パーマネント野ばらのレビュー・感想・評価
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違和感の正体
主人公の菅野美穂と教師の江口洋介の恋に関しての描写があまりにも不自然。学校に部外者が入って、教師と親密そうに歩いている状況など、私の想像力では納得できない。
また、周囲の人々のダメダメぶりからすると、この二人の「まっとう」な感じに歯が浮いてしまう。
画面の深度を意識したカットを重ねあげる点や、小道具の上手い利用、小池栄子、夏木マリらの素晴らしい人物造形のおかげで、くどい説明的な部分を感じさせない。
その中でも、主人公の義父である宇崎竜童がダメ男のダメ男たる所以を語る「夜中の2時のスナック」のセリフが忘れられない。
異論は多いかも知れないが、レオス・カラックスの映画を思い起こさせる。
このような純映画的な演出がしっかりとなされているにもかかわらず、菅野と江口の浮きっぷりに不思議な違和感を感じたのだ。
しかし、映画の終盤になって、この違和感が映画全体を支配する仄かなサスペンスの演出であったことが解る。
主人公の小学校時代の回想にむしろ騙されていた自分に苦笑いである。
この違和感を生み出した菅野美穂の演技力と、ここまで観客を引っ張ることに成功した吉田大八監督の演出力には脱帽である。
『桐島』より面白い
これで、吉田監督の作品鑑賞は2作品目です。大ヒットの『桐島』とこれ。
実は私、正直に申せば『桐島』はあまり好きになれなかったんです。それは『桐島』のレビューに書いたとおり。だから正直に申せば、吉田監督の作品を今後積極的に観るということはなさそうだなぁ、と考えていたわけです。
でもそんな私がついついこの『パーマネント』を観てしまったのは、そう・・・偶然BSでやってから・・・
しかしっ! そんな偶然での出会いではあったのですが、観てよかったと思える作品でありました!
なんでしょうね、最初は「あぁ、やっぱり吉田監督だわ」みたいな感じで批判的な気持ちだったんですよ、正直。特に前半、なんだか邦画独特の、という感じのユルい笑いでつないでいくところとか、私的にはキツイなぁと思っていたんですけど、そうですね、どこら辺からだろうか、うん、やっぱり菅野美穂と江口洋介の邂逅が描かれ始めたくらいからですかね、特にそうした場面での菅野美穂のテクテクした不器用な歩き方を観たところぐらいから、それでもって菅野美穂が寂しさを泣きながら訴えるあたりから、なんかこの映画の結末が知りたくなってきたって感じがあるんですよね。まぁ、要は菅野美穂の魅力にやられたということでしょうかね。
そしてラストの展開・・・菅野美穂の決定的セリフ・・・正直、ドキッとしましたよ。なんというか、まったくこうした展開を予想してなかったんで、急に恐ろしいものを見せられてしまったというかね。
『桐島』と『パーマネント』の違い、なんだろうなぁ・・・と考えましたですね。やっぱり『桐島』はあざとい感じがしたのかなぁ・・・などと考えてしまったりです、はい。
今まで観た邦画の中で一番衝撃を受けた映画です。
今まで観た邦画の中で一番衝撃を受けた映画です。
邦画独特のほのぼのした雰囲気を持ちつつ、
ミステリーのようなどんでん返し。
こういう映画をもっと観たい…!!
吉田大八ツボです。
残りかすの町
久しぶりにすきーな映画だった
ともちゃんみっちゃんとの関係も好きだし、町の人もすき。みんなの口には出さないけど、心配だったり思いやりだったりが溢れてるのがよくわかる。
悲しみの描き方が美しかった。めちゃくちゃ切なくなった。
江口洋介凄まじくかっこよかったな、役柄がよかったし、気持ち悪い感じがなかった。かっこよかった〜
菅野美穂、すごく優しい喋り方。静かなのが良かった。すっぴん?なのかなあれは。可愛く見えた。良かった。
掘り出し邦画でした。
パンチが効いてる、けど優しさも溢れてる
正直終盤に差し掛かるまではちょっと微妙かなと思いながら見ていたのですが、菅野美穂が演じた主人公なおこのとある秘密が明かされてからは様相一変、今まで見ていた景色がガラリと変わる演出には、思いっ切りしてやられました!
