやめられません。
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