「マイルも良いけどワイフも良いよ」マイレージ、マイライフ MAPLEさんの映画レビュー(感想・評価)
マイルも良いけどワイフも良いよ
マイルの上級会員特権を活かし、空港で待つ事なく、旅慣れした所作で颯爽と出張を続けて国内外を飛び回り、解雇宣告の仕事を請け負うスマートなジョージクルーニー。でもそれは、誰かと深入りする事なく家を空けている方がしっくりくる宙ぶらりん体質だから。
やっと人間関係に本気になれたのに、恋愛相手は既婚者子持ち、大ショック!しかも、自分が重ねてきた人間関係の中で1番深く考えた女性との関係は、相手にとっては、息抜き、はけ口だったとは!
そんな中、ずっと人生の目的にしてきた1000万マイル達成を飛行機の中で迎えるジョージクルーニー。なんだか虚しさ漂う上に、夢見てきた、機長と会話できる貴重な時間も、機長の「よくお時間がありましたね」の言葉でなんだか一気に空虚に感じる。かつての日常の多くを、飛行機に乗って、言葉巧みに人を解雇する事に費やしてきたけれど、同じく国内を飛び回る仕事の女性と出会い、新入社員を連れて仕事し、妹の結婚式を経て、自分自身の人生の密度を高めても良いのかなとやっと気づいた。貯めたマイルは妹夫婦に捧げ、辞めた新入社員の転職サポートをし、ドライだった暮らしが少しだけウェットになった。
そりゃ、綺麗で仕事もできて楽しくて成熟していて気がきく女性が、34まで独身だと思い込む方が子供だわ。周りがほっとくわけないもの。相手役の女性は、デスパレートな妻たちのリネットみたい。
結婚は墓場だけれど、1人より2人の方が楽しい、副操縦士が必要だっていうのは、ほんとそうだなと思った。
結婚反対だったジョージクルーニーもなんだかんだで、幼少期を過ごした故郷を女性と共有できてとっても楽しそうだし、妹の結婚式すら1人で出るのに気が引ける寂しがり屋。心は本当は求めているのになぜ結婚嫌いになったのかは、父親がいなかったことが原因なのかな。姉も結婚生活がうまくいっていないし。
自身もドライに見せて実はそこはやはり年配者。人との関係性は、チャットや一方的なテレビ電話では成り立たないことを、身を以て新入社員に理解させたジョージクルーニー、さすが。