「シネマイレージ、マイライフ。」マイレージ、マイライフ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
シネマイレージ、マイライフ。
本作の少し前、NHKでリストラ会社のドラマをやっていた。
内容が本作とダブって^^;更に観る気が倍増してしまった。
なんだろう、この世代感の捉え方というかリアルな印象。
この監督のどの作品を観ても、明確なあらすじは見えず、
先がどうなるか分からないのに、なんだかフワフワとして
先急ぎもなく歩幅が一定、ゆったり散歩調の話の進め方。
まだ32歳!?なんか世間を達観視してるなぁ。
初めからジョジクルを主人公に設定したというこのお話、
本当に彼にピッタリとハマっていて^^;気の毒な位だった。
でもこれって(1000万マイルは尋常じゃないにしても)
普通の中高年から見て、それほど珍しい話じゃないなぁ。
なぜなら私だって、常に彼と同じことを考えるからだ。
例えば…
ポイントだのマイルだのが貯まるのならばそっちを優先。
夕方のスーパーのレジで早い列を見抜くのは当たり前。
同僚に本音など語らない。ランチの付き合いも広く浅く。
家族と関わると愚痴られるばかりなのでなるべく離れる。
あぁ~気付いたら、本当にやってる。(爆)
でも、どうだろう。人間って皆こうなんじゃないの?
私はこのビンガムという男が冷淡で嫌な奴とは思えない。
リストラ宣告人なんていう仕事をやってりゃ、ストレスは
溜まり放題、他人からは憎まれ放題、ヘタすればいつ、
命を狙われるかも分からない立場だ。仕事とはいえ…^^;
そんな毎日を無難に乗切るには、自身の感情に蓋をして
心の荷物を減らすしか方法はないじゃないの!と思える。
いや、いいんですよ。
どっかの誰かさんを捕まえて連日連夜仕事の愚痴を言い、
今俺はもう壊れそうなんだ!やってられないんだ!なんて
そんな他人の迷惑を考えないモノ言いができる人だったり、
酒や不倫に溺れて、果てはドラッグにまで手を染めるほど
精神を病んでしまい、心身共にボロボロになってしまったり。
(すいませんね、いつも大げさで^^;)
そうならないための!ザ・防御策。とでもいうんでしょうか。
なんかくだらない話で長くなってしまったけど^^;
でも思い起こせば、自分がまだ若かりし頃(あったんです!)
仕事にも結婚にも夢を持てた?頃、新人のナタリーのように
他人と関わることを面倒だなんて思わなかった。若さには
怖いもの知らずの!ザ・度胸。という武器がある。他人から
生意気だとかふざけるなとか、それすらも激励と受け取れる
単純なやる気と熱いだけの使命感、更に上昇志向の強い人
なら、並いる御大やお局を蹴散らす跳ね馬の勢いすらあった。
まさにこの、ナタリーそのもの^^;それが若さなんだよね。
さて…無難にマイルを貯めて夢を実現しようとした彼が、
思わぬ人生の(無駄?)に出逢って、やや回り道をし始める。
その(面倒くさい?)人間関係に合理的な自分がYesを出す。
彼が難なくマイルを貯めてこられた背景にある「安定」。
ある程度それを味わえた人間は、ここいらでちょっと方向を
変えてみるのもいいかな。なんて思ったりもする。歳だね^^;
これだけ他人の人生を見てきた彼には新人ナタリーの言う
「本音」がとても眩しく思えたはず。彼にフラれて泣き喚く
クソ生意気な娘が、素直に荷物を受け取る術を教えてくれた。
うん、ここまではとても良かったのだ。が…。
妹の結婚式(確かにコレもいい話ではあるが)や、アレックス
との絡みが主となる後半は、かなりカントリーな味に変わり
そこまで一気に雪崩れ込むか!?という違和感がやや残る。
あれ?ここまでのペースはどうなった?と監督に心で質問。
せっかく地上に舞い降りたのに^^;あのスパイシーな結末。。
まぁ、人生なんてこんなもんかぁ。
でもそんな想いにさせてくれたナタリーには、お礼をしよう。
頭だけじゃなくて心で思ったことも少し、付け加えてみよう。
そういうことですかね?ジョジクル兄。
ところでいつも思うんだけど、
向こうのヒトってあんなにマリッジ・ブルーになるもんなの?
それも毎回、当日って…どうよ^^;
(私もシネマイレージ貯めてます!マイ・シネマライフ万歳!)