「心地よい緩い繋がりだからこその、恐さ。」パレード(2010) いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)
心地よい緩い繋がりだからこその、恐さ。
☆
マーチではなくパレード。
楽しいからと誘い込んでみたものの、
楽しそうなんで軽い気持ちで飛び入り参加してみたものの、
そろそろ抜けようかなと思っても、
そのパレードの流れから逃れるのは困難だった。
冷たい視線を浴びせられ抜けるに抜けられずに一緒に歩き続ける。
グルグルと回るメリーゴーランド。
冒頭のシーンのニュースでの
連続通り魔がこのメンバーの中にいるんだろうなと思って、
アイツが怪しいとか、
一番怪しくなさそうだからアイツかなとか予想しても、
意味が無いとは言わないが、描きたかったのはそこじゃなかった。
ある意味、犯人は誰でもいいし、そのように描いている。
若者の日常のような、非日常のような日々を、個別に描き、
ルームシェアしている者たちが繋がっているようで、
繋がっていないような、心地よいような、
ぬるま湯に浸かっていてウトウトしていたら熱湯になっちゃうような、
気持ち悪いような関係性を、
いや気持ち悪いと感じない人もいるのかもしれないが、
監督は丁寧にこちらを引き込んで、時には面白可笑しく、
淡々と描きながらも、何故だか不安感を、居心地の悪さを感じさせる。
行定勲監督にこのようなテイストの作品を依頼した方も、された方も、
ちょっと冒険だったんじゃないだろうか。
いいかもしれないと思った。もっとキツめの作品にも挑戦して欲しいかな。
役者陣も皆よかったが、好きな女優だというのがあっても、
貫地谷しほりが、ホントに眉毛無くなっちゃうよ、と思いつつ、
いつも以上によかったな。
よかったからこそ、恐かった。
☆
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