ずっと違和感は感じていたんですよね、何か微妙に変だなって。
しかしなおこの秘密がアレならば、それまでの違和感もなるほど納得、全てのエピソードや台詞が、最後は見事に集約って感じでしたね、お見事でした。
さすがは吉田大八監督ですね、途中まではやらかしたかなと思ったけど・・・。
それにしても、作品の舞台となった寂れた港町(高知県なのかな)の女性達のパワフルさと言ったらもう・・・引くぐらい凄かったですね(苦笑)
特に美容室パーマネント野ばらの常連のオバちゃん達の会話が、ほぼ下ネタと言うのがまた何とも・・・。
トンデモ女性ばかりが住む田舎町、主人公のなおこは内心では毛嫌いしていましたが、それは見ている側も思わず納得でした。
でも秘密が明かされた最後には、町の印象は全然違ったものに変わってましたね。
なおこの親友2人も、おばちゃん達以上に個性的でパワフルでした。
小池栄子が演じた男勝りなみっちゃん、池脇千鶴が演じた強烈に男運の無いともちゃん、2人の生き様は笑っちゃうぐらい悲惨なものでしたが、それでも恋する乙女心には・・・自分に正直に生きている姿には、妙に清々しい気持ちにさせられました。
どんな恋でも無いよりマシ、最初は見ていて痛々しかったけど、終わってみれば格言だなぁ~と、しみじみ。
一方のバツイチ子持ちのなおこは、江口洋介が演じたイケメン教師カシマとラブラブな模様、でもどこか違和感、そして2人の恋の結末は・・・。
江口洋介が、今回はいつにも増してカッコいいなと思いながら見てましたが、そう言う演出にしたのも、結末を見れば思わず納得でした。
全て分かった上で優しく見守る夏木マリが演じた母親がまたいい味出してましたね、そして菅野美穂の受けの演技も本当に素晴らしかったです。
切なさたっぷり、でも優しさもたっぷりな良作映画でした。
見逃さないで。
主人公には特にこれといったエピソードもなく話が進む。
バツイチ子持ち、素敵な恋人がいるのに、何故か孤独感に苛まれるなおこ。
途中なにが言いたいのか解らなくなって困惑する。それでも、役者がいいから観られる。最後の最後、一気に視点が変わる。
散りばめられた伏線が一気に繋がる。
全てに納得が行く。
人々の優しさに気付く。優しい。
でも切ない。すごく切ない。
退屈に思うシーンも、大切なラストまでの伏線。
台詞ひとつ、場面ひとつ、見逃さないでほしい。
こんなに風景が変わる映画は初めて
基本ほのぼのとしたおバカな女たちの物語といった感じなのに、最後で全ての伏線が回収された瞬間の衝撃は言葉に出来ない。おバカじゃなかった…。こんなに風景が変わる映画は初めて。
ただの
ただのゆるふわ日本映画かと思って観たら全然ちがうかった。
まともな人間が、みんな出て行ってしまうから、みそっかすみたいな人間ばかりが残ってしまう。
でも、それでいい。
そんな町だから、なおこを優しく受け入れているんだろう。
ラストの終わり方は個人的にすごく好き。
女の人なら、もっといろんな楽しみ方があるだろうな、この映画。
20140102-022000-映画「パーマネント野ばら」
感想を一言でいうと
幼馴染の女の子ってこんな感じなのかな?
