パレード(2010)のレビュー・感想・評価
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様々な意味のパレード
5人の男女がマンションの一室で営む共同生活を5人それぞれの視点から描いた作品。
全体的に薄暗い映像の中、良介、琴美、未来、サトル、直輝の順にそれぞれが抱える悩みが明かされていく。
まずキャストが◎。
琴美役の貫地谷しほりのあざとい可愛さが爆発笑。ちょっと待ってちょっと待ってのシーンメチャ可愛かった笑。
個人的には直輝役で藤原竜也がもうドツボ!出来る男感出ててよかった!伝統芸のあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛を抑えた演技かと思いきや、やはりラストにあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛する素晴らしい俳優笑。ゲス役多いのでアレだけどこの人は普通に好きだな。
唯一良介だけ微妙に違ったイメージ。原作はもっと幼かった気がする決して小出恵介は悪くないけど意外とサトル役の林遣都の方が良介似合うような気もした。
この映画の怖いところは中盤でサトルが平気で他人の家に上がってくつろいでいたシーンに隠されている気がする。
つまりサトルには他人の秘密は探る好奇心がある。ということはあのマンションの中も漁っているのかもしれない。さらにいうとその好奇心はサトル以外の住人にもあるかもしれない。
だから最後に直輝を匿ったサトルがボソッとみんな知ってるんじゃないの?と言ったときに直輝はあんな驚いた顔をしていたのだ。もしかしたらモンキーレンチを誰かに見られていたかも。未来が直輝に通り魔の張り紙を見せた時点で直輝が犯人だと彼女は気づいていたかもしれない。
若干妄想入り気味だけどこういう推察をするとこの作品はすごく面白くそして怖く感じられる。
それでいて何故か5人にとってはこの空間が心地よい。だから壊したくない。壊されたくない。それがラストシーンの4人の表情に繋がる。
もうここ超怖かったこんな表情できるんだって役者ってすごいと思った笑。
邦画らしさのよく出た陰鬱な雰囲気の作品。だがこの5人はどこか魅力的で確かに居心地が良さそうで混ざりたいとも思ってしまう不思議な作品。サトルがここ何人住んでんの?っていうシーンが好き。
これは、都会でルームシェアしたことある自分には、とても共感できる部...
これは、都会でルームシェアしたことある自分には、とても共感できる部分が多かった。この映画の中で起こっていること。それは、全然悪いことではない。犯罪は悪だけれども。 ただ、理解できない、そんな人間関係さみしい!と思う方もいるかもしれないが、この映画の5人は居心地がいい、という感覚が、私はわかってしまう。
メビウスの輪のうえで
原作が素晴らしすぎるので、その素晴らしさを全然活かせてないと思うけれど、別物としては○
ヤンキーだった真也と良介が実は仲良しなこととか
車の桃子の由来とか
琴ちゃんが丸山君から逃げ出してしまった過去とか
色んなことが描かれてなくて、残念
あとサトルが変態みたいに見えて、残念
パレードはそんな冷淡なルームシェアの話じゃなくて、もっと、優しくてあったかいものがたりだと思う
映画版では、直樹の苦しみが、1番ピンときた。
メビウスの輪みたいに進歩のない日々を生きてる中で、周りが自分を置いて進んでいく、焦燥感。
平凡なサラリーマンだって、十分偉いのに。
うわべだけの付き合いで、みんな傷ついていて、自分のことで精一杯で、でも、優しくなりたくて。
そんな5人の物語。
あとなんといっても音楽がよかった。思わず調べてしまうぐらい。
朝本浩文さん。素敵だった。
日常と狂気
日常のなかに垣間見える不信、狂気さに衝撃をうけました。すごく、ドキドキさせられました。
だれもが心のなかにある相反する気持ちやうすっぺらい関係のなかにある共通の考え、それがなんだかいまの社会を表しているようにも思えました。
すきな話ではありますが、映画は原作をひねってほしかったなあと思いました。
パレードは止まらない。
ああ、なるほど…
