「マイケルを癒したい。」マイケル・ジャクソン THIS IS IT ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
マイケルを癒したい。
マイケル全盛の頃が自分の青春時代とピッタリ重なる。
当時は他にもたくさんの魅力あふれるミュージシャンが
いて、絶対的に彼の大ファン!というわけではなかった。
が、ほぼ全曲聴いている。ジャクソン5の頃のマイケル~
一気にスターダムへとのし上がった「スリラー」の時代。
当時はLPをカセットテープにダビングしては聴いていた。
思えば歌声はラジオ等で子供時代からずっと流れていた。
なにしろ歌が上手い!ダンスも上手い!抜きん出ていた。
今でもCMでは彼の子供時代の歌声を聴くことができる。
ファンならこの映画ドキュメンタリーはこの上なく嬉しい。
彼の素顔が垣間見え、すぐ傍に人間性を感じられる。
音楽面では常に完璧を求め妥協しない姿勢、しかしその
指示に彼の優しさが溢れ、常にスタッフを気遣う態度も。
フルボイスで歌っていないのに、あの音域と声量である。
パフォーマンスにも一切手抜きがない。
あぁ…これでは確かに疲れただろうし、精神的に繊細な
彼は追い詰められていたかもしれない。絶対成功させる
という真摯な願いと努力が、ついには幻となってしまった。
しかしそれでは問屋が卸さないのがショウビズ界の掟。
その、ロンドン公演分をこのドキュメンタリーで取り戻す!
という姿勢…なのもすごい(汗)
晩年では奇行ばかりが取り沙汰されて、莫大な資産は
ハイエナのようにタカリ紛いの裁判沙汰に持っていかれ、
およそステージからは遠ざかってしまっていた彼だが、
このリハーサル風景を観る限り、ボイストレーニングも、
ダンスレッスンも、欠かさずにやっていたのではないか。
とにかく、何の衰えも感じさせないその動き。
50歳にして、まだまだ!だった姿が眩しい輝きを魅せる。
とくに印象に残ったのが彼の音楽に対する姿勢で、
そこには子供じみたとか、変人と言われる片鱗はない。
「僕は小さい頃から音は自分の耳で聴くようにしてきた」
「観客は日常で体験できない世界を僕らに望んでいる」
プロのアーティストとしての自負や、課せられた責任を
果たそうとする姿勢は、まったく異質には見えなかった。
パーフェクトではない自分のステージをファンに見せる
こととなったのを、彼は天からどんな目で見ているだろう。
しかし、それで私達はやっと真実に辿りつけた気がする。
(あの名作映画とマイケルのコラボ!映画ファンも嬉しい!)