昭和な匂いで物語は進んでいく、なんとなく心地よい雰囲気だ。
なおちゃんの妄想は意味分からんけどね。それがいいエッセンスなのかもしれない。
ふんいきだけじゃなかった
心地よいよ、と言われて観てみた。
このゆるさだけでも、あたしは良かった。
けど更に奥があって、その奥があるから、今までのお話にも深みが増すような、そんな感じ。
おばちゃんの会話もええけど、ももちゃんの感じと相成ってよい。
期待以上でよかった。
魅力的な女性達。
ストーリーの是非は置いといて、この作品の女性はすごく魅力的である。菅野美穂はやはり、すごい女優です。特別な美人ではないが秘めた思いを訥々と演じていて、心がキュンとなります。また、凄まじいダメンズ好きを演じた、池脇千鶴もアップになるシーンではその童顔とは違う一人の女を演じていて色気を感じる。また、屈託のない、感情豊かなママを演じる小池栄子も心惹かれる女優です。他、魅力的で濃いキャラの女性がわんさかでてます。女性目線で女性自身が主役の映画なので、男性はどうかな?と思いましたがいやいや、いい作品でした。最後に大笑いした、シーン、電柱ぶったぎる惚けた親父。そういえば、私の父は若い頃、北九州で有名なやんちゃ3兄弟でマンホールの蓋を
地金屋に売って金にして、生活にあてていたとか。ぼけたら、蓋もってかれたら困るなあ(笑)
悲しくて、怖くて、愛しい。そしてお下品。
育ちは横浜、暮らしは京都。利便性と人混みに囲まれて生きてきた私は、「田舎」というものがさっぱり分からない。大学で田舎から出てきた友人の話を聞けば、「コンビニの種類がない」だとか「1時間かけて山を下りて学校に通っていた」だとか、驚かされることばかりである。しかし、その話をする彼女たちの口調はどこか愛情を含んでいて、恋人の文句を言っていても何だかんだでノロケ話をしている、恋人の話をする女によく似ている。
映画「パーマネント野ばら」は、実にリアルな「田舎くささ」を感じることができる作品であった。ダサくて、下品で、あたたかくて・・・そんな世界観を作る映像には、都会育ちの私さえ懐かしさを覚えてしまう。
この映画を端的に言えば、「ホラー映画」だ。世界観や演技のリアルさの上に成り立つ人の心が作り出すホラー。爽やかな広告からは想像しがたいが、監督が吉田大八、主演が菅野美穂の時点で「何もない」はずがないのだ(鑑賞するまで原作者西原理恵子の自伝映画だと勘違いしていた私が言えたクチではないのだけど・・・苦笑)。この「ホラー」を成り立たせるために作り込まれている「リアルな世界観」が、さすがだなぁと感心してしまう。全員パンチパーマのおばちゃん達の会話や、見ていて恥ずかしくなるような菅野美穂と恋人役江口洋介のからみもすごくリアル。あぁこういうことするする・・・と見てて本当に恥ずかしくなった。
私の評価は☆3つ。
配役も映像も良かったけど、期待しすぎたかな。同監督の前作品「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」ほどの新しさもなく、全体的に及第点。良かったけど、特別すばらしくもなかった。
しかし、「腑抜けども・・・」がスカッ爽快に終わるのに対し、「パーマネント野ばら」はじわじわくる。また見たくなる。そういう意味では、見る度に評価が上がっていく作品なのかもしれない、と感じた。
あと、音楽がすごく良かった!福原まりさん、要チェックだなぁ。
高知弁に萌え~~♪
明日のおはシアは~
“パーマネント野ばら”を紹介します。
5月22日に公開されていた作品です。
主演は菅野美穂さんお母さん役は夏木マリさん
主人公の友達に小池栄子さん池脇千鶴さんと
演技には定評のある女優さんがズラリ。
物語は・・・
高知県の海辺の町。主人公のなおこは
離婚して娘を連れて実家に戻り、母親が経営する美容室
パーマネント野ばらを手伝っています。
常連客は下ネタ好きの近所のおばちゃんたち
この人たちが、イイ味だしていますよ~。
映画に登場する男性(なおこの母親や友人の夫たち)は
全員ダメダメな人ばかり。
ただ一人イケているのが、なおこの今の彼(江口洋介さん)。
なんですが、ただこの人にも大きな秘密が隠されています。
小池栄子さんの激しいシーンに使われる
フラメンコギターは、なかなかイイ感じ。
過去と現在の流れも場面転換が上手だし
あちこちに伏線があって、後でほ~そうなんだぁ。と
納得出来ちゃうエピソードも結構あります。
また高知弁が良くて。特に菅野・池脇ペアの
優しい緩やかな高知弁は癒し効果もアリです。