序盤の淡々としたシーンの数々が点と点で結ばれたときに胸が苦しくなるようなストーリーだった。
このキャスト、納得。
少し軽い雰囲気の彼らがちょうど良かった。
みんな、それなり。
ああ、こんなもんだよね。
与えられた役割から降りることは出来ず、パレードは続く
2LDKのシェアハウスで共同生活を送る4人の男女。ある日、金髪の少年がこの共同生活に加わる。徐々に見えてくる共同生活の若者達の関係性。そこから見える現代社会の人間関係を描いた作品。
貫地谷しほり演じる琴美が、このシェアハウスについてこんな説明をするシーンがある。
「ここって、インターネットでいえばチャットや掲示板みたいなもんだから。嫌なら出ていけばいいし、居たいなら笑っていればいい」
この序盤の台詞が物語のキーワードだ。
彼らは、共同生活というパレードから抜けられず、止まらないメリーゴーランドから降りる事は許されない。例えば、彼らはそれぞれ「ここを出て行く」と決意を口にするが、次に現われるシーンではそんな決意を忘れたかのように居続ける。そして、ラストシーンの眼差しは、誰もこの共同生活から降りる事が許されない事を示唆している。彼らは、「嫌なら出て行けば良い」と言いながら、「笑顔で居続ける」ことを強要されているのだ。
彼らにとって共同生活のシェアハウスは、居心地の良い場所だ。
一般的には、その生活を維持するために、お互いを干渉し合わないというのが鉄則だと思われている。それが「チャットや掲示板」という言葉に象徴されている。しかし、本作の主要登場人物たちは、そんな一般的な解釈では表せない関係性を築いている。
彼らはけっして他人を詮索しないわけではない。
例えば、彼らは、人の出入りの多い隣りの部屋が何をしているか分からない。売春宿なのか、新興宗教なのか、あるいは占いの館なのか。しかしそれは、別の住人から見れば彼ら自身がそう見られている事でもある。要するに、好奇心旺盛な詮索好きの「世間」と彼らは同質なのだ。
だから彼らは、ある時は隣りの部屋に潜り込み、ある時は共同生活者が出かける後をつけ、ある時は個人が所有するビデオを勝手に見るなど、他人のプライバシーを覗き見る事を悪いと感じていない。
しかしけっして互いに踏み込むようなことはしない。なぜなら、居心地の良い共同生活にとって、彼らの人間的な本質は重要ではないからだ。
重要なのは、「与えられた役割」を演じ続ける事である。
楽天的に生きている役割を与えられた人間は、友人が死んだ悲しみを共同生活者には見せられずに、好きな女の前で嗚咽して泣く。アイドルに弄ばれているバカな女という役割を与えられた人間は、アイドルが自分に本気になればアイドルと別れる。レイプビデオを見て心を癒す、どこかエキセントリックな人間は、「虐待されて可愛そうな少年」という役割を与えられた人間に、突然攻撃的になり追い出す。そんな可哀想な少年という役割を与えられた人間は、部屋から出て行って数日を過ごし、女の気が済んだ頃合いに部屋に戻っていく。
だから、皆から頼られて相談を受ける立場の役割を担った人間は、殺人の衝動を抱えている自分をさらけ出すような事は、許されないのだ。
役割を与えられた者は、共同生活という名のパレードから外れることはできない。そうしてパレードは続いていく。
セリフが好きです
最近シェアハウスが流行ってます。
この映画はそんな感じで住んでる人たちの話です。
一人では居たくない
だけど
自分のテリトリーに他人に入ってもらいたくない
そんな人たちの・・・。
最後が唐突ですが
最後についての意見を
いろいろな人から聞いてみたい
そんな映画です。
それ以外は
一人ひとりのセリフがとても日常的だけど魅力的で
とても好きです。
もうひと波乱
現代の若者の寄り集まりのような共同生活を行うナオキたちだが、若者らしくそれぞれ思う事を表に出さず、表面上穏やかに生活している。
ルームシェアの楽しさが、良い流れで映し出されていて、良い感じ。
最後どんでん返しがあるという触れ込みだが、その波乱にもうひと押しほしかった。
小説が原作という事で、小説ならば良い終わり方だったのかもしれないが、映画という媒体にはあまり合わない終わりだったのではないか?
