「重力に縛らている、否、大地にしがみ付いてる」REDLINE フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
重力に縛らている、否、大地にしがみ付いてる
大地を蹴って走る者達の話
10周年記念公開でやっと劇場で見れた大好きな作品。
公開当時は劇場で見れなかったからホントにありがたい。
大画面、大音響で見るれることが幸せすぎる。
言わずもがな二次元アニメ表現の到達点の一つが本作だ。
シーンのすべてから熱量を感じ、こだわりと遊び心と技術と表現力があふれ出ている。
3DCG技術が進歩してディズニーやピクサーが世界を支配した。
日本アニメも3DCGを取り入れてハイブリットなアニメが増えた。
そんな時代にカウンターパンチを打ち込んだ、いやストレートパンチを見舞った。
初めて見た時、本作が心地いいほど自分の感覚にクリーンヒットしたのを覚えている。
冒頭の
「航空技術が発達しても、車輪駆動にこだわり続ける愚か者の物語」
なんてテロップが出た時点でもう「この作品好き」ってなります。
ストーリーを追う余裕なんかなくて、書き込み量と視覚情報の洪水でただただ流されて鑑賞。
例えるなら102分のジェットコースター
絶叫して楽しむんだけど、絶叫ポイントが多すぎて疲れると言うかマヒする。
でもコースターを降りた時、足腰がガクガク震えて、ジワジワ楽しかった~また乗ろうってなる感じ。
もしくは
ラーメン次郎
ラーメン次郎はラーメンじゃない、次郎という名の食べ物だ。みたいな。
暴力的な量と味に食後は、しばらく食わなくていいなって思うのに、しばらくすると無性に食べたくなる。
本作REDLINEはハマる人には病みつき間違いなしの映画なのだ。
3DCGアニメ何するものぞ!日本の手書きアニメ、ココにあり!
しかし冷静になってストーリーを見ると、結構隙間やガタは有る。
車輪駆動にこだわった車両なのにヒロインのソノシーのマシンだけホバージェットなのはなぜ?
ホバーは地面や水面が無いと移動できないから一応ありなのかな?
ファンキーボーイとボルトン国防大臣はどうなったの?
イヌキ組はあれで終わり?
ご都合展開も多めだし、「細かい事はいいんだよ」感がちらほら・・・
多くのキャラが濃い割りに出番や説明が少ないから、深堀できず愛着がわきずらい。
唯一、参加レーサーの中でトラヴァとシンカイはOVA「TRAVA FIST PLANET」があるので多少のバックボーンがある。このOVAを見ると「REDLINE」がちょっとだけさらに楽しめる。
余談だが学生時代に「TRAVA FIST PLANET Episode 2」を友人と見て、気に入ったセリフ
「お前たちを屠る」
「歴史のために死んでくれ」
このセリフを事あるごとに言ってた事を思い出した。
遊んでる時、勝負事、合言葉、案外使い勝手がいい。
REDLINEは完全無欠のアニメではないと思う。
そんなのどうでもいい、大好きだ。アニメーターの矜持が、好きなことが、センスが山盛りでそれが脳と心を刺激する。これからもジェットコースターに乗るし、次郎も食べる、そしてREDLINEを見る。
粋でお洒落でカッコいいアニメって何と聞かれたら、私は真っ先にこのタイトルが頭に浮かぶ。
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劇中セリフより
「ソノシーと捲くるぜぇ」
好きな人、好きな物、好きな仲間とともにトップを目指す展開って最高にカッコよくて憧れる。