「低予算でも優れた脚本と演技と演出」フローズン・リバー Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
低予算でも優れた脚本と演技と演出
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総合:85点
ストーリー: 85
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 70
音楽: 70
登場するのは、生活に追われて化粧気もないくたびれた中年の母親とその子供二人、そしていかにも貧困層出身という雰囲気を漂わせる太ってすれた感じの先住民の女。あまり俳優らしくないそのいでたちに加えて、そのままでは生活が立ち行かない現実を前にして犯罪に手を染めていく姿を映し出していく方法は、まるで記録映像のような緊張感がある。 犯罪に加担するのか、凍った川を渡るのか、どうやって相手と交渉するのか、そんな一つ一つの決断に神経が擦り切れるような圧力を感じるし、それを見せる演出は見事。同様にこの家族と人生を背負った女優二人の熱演はかなりの見応えがあった。家族を守りたいと奮闘する二人の結末は悲しく寂しくやるせなく、だけど少しの救いもある。
IMDによるとわずか100万ドル程度の低予算で無名の映画だったらしいが、十分に見る価値がある質の高い秀作だった。低予算でも脚本と演技と演出が揃えばこれだけの良い作品が作れるといういい見本。
メキシコ人や中南米の人々によるメキシコ国境からの越境は有名だが、それだけじゃなくてカナダ国境でも海外からの密入国者の人々の越境もたくさんあるんだなと理解した。実は個人的に映画の舞台のすぐ近くの国境を車で合法的に越えたことがあるのだが、そのときはこんな問題があるなんて考えてなかったし、アメリカ原住民保護区の独立性についても勉強になった。
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