しかし、満足で、飽きることなく見れたし、それぞれの人物の魅力的な部分も好きになれたし、良い映画でした。
行定監督を再評価
一見華やかでにぎやかで楽しそうなパレード。この若者たちの生活がそれ。でも、表向き楽しそうなだけで、実はそうではない。それぞれの日常を深く突っ込むわけでもなく、淡々と描いて病んだ現代の若者像を浮き彫りにしていく。
この映画は行定勲監督が以前から企画として温めていたものだとか。行定監督といえば『セカチュー』のヒットで現在のTV局映画のブームの基盤を作った人でもあり、その後もその手のヒット作を手がけてきたのに、再びこうした小さいけれど野心的な作品をキチンと作り上げたところに作家としての矜持を感じた。そういう意味でも評価されるべき1本だと思う(まあ、この作品もWOWOW製作という意味でTV局映画かもしれないけど)。
そういえば行定監督、今年は『今度は愛妻家』も良かったね。
列を乱すことの恐怖。
以前から気になっていた作品だったので、わりと近場で
観られて良かった~なんて思ってはみたのだけれど…。
まぁ…なんというのか、怖いうえに後味の悪いスリラー^^;
観終えてなるほど、そういうことか。と思わされると同時に
このタイトルってどういう意味なの?と考えてみたりする。
ちなみにいつも通り原作は読んでいない。
「パレード」って見ている方は楽しいものだが、遣っている
それぞれには隊列を乱さないため周囲に合わせるという
暗黙のルールがあるように思う。最後までその雰囲気を
損なわずに楽しく終えたいという使命感?のようなものが
今作では生活の中でおかしな連帯感を生み出したことで、
あの、こわ~い結末へと繋がっている気がするのである。
いや~なんだか^^;これからはパレードを見る度に今作を
思い出してしまって、暗鬱とした気分になったりして…x
確かにWOWOWが作りそうな話だなぁ、なんて思いつつ、
冒頭から何かあるんじゃないかの雰囲気がプンプン漂い
まったく目が離せなくなる。この人達、単なる共同生活
とはいえ、他人と関わっていないというわけでもないし、
一応親身に誰かの相談に乗ったりもしているので、特に
冷淡な印象は受けない。おかしな行動をとっているのも、
ある意味人間の二面性を映しているのであって、さほどの
違和感は受けなかった。そういう彼らのなんとな~く楽な
生活と並行して起こる連続暴行事件と男娼サトルの登場。
ここで何かが変わるのか?と思いきや、そうでもない^^;
行定勲の演出は、それぞれの人物紹介をしてはいくが、
その映像も深く切り込んだ彼らの内面を描くものではなく、
うわべの生態をサラリと見せていくので却ってそれが怖い。
演出までもがこの隊列から抜きんでようとしていないのだ。
昨今の人間付き合いとはこんな風に、とにかくストレスを
溜めずに他人と最低限の範囲で関わり、嫌な話や説教は
さておき、とりあえず楽しい話で盛り上がっておけばOK!
当たり障りない関係を保つことで自分を安定させなければ
やってらんないんだよ、こんな毎日。って…私にも分かる。
まさに職場での光景を観ているかのようだった(爆)
しかし、楽に見える生活にも次第にルールは確立される。
結局何処へいっても自分で自分をコントロールしなければ
生きていくのは困難だ。何かのジレンマで抑制が効かず、
こんな時こそ腹を割って自分を叱咤する人間が必要なのに
気付いたらそんな人間は1人もいない。こんな寂しい状況を
作りだす前にパレードを中断して考える必要があるのでは?
