「この恋はつらいな」パーマネント野ばら miさんの映画レビュー(感想・評価)
この恋はつらいな
クリックして本文を読む
主人公のどこか寂し気な佇まいが、幼児期の不安定な家族関係からなのか、離婚して好きではないと言っている町に仕方なく帰ってこなくてはならないことの憂鬱さからなのか、恋愛がいつまでたっても平穏にすすまない町の女性たちのドタバタな中でラストにその訳が明かされたとき、確かにこれほどつらい恋の形はないだろうな…と鳥肌がたつほどの悲しみに包まれました。
まだ何も始まっていない恋だからこそ美しい形のまま永遠に心に残ってしまう。現実には自分のすべてを黙って受け入れ認めて包んでくれる人などいないし、目の前で見せられているほかの男のような嫌な部分もその人には見ることもなかった。これからというときにただ優しい大人の憧れの恋人のまま、掴み取る前に風のようにすり抜けてしまった。
そんな恋を周囲はどこかで過ぎる時を待つように見守っているが、子供だけは恋する母親を辛辣に見つめている。かつての自分がそうであったように・・その恋はあなたを幸せにしていますか? その恋に逃げてしまっていいのですか?
ラストにどこかで現実を受け入れつつある主人公に子供が声をかけたとき、私がいるからいいじゃない・・とかつて母親に言った自分が蘇ったであろう主人公の静かな微笑みが救い。少なくとも子供は幼い時、だれよりも明確に母親を欲してくれるから。
コメントする