劇場公開日 2010年1月30日

「原作を読んでからのほうが、より楽しめるかも♪」ゴールデンスランバー(2010) septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0原作を読んでからのほうが、より楽しめるかも♪

2009年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

怖い

幸せ

事前に原作は既読済みです。
『アヒルと鴨のコインロッカー』
『フィッシュストーリー』中村監督作、鑑賞済みです。
原作者、伊坂幸太郎さんが「この作品で自著の映画化は一旦ストップ」
そんな、情報もエンタメ誌から入手済みでした。この作品の出来が、
あまりにもよかったからストップなのか、それとも逆なのか、もしくは
ただ単にストップしたいだけなのか、様々な可能性を予想。

ひとまず、期待のハードルを下げて鑑賞することに決めました(苦笑)

☆彡     ☆彡

伊坂著作中村監督3部作(勝手に命名)
この中で一番、面白かったんですけど!
パンフレット、メチャメチャ欲しいんですけど!
なんで、上映終了後にティーチイン、ないんだよ~~!

上映終了後、
客席から静かに起きた
拍手に乗っかって、本当は
もっと大きく拍手したかったのですが、
控えめに興奮と喜びを表現してみました(苦笑)

大好きな漫画
『ガラスの仮面』で
こんな場面があります。
演出家の黒沢先生が、出演する役者に、
なんの変哲もないライターを見せ質問をします。

黒沢「これはなんだ?なんの形に見える?」

時には横に、時には縦に、時には斜めに、
役者の目から見える角度を次々に変えながら。

役者「ライターです」
答えは、全員おなじ。

黒沢先生は、
「同じライターでも見る角度によって色々変わる」と
役者に説き、マンガ自体は、そこから先に進むのですが、
今作、その“ライター”を“原作”という文字に変えてもらうと、
まさに、ピタリと当てはまる作品になっています。

まさか、どちらかといえば、
政治っぽい重々しい原作を、
このように調理してしまうとは、予想だにもしませんでした(驚)

中村監督。完敗です。白旗です。降参です。参りました。

◇   ◇

『ゴールデンスランバー』を流すのか、
流すならどのタイミングで流すのかも、
注目をしていたのですが、完璧でしょう。
だって、曲が流れてきたとき、ぞくぞくしちゃいましたもん。
あと、こんなの初めてなんですが、曲のおかげもあるのですが、
映画のタイトルコールが表示された瞬間にもゾクッとしちゃいました。

それ以外の音楽も最高です。
オープニング、作中、そしてエンドロール中、
どれもが、この映画作品にはピッタリでした。

◇   ◇

少し役者にも触れさせてください。
中村監督。3部作締めにふさわしく、
最強のラインナップでキャスティングしたのではないでしょうか。

まずエンドロール中に名前をチェック漏れしたのですが、
竹内結子さんの娘役の女の子。今年、堺雅人さんが「天才だ」と絶賛した
『南極料理人』で堺さんの娘役を演じた女の子に匹敵をする上手さです。
ポイントになるシーンで登場しますが、彼女のまったく演技をしているように、
見えない脱力形のお芝居だけでも、注目する価値があります。

そして一番大事な、
主要キャスト2名。これが中村監督作品3作目です。
堺雅人さん『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ジャージの二人』
竹内結子さん『ジェネラル・ルージュの凱旋』『チーム・バチスタの栄光』

だから、互いに阿吽の呼吸が取れる関係になるくらい信頼関係が構築されているんでしょうね。
この監督に任せれば大丈夫!この役者さんなら大丈夫!!って強固な繋がりが。
2人とも、特に竹内さん。役の人物設定もありますが、すごくのびのびと、
演技されているように見えました。『プライド』(月9)以来かな。
一瞬の表情に、とってもキュートなかわいさを感じたのは(笑顔)

他にも、
濱田岳くんは、これで中村監督伊坂3部作完全制覇。
相武紗季さんは、完全にイメージを変えに来ていますね。
人気が落ちてきたときにイメチェンすると視聴者に足元を
みられてしまいますから、後釜もいますし、完璧ではないでしょうか。あとは結婚?

☆彡     ☆彡

『20世紀少年』
『サイドカーに犬』
『クライマーズ・ハイ』

これを意識した(遊び)関係もありました。

ちなみに、2点ほど辻褄があわない場面があります。
1点目は、おそらくCGとするのなら、明らかにおかしいです。
2点目も、おかしいのですが、そのあとに来るシーンとの繋がりを考えて、
あえて、そうしたのかな?と、解釈すると許さざるを得なくなりました(苦笑)

冒頭タイトルの感想、
逆は何度も書いてきましたが、
こんなタイトルをつけるのは、今作がはじめてです(驚)

さぁみなさん、全身の力を抜いて、
リラックスしてスクリーンに集中してください。
大丈夫です!“黄金のまどろみ”は、絶対に訪れませんから(笑顔)

septaka