幸せはシャンソニア劇場からのレビュー・感想・評価
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残念な大人ばかり・・
時代は1936年(第二次大戦の3年前)、舞台はパリの下町(あえてぼかしている)にあるミュージック・ホールで働く仲間の挫折とホール再建の物語である。クリストフ監督は思いがけないヒットとなった前作「コーラス」で気をよくしたのか教師(ジェラール・ジュニョ)と幼い教え子(マクサンス・ペラン)を演じた二人を親子に設定して再登場させている。マクサンス演じる息子ジョジョはミュゼット隆盛期のパリらしくアコーディオンの路上演奏で陰ながら失業中の父を支えます。いろいろあって裂かれる親子の別れと再会が胸を打ちますがジョジョはあのバカ親父にはもったいない。失意の底でも支えてくれる近隣のお馴染みさんたち、若者の恋愛、仲間の死、悪徳不動産王への復讐などいろいろ盛りだくさん、笑えないコント芸や舞台を逸脱した総出演のミュージカルシーンは嘘っぽくてがっかりでしたがホール再建の立役者、歌姫ドゥース(ノラ・アルネゼデール)の唄うLoin de Paname(パリを離れて、Panameはパリの俗称)は心地よく耳に残りました。ドゥースに想いを寄せる照明係のミルー(クロヴィス・コルニアック)は女性関係もだらしなくて、フランス人民戦線の時代を象徴するかのような過激なコミュニスト、問題のこじらせ役ですので無垢なドゥースには余りにも不釣り合い、二人のラブシーンは苦痛でしかありません、素直に感情移入できる人物はジョジョのほかにはごくわずか、不況にあえぐ苦難の時代とはいえ大人たちのカッコ悪さばかりが目立ってしまう残念な仕上がりでした。中途半端なミステリー仕立ても不要でしょう。
回想形式による縛りが辛い
話の展開を回想形式にしてしまった為に、かなり歪な映画になってしまっている。
ある男の告白によって明らかになる物語。
その為に有り得ない映像が多々起こり、戸惑う事になる。
しかし、冒頭の『巴里の屋根の下』を彷彿とさせる映像や、劇場内に於けるレビューシーン等のノスタルジックな雰囲気の仕掛けに騙されてしまう事で、強引に成立させている。
それでも中盤以降は、1人1人のキャラクターに、そして歌の魅力にしばしば時間を忘れさせる。
回想形式はやっかいだ。劇的な効果を齎す反面で、どうしても“縛り”が生じてしまう。
この作品の様に、最後に“ある事実”を効果的にする為に仕掛けられたのであれば、映画自体が特に時系列等を崩す訳でも無く。また映画の途中で観客に対してミスリードを引き出している訳でも無いので、特に回想形式にする事で得られる効果は余り無かったのでは?と思ってしまう。
寧ろ自らの“縛り”によって生じた綻びの方が目立ってしまっている様な…。
“縛り”が取れて、全てが明らかになった最後の大団円が素晴らしかっただけに、勿体無く感じてしまった。
出演者全員によるカーテンコールが無いのも残念でした。
(2009年10月5日シネスイッチ銀座2)
* 入れ子状の演出、タメの美学、通底するやさしさ
そもそも映画館という劇場でかかる映画のテーマが劇場ということ自体、入れ子になってます。カーテンが2重の意味になりますね。こういうところに面白さを感じてしまう。作品も大枠、ある種の悲劇的な枠がまず提示され、その中で劇場にまつわる登場人物の人生が展開されます。
見終わった後にはこの映画、ミュージカル映画という印象を持つのですが、見直すとそれほどミュージカルシーンは多くない。色んなことがあって、ためてためて、一気に花開くミュージカルシーンなので、すごく印象に残るのでしょう。
決して、ハッピーハッピーな映画ではないです。時代的にも国粋主義、労働運動なんかも絡んできますし、ヒールも登場しますし、主役は経済的な状況から子どもとことも会うことができません(ただ、これが、またタメとなって、あるシーンがすごく感動的になりますが)。でも、全体的にすごくやさしく、あたたかい雰囲気を感じます。
タメにタメたのちのミュージカルシーンに入る直前のリトルジョジョのシーンは毎回泣けます。その後、怒濤のミュージカルシーン。ミュージカルはこうでなくちゃという感じの良い出来です。いくつかのナンバーが展開するのですが、どれも名曲。そして「海へ」。すごく楽しいです。劇場という枠をはずした演出。これもいい感じにはまってます。そして、その演出が、オマージュというよりもはやパロディかと思うくらいのベタなアメリカミュージカル映画の演出です(皮肉としてではなく、なんか、ほほえましい感じ)。エンディングは、再び劇場に戻ってきますが、先のオマジュ全開で、わくわくします。
よかった…けど!
音楽もミュージカルのシーンもすごく楽しくて、おもしろかった!
だけど、少し期待はずれなところも…あそこで死ぬ必要はあったのかなぁ?とか息子あっさり戻りすぎじゃない?とか…
自分的には引きこもりのラジオおじさんが好きです♪
すごくカッコよかった!!
もっと音楽とかミュージカルジーン見たかった!!!!
似てない親子。
名画座にて。
なんだか舌を噛みそうな邦題^^;
「新春シャンソンショー」と並んで早口言葉みたい。
劇場を舞台にしているミュージカルっぽい活劇?ではあるが、
様々な要素がテンコ盛りに連なって大作ドラマ並の転がし方。
息子を取り戻すために劇場を再開させようと奮闘する元・裏方
ピゴワルを演じるJ・ジュニョが巧いので最後まで飽きないが
新人歌姫役N・アルネゼデールなどキャストたちの舞台演技を
もっと観たかった気がする。アコーディオンで日銭を稼ぐ健気な
息子ジョジョ役M・ペランが父譲りの美形で可愛すぎるせいか、
どう見てもピゴワルの息子だとは思えないところなんてご愛嬌v
第二次大戦前夜のパリを舞台にしているので、歴史的背景を
把握していれば、さらに入り込める話になるのだろう。
いつの時代にも、こんな風に下町で頑張っている役者勢がいて、
不遇な時代でも、ささやかな楽しみを享受したがる大衆がいる。
それを大切に思う気持ちを演劇人は忘れてはいけないはずだ。
ビジネスとしては全く成り立たない経営を続けてやがて閉館、
不況にあえぐ劇場の実態は昨今の現代に受け継がれている…
哀しいかな、好きなだけではオマンマは食えないんだもんね。
しかしそんな時代だからこそ、今よりもっと劇場演目そのものが
輝いていたような気がするのだ。古臭いお決まりなドラマの中に
そんな時代の空気を感じてほしいと思いつつ作られた感がある。
あまり…役者勢もフランス?的な感じがしなかったうえ(私には)
ミルー役C・コルニアックの声が若き日のM・ブランドの声&喋り
にソックリで(!)もうそう思ってしまったら、最後までずーっとそう
聞こえてしまって仕方なかった(爆)カッコ良かったし、いいのだが。
「巴里の屋根の下」(1930)を髣髴とさせる導入部、
ルネ・クレールファンを喜ばせる作りになっていて良かったと思う。
(親の欲目とはいうけど、子供には好きな事させた方がいいのよ)
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