と注意を促してくれる作品だったようにも思う。
なにか大きな事件が起きてからでは、常に遅いのだから。
(林遣都、見事なイメチェンに成功。今回は夜の運動選手か)
今 そこにある パレード
―『パレード』
観る前までは、何かミステリー系の話かと勝手に思い込んでいました。
そんな話ではなかった、それよりもっと恐かった。
原作は読まずに行きました。
前から3列目のど真ん中。ちょっと首がつりそうになりながらも、
話に引き込まれ目が離せませんでした。
どこにでもいそうな若者たち。
どこかに実際にありそうな共同生活。
近くにいるのに遠い存在。
そんな5人の関係性に、現代人の姿を見ました。
そして、自分のすぐ近くにもパレードは存在するんじゃ・・・
と考えさせられました。
映画的にはメインの5人の演技が良いです。
普通に「こんな生活楽しそう」なんて思っちゃいます。
だからこそ観終わった後恐いんですが。
若手俳優ばかりですが観応えあります。テンポも良いです。
後から速攻で原作を手にしました。
原作を読んで、改めてこの映画は間違いない、と思いました。
大体原作が存在する作品の映画化で、原作を超える、または原作同様良いと思えるものは少ないんですが、
(もしかしたら観る前に原作を読んでいたら変わっていたかもしれませんが;)
原作をもう一度読み返したい、そして映画ももう一回観たい、
そう思わせてくれる作品です。
DVDが出たらもう一度、全てを知った上で観返したいと思います。
楽しくも恐い、そんな心境です。
見ざる 言わざる 聞かざる
う~ん、難しいなぁ
わかったような、わからないような
『今度は愛妻家』と同じ監督の作品とは思えないなぁ
~~~
エンドロール中、
なんともいえない
押し黙った重い空気に包まれていました。
客電点灯後、難解な作品のヒントが欲しくて
劇場に貼られていた雑誌などの切り取りを熟読しに行ったのですが、
同じような感情にとらわれた若者が多数いたようで、珍しいことに、
貼紙閲読待ちの列ができてしまうほどでした。
◇ ◇
4ヶ月間だけでしたが、
私は4名でルームシェアをした経験があります。
今作のように個人が独立した形でなく、
掃除係、洗濯係、料理係と担当を割り振って
朝食・夕食は、自然と同じ時間にとるようになっていました。
2勤1休の住み込みバイトでしたので、
日中、仕事の人は現場へ向かい、休みの人は、各々、自由行動をしていました。
住み込み場所が、伊勢神宮の内宮付近であり
移動するにも車がなかったため、上り下りの起伏が激しく
町の中心部にでるのも一苦労。当時は、近所にコンビニもなく
あるのは地域密着のスーパーだけ。腹をすかし定食屋によろうものなら
ペラペラのまだ中身が冷たいコロッケが平気な顔をして出てくる。さすがに
丼に指を突っ込んで、それを指摘すると「大丈夫、指熱くないから」と笑顔で
うどんを運んでくるオバちゃんはいませんでしたが(苦笑)
だから、仕事中以外の行動は、お互い干渉なし。
ただヒトツ決めたルールは、女性を連れ込まないこと、それだけ。
一つ屋根の下に4ヶ月間暮らしていたけれども、
私自身、干渉されるのは嫌だし、そのため自然な流れとして
同室の他の人に対しても「休みの日になにをしていたか」なんて
質問をすることもなく、まさに現在でいうならチャットルームのような暮らしを送っていました。
ルームシェア終了後に、
リーダー格の男性が、あるコンパニオンと
付き合いをしたくて、狙っていたことと
(そんなこと知らずに短期間だけど、私はその子とつきあっていた)、
フェミニン系の男性が、夜にホストの仕事をしていたこと、などを知った。
普通に驚いたふりをしたけれども、薄々気づいていたし、
気づかないふりをしていたほうが、お互い気を使わずに
生活できると思っていたから、シェア終了直後に、怒気を交え、
その期間中、なにもなかった先輩が、私に熱弁してきた姿には、
なにか別世界に浮遊しているようで、同調するよりも、むしろ憐れで仕方がなかった。
そんなパレードを歩んだ残りの3人とは
それっきり一度も会っていない。別に、会いたいとも思わない。
◇ ◇
今作を観ながら
そんな昔に思いを馳せた。
だとすると、
スクリーンに映っていないところを如何に見抜くか、
スクリーンに映っていない所になにを感じさせるか、
それが、今作にとっては、重要な鍵になるんじゃないのかな、と。
今作、
5人が5人、すべてを知っているかどうかは
さだかではないが、同じ空気を吸っていれば、
目には見えなくても、見えてきてしまうものはあるわけで、
「自分が治せないなら他人のかさぶたを剥がすな」ではないけれども、
相手のためでなく、自分のために、よからぬことをおよぼしそうなことは、
それがたとえ、社会通念上反することであったとしても、無意識か有意識かは
別にして、気づかないふりをする。だって、それが己の身を守ることだから。
☆彡 ☆彡
“現代の縮図”
そういうと簡単だけれども、
今作には人間の本質的な部分が描かれていると思う。
このような作品に若い世代を中心に、
8割も座席が埋まるのを素直に喜ぶべきなのかどうか、
よくわからない。そして、その8割のうち何割の人が、
今作を鑑賞して、なにか、ハンガーに引っ掛かるものがあったのか。
よくわかんなかったね
それだけで終わってしまっている人ばかりだと悲しい気もする。
ルームシェアをしているかどうかは別として、
人間、気づかないうちに、幾つかのパレードに参加しているのだと思う。
あなたは、隣の人が、どんな人間で、どんな職に就いている人か、知っていますか?
