「ジェイソン・ライトマンがいればしばらくは北米映画は安泰か」マイレージ、マイライフ antさんの映画レビュー(感想・評価)
ジェイソン・ライトマンがいればしばらくは北米映画は安泰か
ジェイソン・ライトマン監督の特徴と言えば大人になりきれない大人だ。「サンキュー・スモーキング」は分かりやすいが、女子高校生を主役に置いた「ジュノ」ではそこが分かりにくいが、里子に出すつもりの夫婦がそれに当たる。監督は妻を、女性脚本家は夫をチクチクといじめる。とくにジェイソン・ベイトマンはこれを得意役としている。
そのジェイソン・ベイトマンが会社のトップというのは皮肉だ。さらにジョージ・クルーニー演じるライアン・ビンガムが彼の部下。ビンガムはもちろん独身、リストラ代行をテキパキとこなし、飛行機のマイルを貯めることを生きがいにしている。これだけでも子供っぽいが、彼にかかわる女性を見るとそれはさらによく分かる。一人はアレックス、彼女はライアンに似てマイルを貯める趣味も同じだ。ライアンも一時彼女に入れ込むが、本当は彼とは違うタイプであることが分かる。もう一人はアレックス、彼女はネットによるリストラを提案しライアンを困らせる。アレックスは大人になりきれないと言うよりは発展途上だ。
この二人の係わり合いを描くことでライアンの人となりが浮かび上がってくるあたりはうまい。最後の決意を固めて元の仕事に戻ろうとするジョージ・クルーニーの姿が素晴らしい。脇のダニー・マクブライドやちょい役のザック・ガリフィナーキスも良い。
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