「設定と脚本が大失敗 それに携帯電話じゃ」さまよう刃(2009) nabe3さんの映画レビュー(感想・評価)
設定と脚本が大失敗 それに携帯電話じゃ
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携帯電話というツールを使っていることが、すべての矛盾につながる。
寺尾聡演じる犯人は携帯電話を逃走先で何度も使用しているのに、殺害される可能性がある少年も潜伏先で何度も携帯電話を使用しているのに、竹之内豊演ずる刑事が寺尾聡に携帯から携帯に電話をしているのに、その履歴が一切チェックされないで話が進行することはシラケテしまう。
携帯から発信される電波をチェックすることも、交信履歴も、通話履歴も、すべてチェック可能だということは、先日の薬物使用で逃走した芸能人の報道で多くの人が知っている。
レイプした相棒が殺害されたことを、潜伏している少年の携帯に連絡する人間は皆無なの?
これがすべて矛盾であり、シラケてしまった。
演出にも疑問がある。
伊東四朗が目立ち過ぎている。
勘違いしないでほしいのだが、僕は伊東四朗が大好きだ。
演技に存在感があり過ぎてしまっているのが気になる。
伊東四朗なら、もっと違う演技ができたはずだ。
かつて、名優の伴淳三郎が人気を勝ち取りはじめ、自信が演技に顕れていた時のことだ。
老いさらばえた刑事の役に不向きと感じた監督は、普通に演じているだけで、なんら問題のない伴をボロクソに罵り倒し、自信を喪失させ、演出を成功させて見事に伴もその作品で受賞に結びついたという例がある。
今回の伊東は演技が上手いし、そつがないし、普通に見ていたら「やっぱ上手い」で終わるだろう。
だけど、それでよかったのだろうか。
主役になるはずの寺尾すら食ってしまうような演技だったことは逆に問題ではないのか。
そんな環境でありながら存在感を示した竹之内の演技は良かった。
これからも大きく期待したい。
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