所々、笑いの起きる場面もあったりしますし
“パーマネント野ばら”私は星、3つで~す。
西原さんが2回観て2回とも号泣したらしいです
このストーリーの流れ
今年の潮流なのかなぁ
予告編にそれらしきヒントは
出ていたけど、ココまで続くと
感動の沸点は、下がっちゃうよね・・・
上映終了後、頭に浮かんだ感想には、
類似作品タイトルもあったのですが、
それを書いてしまうと、速攻でネタバレに
なってしまいますので、ここは勇気を持って割愛します(苦笑)
上映終了後の反応は
どちらを多勢と見るべきか
判断が難しいところでして、、、
①映画祭上映にも関らず、上映終了後
劇場から拍手がまったく起こらず
(一応、私はお義理でするつもりだった。
拍手をしないほどつまらなくはなかったし、
エンドロールでは作品の余韻に浸れましたから)
②吉田大八監督ティーチイン後、
映画館を退出する皆さんの表情は
笑顔の人、多し。特に女性のかたの笑顔が目立ちました。
あとは、映画祭関係者らしき人の姿が、ここまで目立ったのも初めてかな(苦笑)
西原さん原作
『いけちゃんとぼく』『女の子ものがたり』
吉田監督
『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒオ大佐』
舞台上の監督、司会者、質問者の女性からは
「過去の西原さん原作の映画の中では断トツだった」
また、
「西原さんが2回ご覧になられて2回とも号泣していた」
とも、今作を紹介されていましたが、
単に、私が天邪鬼なだけなのかな???
そう、言われると、
どうも発言に恣意的なものを感じてしまって
ドン引きしてしまうんですね。身内で褒めあうのは舞台裏だけにしようよ、と。
通常、上映後のティーチイン終了後は、
テンションだけでなく、作品への評価も上がるのですが、
今作に関しては、まったく逆の展開になってしまいました。
司会者が
「もう観るのは今回だけでいい人、手を挙げて」と
質問をしたとき、大真面目に手を挙げてやろうかと思いましたからね。
そこは大人の対応で我慢しましたが、
ここまでグダグダのティーチインは、
私自身のコンディションもあるのでしょうが、初めてでした。
◇ ◇
西原さん作品、吉田監督作品、
ハズレはありませんでしたので、楽しみにしていました。
今作、わたしの中では、
断トツとまでは行きませんし、
号泣もしませんでしたが、作品世界を
十分に味わい、堪能させていただきました。
原作者の西原さんが2回観て2回とも号泣していた
これが案外キーワードかな、と思っていまして、
つまり原作者の意図が今作では、キッチリと表現されていると
いうことだと思うんです。だから、私のように原作未読の人よりも
既に原作を読んだ上で、原作を良かった、と感じて劇場に足を運んだ人のほうが、
今作に対して、未見の人と比べると、心を激しく揺さぶられるのかな。そんな気がします。
◇ ◇
菅野さん、池脇さん、小池さん。
大好きな女優さんばかりで、みなさん
それぞれ個性を発揮されていましたが、
一番心に残ったのは、このお三方ではなく菅野さんの娘さんを演じた女の子。
要所要所で垣間見せる
なんとも表現しがたい
表情がとても印象に残っています。
ネタバレ防止でひとつだけにしますが、
海に買ってもらった自転車が落ちてしまうシーン。
海に落ちた自転車を見つめている表情
悲しむだけじゃなくて、そこには
普通あの年頃の女の子なら受け止めきれないであろう
様々な出来事が彼女の中で、グルグルと蠢いているように見えて
なんて表情をするんだろ
ここで映画の世界の中に完全に入り込むことができました(笑顔)
☆彡 ☆彡
撮影されたのは高知県宿毛。
劇中でパーマ屋として使われた場所は、
現在「野ばら記念館」として撮影風景写真などが展示されているそうです。
また、劇中にも地元のかたが多数出演。
映画後半の某シーンでは、地元の人が
役者の演技につられて一緒にフレームインしてしまったことも。
ちなみに、このシーン、そのまま劇中で使われております。
え~~~、プロかと思えるほど、まったく違和感ございません。
吉田監督が教えてくれなければ、まったくわからなかったでしょう(苦笑)
こうしてレビューを書いていると
1日寝かせたこともあってか頭の中が
整理されてくるのが不思議だし、うれしい(笑顔)
星の数は迷う所ですが、
地元の温かい心と吉田監督のサービス精神を
プラスして、3,5点とさせていただきます。
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