「野生のものは野生に帰す。」ウルルの森の物語 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
野生のものは野生に帰す。
やたらと「マリと子犬~」を前面に押し出した宣伝を
している映画だと思っていたが、スタッフとはいえ、
一部がかぶっている程度でそれほどの類似力はなし。
力はないが設定がよく似ていて^^;失笑してしまった。
もともと「マリと~」のお話もすべてがリアルではない。
マリが残されたことは事実だが、幼い兄妹などいない。
あれはマリという実在の犬をメインに据え、家族の話は
映画オリジナルとして付け加えた作品なのである。
感動できたのは、その演出力と犬の本能そのものを
余すことなく見せてくれたからでもあった。おそらく
感動できる動物物語にはそんな本能にきちんと着目し、
それを活かして作られた映画がほとんどだと思う。
今作にそれがないとは言わないが…
すでに絶滅したはずのエゾオオカミをメインにしたことで
(いない)動物をどう描くのか、そこから謎だらけの展開に
なってしまった。
「お前、本当にオオカミなのか?」ってこっちが聞きたい^^;
確かにウルルは可愛いが、どう見ても狼には見えない。
野生動物は野生に帰す。という
当たり前だが、大切なメッセージを伝えるシーンは多い。
子供にとっては酷なことだが、
ペットではない。ことをきちんと説明してやる必要性、
銃で脅したり、ビー玉を投げてぶつけるシーンなどには
確かに辛くなってしまうのだが。。
動物の気持ちは理解できても、自分の子供の気持ちは
微塵も理解できない獣医の父親をオーバーに^^;演じた
船越英一郎、傍からみればイヤな父親なんだろうが(爆)
こういう仕事では、かなりこういう人が多い気がする。
動物と子供と、どっちが大事なんだよ!?と聞けば
「比べるもんじゃない!」という答えが返ってきそうだ…。
ともあれ、
子供たちが疎遠な父親と動物に触れ、成長する話だ。
いい題材であるが、二番煎じはもうやめた方がいいかも。
(大滝秀治、いぶし銀の演技。彼こそ森の守り神か!?)