劇場公開日 2010年3月20日

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「人の心の機微は、いずこも同じ」マイレージ、マイライフ k.moriさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5人の心の機微は、いずこも同じ

2010年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

主人公は、リストラ宣告を会社に代行して行う会社にいる。リストラといえば、アメリカの典型的なカルチャーで日本よりもずっとドライに進むものと思いがちだが、宣告された者の、怒りや悲しみは、日本もアメリカも同じだ。当たり前といえば当たり前なんだろうけれど、この映画を観ていまさらのようにそのことを感じた。

映画中にスポンサーと思われる会社のロゴや社名が何度も出てくる。こういうことはこれまでのアメリカ映画ではあまり感じなかったことだが、やはり不況で映画産業も厳しいのかなと思ってしまう。航空業界とホテル業界。不況とIT化で出張が減ればどちらも打撃を受ける業界だろうけど、何だかこの映画、この二つの業界のお抱え映画的な要素もありそうである。

ストーリーは、後半にいたるまで実にたんたんと、普通に進んでいくのだが、後半に入りちょっとしたどんでんがえしがある。それまで極めてノーマルに話が進んでいただけに、ショッキングに感じられた。

助演の女優でジョージクルーニーと出張先で関係が出来る女性(ベラ・ファーミガ)が非常に魅力的な演技をしている。

映画の出来としては、シックでしみじみとした雰囲気(ジョージクルーニーの出演作に多いのだが)があり、個人的にこういう空気感は好きである。今という時代、人生のあり方などを考えさせてくれる佳作だと思う。どういうわけだろう。リストラのことだけではなく、映画全体を通して、アメリカ人も日本人も、人の心の本質は変わらないのだなということを、いまさらのように改めて感じさせてくれるシーンが多いように思われた。

ジョージクルーニーは、俳優としても、一人の男としても魅力のある俳優で、こういった社会派の映画に多数出演しているが、ゆくゆくは政治の世界に踏み出す計画でもあるのであろうか。ふとそんなことを感じさせもする作品である。

k.mori