バタフライ・エフェクト3 最後の選択のレビュー・感想・評価
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フィルム・ノワールの新しい可能性
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1940〜50年代に隆盛を極めたフィルム・ノワール(虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画)は、その後、様々な要素を取り入れることによって(あるいは、要素として取り入れられることによって)、新たな可能性を見出してきた。例えば、SF要素と組み合わさった『ブレードランナー』は一大センセーションを巻き起こし、ノワール的な異常心理と壮大なキリスト教的世界観が組み合わさった『セブン』はB級映画の枠をゆうに超え、第1級の作品として残っている。
本作は、「バタフライ・エフェクト」というB級映画の異端児というより独特の存在位置を占める天才がフィルム・ノワールと合体して見事な化学変化を起こした例である。
60年代以降のノワールに顕著なバイオレンス、セックス、サイコ、グロテスクな描写を惜しみなく盛り込み、その鍵はというと、すべて「バタフライ・エフェクト」が担う。これほどまでに“チープかつパラドキシカル”なB級映画はかつて存在しただろうか?
クライマックスで明らかとなる犯人の一連の殺人の動機とその手口を知った途端、われわれは舌を巻くほかない。そこで窺えるのは、見事な化学変化の結晶である。
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