「パラレル日本でのお話?」ゴールデンスランバー(2010) 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
パラレル日本でのお話?
首相公選制が実現している時代が舞台。当選後初めてのお国入りの首相を暗殺した濡れ衣を着せられた男の二日に渡る逃亡劇。原作の舞台は、仙台市。映画も、全編仙台での撮影を敢行しています。
映画化を知ったのが先だったか、原作を読んだのが先だったか忘れてしまいましたが、面白い原作を上手く脚本化した映画だと思います。原作の面白さが、上手く脚本に落とされています。良い原作を、脚本化に際してズタズタにした映画とは大違いです。とは言っても、脚本化に際して簡略化された設定もあって、原作では「キルオ」逮捕の為と言う口実で導入されている監視カメラシステム「セキュリティポッド」の件が完全に省かれていました。それと、井ノ原小梅と青柳雅春の絡みはもう少し有ったと思うんですが、映画ではほんの少しに成っていました。とは言え、肝心のところは抜けていないので、かえって良かったのかもしれません。
原作を読んだときはあまり気にならなかったのですが、時代背景が少しバラバラ?な感じがします。現実の世界と比べると、何時の時代なのか時代感がイマイチ不明なんですよね。首相公選制も実現しているので、もしかしたらパラレルワールドの日本と言う設定と考えた方が良いのかもしれません。警察もムチャクチャやってますしね。
さて俳優陣ですが、劇団ひとりはまだギリギリ大丈夫かもしれませんが、堺雅人や吉岡秀隆に30歳の役は、ちょっとキツイのでは・・・(失礼)。お二人とも良い俳優なので、彼らの実年齢に物語の設定を合わせた方が良かったのではないかと思いました。そうすると、竹内結子が辛くなってしまうんですけどね:-p。それにしても、堺雅人は、「南極料理人」のゆるい系の役も良かったんですが、何と言うか、こう言う怒れる必死系・熱血系の役も良いですね。「クライマーズ・ハイ」とか「ジェネラル・ルージュの凱旋」での熱演も思い出してしまいました。
日本の映画も、こう言う面白い作品が生み出せるようになったんですね。原作を知っていても、知らなくても楽しめる作品だと思います。