劇場公開日 2009年11月7日

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ファッションが教えてくれること : 映画評論・批評

2009年11月2日更新

2009年11月7日より新宿バルト9ほかにてロードショー

誰もが抗し切れないアナ・ウィンターの実績の重み

2007年のパリ・ファッション・ウィークでサンローランのアトリエを訪れたアナ・ウィンターが、黒を主張するデザイナーに対して「色が欲しい」とダメ出ししている。その言葉通り、ショー会場のフロントローにはカラフルなプリントのワンピースを身に纏ったアナが陣取り、トレンド発信源はランウェイではなく自分なのだと主張している。そうして、世界中に色が溢れ返った。

言わずと知れたアメリカ版“ヴォーグ”の敏腕編集長は、混乱する現場で判断を仰がれると、瞬時に決断し、方向を決めて行く。「自分の長所は?」と聞かれて「決断力」と即答するように、本当は予測不能なトレンドの動向を見極める類い稀な勇気の持ち主であり、同時に、ファッションを芸術に偏らせないビジネスウーマンの冷酷さも併せ持っているから、同期入社のクリエイティブ・ディレクターが作った究極のファッション・フォトも、編集方針を逸脱していると見るや、迷わず却下。誰もが平伏すカリスマ写真家、マリオ・テスティーノを編集部に呼びつけて修正させることも厭わない。そして、全員がアナに従う。何も彼女が怖いからではない。実績の重みに抗し切れないのだ。

「プラダを着た悪魔」に満足できなかったファッション・ピープルが待ち望んだ話題のドキュメントでは、さらに、アナ・ウィンターが超インテリ・セレブファミリーの一員だったことを紹介して、キャリアガールを目指す女性たちを奈落の底に突き落とす。弱点を聞かれたアナは照れながら「娘よ」と答えるが(愛娘のビーは法律家志望を覆して、よせばいいのに演劇学校に入学!?)、凡人にとってはそこが唯一の光明かもしれない。

清藤秀人

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