「「何かを受け取った」ように感じる作品」沈黙を破る J/Shさんの映画レビュー(感想・評価)
「何かを受け取った」ように感じる作品
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迫る視線が、「怪物になるのはとても簡単なことなんです」という言葉に説得力を与える。カメラとスクリーンを通して、イスラエルの元兵士達は自分に語りかけているように感じた。
実際、劇場で観ると、自分と彼らの間にあるはずのカメラやスクリーンは消え去り、人と人との対峙・出会いのような空間が生まれる。皆、等身大の人間として悩み、泣き、悼み、時に何かを諦めたりもしながら、しかし一抹の期待を持って全力で生きている。
占領地で何が行われたのかを、自らの話として語る元兵士たち。そして、封鎖され、非情な攻撃の中、懸命に生きるパレスチナの人々。彼ら1人1人に名前と個性を見出し、「イスラエル/パレスチナ」と総括して思い描いていた世界に、地に足の着いた像を描かせてくれる。
重厚なドキュメンタリーでありながら、無理なくグィと引き込まれ、劇場を出る時に、「何かを受け取った」かのような気持にさせてくれる作品でした。これはイチオシです。
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