「芸術家と洋服屋の祭典。」シャネル&ストラヴィンスキー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
芸術家と洋服屋の祭典。
名画座にて。
昨年のシャネル祭り^^;で2作品は観られたのだが、
今作はぜんぜん御目にかかる機会がなくて名画座待ち。
さすが主演女優がシャネルのミューズというだけあって
見事な着こなしと身のこなしで、かなりのド迫力!(汗)
おそらくいちばん?地のシャネルに近いんじゃないかと
煙草のくわえ方まで堂に入っていて素晴らしかった。
あの…低音ボイス。。いいなぁ…さらにカッコ良さ倍増^^;
お相手は新作タイタンの戦いが待ち遠しいM・ミケルセン。
彼も本当に(見たことないけど^^;)ストラヴィンスキーぽくて
似合ってますねぇ~といった感じ。キャスト的に申し分なし。
解説にもあったが、前2作と比べてまったく異色の描き方。
しかしそれだけ迫真に満ちたというか(真実!?)と思える
感情面の描き方はさすがだった。話の展開は彼らの出逢い
と成功、別れ…といった期間の部分のみに絞られるので、
そこまでのなんとやら…はまったく話には出てこない。でも
誰もが知っているシャネルとまた別の(けっこう怖い^^;)女と
してのシャネルが垣間見れてちょっと得をした感じになる。
機会があれば、No.5を嗅いでみたくなったが。。。
私は芸術音楽にも服飾美術にも詳しくないため、
ストラヴィンスキーがどれほどの天才だったのか知らないが、
確かに初めてパリで披露された「春の祭典」は前衛的すぎて
多くの観客に受け入れられなかったのはなんとなく分かる。
しかし服飾界で同じようなことをやってきたシャネルには
その斬新さがよく伝わったようで^^;天才=天才は通じるのね。
あとはもうなんというか…互いの好みの問題で。
二人が恋に落ちるというのも、初めからなんとなく惹かれあう
ものがあったのだろうし、パトロンになるからにはその狙いも
シャネルにはあったんだろうと思う。
最愛のボーイを失って、哀しみの渦中にいる彼女を癒す?と
いう名目から自身の作曲意欲(これって性欲と比例する?)も
喚起される、あ~ゲージュツ家ってとめどなく溢れるのねぇ。
彼らの成功に迷惑なのは、その妻や家族たちという結果に。
女って…頭で分かってはいても(あの奥さんの気持ち分かる)
やっぱりどうしても許せないというものだ。同じ屋根の下で
自分の夫が堂々と誘惑されて堕ちていくのだから。彼女に
してみれば自分の夫はシャネルの持ち物にされているとしか
思えないだろう。奥さんを演じる女優の演技も素晴らしかった。
結果は…歴史が物語っているとおりになるが、
シャネルという女性は本当に強い。彼女にモラルがあったら
その先の作品は生まれなかったんだろうか^^;それはないか。
終始淡々と刻まれるエピソードの羅列はつまらなくはないが、
けっこう周囲の眠気を誘っていたらしく、両隣りは寝ていた。
(祭りの最後に後日談を観た感じ。芸術家と洋服屋の祭典。)