ロフト.のレビュー・感想・評価
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“アメリカ的”な作品
冒頭から緊迫感あるシーンがスピーディーに展開され最後まで気が抜けない。本国ベルギーで大ヒットを飛ばしたこのサスペンス・スリラーは、実に“アメリカ的”な作品だ。
5人の男たちが妻に内緒で共有している高級マンションのロフトスペースに、手錠につながれた血まみれの女の死体が!この時から5人の間には、猜疑心と暴露や裏切り行為など様々な「思い」や「狙い」が交錯する。秘密を共有するほど信頼していた男たちの、内に秘められた「思い」や「狙い」、もう誰も信じることができない・・・。
物語は、事件現場となるロフトと警察の取調室、そして複線となる過去のシーンがめまぐるしく変化し、片時も目が離せない。そのスピーディーな展開とスタイリッシュな映像は、まるでハリウッド映画を観ている様だ。アントワープという歴史ある都市を舞台にしていながら、登場するモダンな建築物や、情事部屋となるロフトルームを含む、登場人物のライフルタイルがとても近代的でオシャレ。オランダ語を喋っていなかったら、ニューヨークが舞台と勘違いしてしまいそうだ。『アパートの鍵貸します』と『ユージュアル・サスペクツ』を合わせた様と例えられる本作のどんでん返しと驚愕のラストシーンは、誰もが予想しえない。ヨーロッパ映画は苦手と思っている人にも、すんなり受け入れられる作品だ。それ以上に本作を観てもらいたいのは、30~40代の既婚男性だ。「不倫」をテーマにした本作は、密度の濃い大人の恋愛の「怖さ」が描かれる。情事が恋愛に変わる時、男たちの「秘密」が1つ1つ暴かれていく。本作の教訓は、妻や友人に「秘密を持つ」ことではない。どんなに信頼のおける友人でも「秘密を共有」しないこと。共有された秘密の“ロフト”が無ければ、不倫すら経験しなかったであろう、普通の男たちの悲劇・・・。
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