劇場公開日 2021年2月26日

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「マッドハウスに魅せられた!」REDLINE pipiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0マッドハウスに魅せられた!

2021年3月1日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

もしあなたが、エンスーでSF好きでROCK好きならば、本作は間違いなく楽しめる!
子供の頃、ポケットに詰め込んだキラキラしたものを、ギューッ!!!と凝縮したらこんな映画になるんだと思う。(あくまでメカ好き、SF好きの場合ですよ)

アニメ映画はあまり観ない方だが、マッドハウスという名だけは強く記憶している。昔は漫画や小説のアニメ化は失望する事の方が9割以上だった。
しかし、マッドハウスは違った。美麗で艶のある背景、陰影のクッキリしたハードな絵柄。
当時VHSビデオ作品は1万円以上もしたものだが「妖獣都市」「魔界都市新宿」「銀英伝」「妖精王」「悪魔の花嫁」はマスターが欲しくて、なけなしの小遣いをはたき買い求めた。「バンパイアハンターD」「ゴクウ」「OEDO808」も大好きでダビングした。
「マッドハウスなら間違いない」という信頼が、私の中に根付いた。

川尻善昭監督のもと、小池監督はちょうどその頃、入社してこれらの作品に携わったそうではないか。
87年〜90年頃の川尻作品は本当に素晴らしかった。本作RED LINEは当時のセル画に拘ったマッドハウスクォリティが満を辞して最高の映像を作り上げた。そんな位置付けにあると思う。

小池・石井両氏の世代にレース作品を撮らせたらチキチキマシンになるのは当然だ。更にマシンハヤブサやマッハゴーゴー、グランプリの鷹、ルーベンカイザー、キャノンボールなどのイメージが塗り重なっていった世界観はもう「お約束」である。
そこへハードボイルドかつC調を加味した粋でイナセなヒーロー達の幻影が重なる。ルパン3世(賞金稼ぎの2人は思いっきりルパンのOPしてたね(笑))、アメコミ調で魅了してくれたコブラ、ゴクウ。粋と言えばJ9シリーズにダイターン3。メカにリアリズムを持ち込んだガンダム、数え上げればキリがない。

お色気担当SISTERSのマシンは、一瞬F.S.Sのモーターヘッド、ジ・エンプレス辺りが浮かんだけど、よく見りゃアフロダイAかな?(笑)メガノイドのイメージもあるね。
アッガイもどきも笑ったし、これまたお約束のナントカ帝国系のロボワールドも良かった〜。

他の方々のレビューに多々登場する「光、爆発、炎、光線、跳躍、流線」
全部「金田エフェクト」じゃないか♪そして「金田パース」
もう、小池監督の金田伊功(よしのり)さんへのリスペクトぶりがわかろうというものだ。
(本作にオマージュとして登場する場面は実写SFに加え、金田さんの参加作品もかなり多い)
冒頭、ドロシー星の犬型獣人族達のフサフサ感と職人気質そうな穏やかな眼は「ハイジ」のオンジ、「さよなら999」のレジスタンス、はたまた「紅の豚」などの空気もよぎった。

ストーリーの主題は「ロマン」と見た。
①レースという夢において1番の高みを目指すというロマン

②相棒との深い信頼の絆という「男の友情」のロマン(フリスビーが八百長に手を染めたきっかけは、JPを良いマシンで走らせてやる為だった。金は目的ではなく止むに止まれぬ手段に過ぎなかったのだ。)

③ガキの頃の、まだ恋とすら呼べない甘酸っぱい気持ちを純情に守り通し、ついに初恋が成就するロマン。

まぁ、ある意味、王道でいっそ清々しい。
キムタクの声もバッチリで、まったく引っかかるところはなかった。考えてみればキムタクもエンスーだから当然か。かなり素に近い気分で楽しく演れたのではなかろうか。(浅野さんだけは時折「声優ではない感」が出ちゃってたけど、気になるほどではないです。)
21世紀のアニメはあまり知らないが鑑賞前日にTRAVA FIST PLANETを視聴しておいたので、トラバとシンカイ君の徹底した脇役ぶりも楽しく観る事が出来た。

ニトロだけじゃない、クライマックスを盛り上げる切り札。
未来型マシン中心の中、トランザムなんざシフトチェンジの手の動きだけで、ご飯何杯でもイケそうだ。
メカばっかりかと思ったら、電脳+お肉ぐにゅぐにゅのサイバーパンクもきっちり登場してくれるし。(巨神兵もAKIRAも妖獣都市も原作の時期はさほど変わらないしね。先駆者はブレランやニューロマンサーになってしまうか?まぁ、やっぱり同時期だ。エヴァじゃないよ。10年以上前。本作主要製作陣は皆、エヴァの庵野さんより先輩。)

作画の主流がデジタル化される以前の、ジャパニメーションの礎を築いた数々の作品達の魅力を一つに詰め込んだのが、本作RED LINEなのだと思う。
失われゆくセル画製作への、最後の抵抗。
「男なら、負けるとわかっていても戦わねばならない時がある。」
愚かだとわかっていても行動しなければならない。ハーロックのような漢気が本作を今の世に残した。

あまりに楽し過ぎて、書きたい事は尽きないがこの辺にしておく。
減点の要素が見つからないので(そんな高得点にする気はサラサラ無かったのだが)星5にせざるを得ない。
小池さん、石井さんと、High-fiveを決めたい気分である。
(エンドロールの第一原画に川尻義昭監督の名前がクレジットされていたのは泣けた。弟子がこんなに立派になって、嬉しいだろうなぁ)

pipi
りあのさんのコメント
2021年7月5日

宇宙人・・・ですか・・・。
教えていただきありがとうございました。

りあの
りあのさんのコメント
2021年7月5日

pipiさん
コメントありがとうございます。
素晴らしいレビューですね。
知らない知識の宝庫で尊敬します。
ロマン、そこは私も感じました。
引き続きよろしくお願いします。
話は変わりますが、F1の角田、白線2回も踏んでペナルティらしい。残念です。

りあの