善悪とは
良作です。
最近の「泣ける映画」だとか「純愛映画」だとかに対するアンチテーゼのようにも感じたよ、このクールな映画。
アパートで共同生活をする4人の若者。
そこにあるのは、近すぎず遠すぎずな関係。
共同生活といえど、結局は他人。
だけどなんか心地好いし、それぞれが頼り合う。
4人+1人に起きるありそうでなさそうな出来事を通じて、
人間の猜疑心や信頼感や絆を描いている。
と僕は感じました。
それぞれ個性豊かなキャラクターなんだけれど、
ナイスなキャスティング。
みなさんハマり役です。安定感あった。
みんな自然体で。
香里奈は強気な女性が似合いますね。
貫地谷しおり、今回はじめてまともに見ましたが、かわいいね。というかフツウね。そこらにいそうなこの感じ、スキ。
脇役の中村ゆりさん、可愛すぎるー。
てな感じの「パレード」でしたよ。
心地よい緩い繋がりだからこその、恐さ。
☆
マーチではなくパレード。
楽しいからと誘い込んでみたものの、
楽しそうなんで軽い気持ちで飛び入り参加してみたものの、
そろそろ抜けようかなと思っても、
そのパレードの流れから逃れるのは困難だった。
冷たい視線を浴びせられ抜けるに抜けられずに一緒に歩き続ける。
グルグルと回るメリーゴーランド。
冒頭のシーンのニュースでの
連続通り魔がこのメンバーの中にいるんだろうなと思って、
アイツが怪しいとか、
一番怪しくなさそうだからアイツかなとか予想しても、
意味が無いとは言わないが、描きたかったのはそこじゃなかった。
ある意味、犯人は誰でもいいし、そのように描いている。
若者の日常のような、非日常のような日々を、個別に描き、
ルームシェアしている者たちが繋がっているようで、
繋がっていないような、心地よいような、
ぬるま湯に浸かっていてウトウトしていたら熱湯になっちゃうような、
気持ち悪いような関係性を、
いや気持ち悪いと感じない人もいるのかもしれないが、
監督は丁寧にこちらを引き込んで、時には面白可笑しく、
淡々と描きながらも、何故だか不安感を、居心地の悪さを感じさせる。
行定勲監督にこのようなテイストの作品を依頼した方も、された方も、
ちょっと冒険だったんじゃないだろうか。
いいかもしれないと思った。もっとキツめの作品にも挑戦して欲しいかな。
役者陣も皆よかったが、好きな女優だというのがあっても、
貫地谷しほりが、ホントに眉毛無くなっちゃうよ、と思いつつ、
いつも以上によかったな。
よかったからこそ、恐かった。
☆
各々が身を寄せ合うターミナル
「嫌なら出てくしかなくて、居たければ笑っていればいい」
朝「おはよう」と言える相手が居る。「ただいま」と帰れば「おかえり」と返事が返ってくる。互いの深層には踏み込まない距離を置いた生活。自分をさらけ出さない若者達にとって、この一室は居心地がいい。共同生活の場というより、各々が身を寄せ合うターミナルだ。
誰もが隠れた性癖や悪癖を持つ。悩みもあり、それなりの過去もある。同じ屋根の下で暮らしていても、誰も互いの実態は解らない。見えてるものがすべてという言葉が言い得て妙だ。
ラスト、ひとりが自らの心の歪みを吐露しようとしたとき、残った4人の目は行進の足並みを乱した仲間を冷たく見下ろす。
サトル役の林遣都がいい。どんな役でも起用にこなすし、存在感がある。身体能力も高いので、これからがますます楽しみだ。「ゴールデンスランバー」の濱田岳と共に注目株。
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