「ライアンの仕事とプライベートライフ」マイレージ、マイライフ SAOSHIーTONYさんの映画レビュー(感想・評価)
ライアンの仕事とプライベートライフ
はっきり言って今までのジョージ クルーニー作品の中で上位に入るこの作品。冷酷な解雇宣告人を演じる一方で繊細でやさしい一面を演じ分けるのは誰にでもできることではありません。今回のクルーニーは冷徹なんですが、どこかチャーミングでありウィットにとんだクルーニーです。過去にも「アウト オブ サイト」や「オーシャンズ11」でも似たような演技はしていましたが、今回はまったく軽い印象を見せず決めるときには決めるクルーニーがここにいて、それがアカデミー主演男優賞へのノミネートに繋がったのだと思います。
解雇通告人のライアンは1000万マイルを目指し飛行機で旅を続けダラスでアレックスという女性と出会う。さらに仕事面では新入社員のナタリーがネット上で解雇宣告ができるシステムを開発するが、ライアンが反対したためナタリーの教育係をする破目になります。そして、妹・ジュリーが近く結婚するため旅の先々でジュリーとフィアンセのジムの写真の映ったボードを持ち様々な場所で写真を撮ることになります。
注目はジョージ クルーニー、ヴィラ ファーミガ、アナ ケンドリックの演技とリッチな脚本のそして、名シーン、名セリフの数々です。クルーニーのことは冒頭で言ったので言いませんが、ヴィラ ファーミガはセクシーでチャーミングなヒロインを熱演。まさかあんな展開が待っていたとは思ってもいませんでした。それこそ冷徹な一面とチャーミングでウィットニとんだ一面を演じ分けている。実はものすごく冷酷な女性だということを完璧に隠して演じるのは難しいでしょう。それがすごかったです。アナ ケンドリックはビシッとしているときとドンクサイ一面を使い分けて演じていてとてもいいです。
それから、ストーリーも素晴しいのです。ジェイソン ライトマン監督は結局何が言いたいのかというと人は孤独な生き物であり、繋がりを持っている人はラッキーなんだということだとお思います。人との繋がりがいかに大切かを教えられた気がします。もし大切にしなければ、ライアンのようになってしまうのでしょうね。そして、死ぬときは孤独になってしまうのでしょう。それが監督が描きたかったことなんだと思います。
いずれにしてもこれは傑作です。まだ観ていない人はぜひご覧ください。DVDは既に出ています。