「予想しなかったラストが素晴らしい、菅野美穂、小池栄子が素晴らしい!」パーマネント野ばら Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
予想しなかったラストが素晴らしい、菅野美穂、小池栄子が素晴らしい!
何を勘違いしたのか「パーマネント野ばら」を「めがね」の荻上直子監督のデビュー作と間違ってレンタルして観たのだが、これが大当たり!信じられない暗い面白い映画なのだ!
信じられないくらいに、暗い話なのだが、それでいて、面白かったのだ!離婚して故郷に嫌々出戻ってくる三十路女のお話なのだから、本当は辛く、悲しいお話のはずなのだが、でもそんな重いはずの話を、ブラックコメディーにしてしまった作品なのだ!
そして映画のラストは騙されました!まんまと騙されてしまったのだ!
この映画のヒロインの菅野美穂演じるなおは、ももと言う一人娘を連れだって離婚して、小さな漁村である故郷に舞い戻って来る、その小さな村で起こる群像劇なのだが、久し振りで、スクリーンに登場した、菅野美穂がとっても、傷心しきった訳有り女を魅力的に演じて見せてくれる!
若い男は少ないこの漁村で、なおの母親が営んでいる「野ばら」と言う美容院はこの町?この漁村で唯一の美容院で、おばちゃん達の言ってみれば集会場的な役割を果たす、憩いの場と呼ぶには何の洒落っ気も無いし、綺麗な店でもないし、勿論この店にやって来るお客さん達も、この店同様に美しさとは程遠そうなおばちゃんばかり、そして小さな漁村の単調な日々であっても、大風呂敷を広げた、噂話に華を咲かせる事が出来る、唯一の女達の社交場と化している不思議な美容院「野ばら」なのだ!
そして、この美容院にやってくるお客はみんな、パンチパーマをかけていくのだ!
何時の時代や!いくら田舎の小さな漁村でも、今時こんなんありゃせんわい!
そして、そのおばちゃん達の会話は、耳を覆いたくなるような下ネタオンパレード!
こんな、棺桶に足をつっ込んでいるようなおばちゃんが、こんな下ネタ言ってんの?
信じられんがな!って感じ!
これは、きっとエロオヤジが原作か?それとも脚本書いているんやろ?と思ったら、これが何と「毎日かあさん」や、「酔いがさめたら帰ろう」のモデルになった、人気漫画家の西原理恵子さんの原作が映画化された作品と言うから、2度驚いた、そしてこの映画の脚本は、奥寺佐度子さんと言うから、また女性の作家さんが担当して、2人の女性の手によってこの作品が出来ていると言うので、またまた驚いた。男性では逆に、こんなん書けないのかも知れない!田舎暮らしで、ろくでなしの、最低の男としか出会わない、女の悲劇の物語!
しかし、そんな愚痴をこぼしている男運の最悪の女性達が何故か、楽しそうに見えて来るのだ。おばちゃん達は美容院通っているのに、ちっとも綺麗になれなければ、恰好良くならないし、パンチパーマのおばちゃんばかりの謎は、とうとう最後まで不明なままだった。でもなんか不思議と楽しそうで、幸せそうで良い映画なのだ!
なおの友人のペットが死んで空き地に、なおは友人と埋葬してやるシーンが何故か2回も出て来て変と思ったら、「人は2度死ぬ」と言うセリフが出て更に不思議に思っていると、あっと予想もしない結末へと一機に変わるのだ。2回目の死とは、その故人との思い出が完全に人々の心からも消えた時を2回目の死と言う。う~ん奥が深くて哀しい、これは純文学の様なピュアなラブストーリーなのだと、最後に気付くのだ。本当素敵な作品だった!