「カイジはどこだ?!」さまよう刃(2009) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
カイジはどこだ?!
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少年法改正の是非を真っ向から取り組んだ東野圭吾作品。原作本の分厚さを見ると読む気も起きなかったのですが、ここまで単純なストーリーだとは思わなかった。中学生の娘を薬漬けで凌辱された上殺されてしまった長峰重樹(寺尾聡)が少年グループの一人の密告により、復讐すべく少年を探す・・・
映画を観ていて真っ先に思い出すのが“光市母子殺害事件”。最近でも実名を記した単行本の出版差し止め問題によっておぞましい犯罪を思い出した人も多いであろうこの事件。未成年者(刑法での18歳未満)には更生の余地があるため極刑が下されにくいのですが、被害者家族を思うと世論は死刑判決を支持するようになった。そして世の人々は少年法の問題に加えて死刑制度の賛否という問題まで喚起させられ、この作品においても観客が様々な思いを巡らせる仕組みとなっている。
単純明快なストーリーの上、メッセージ色があまりにも強い社会派作品のため、見るべきところは寺尾聡の演技力と彼の絶妙な心理描写くらいであろうか。寺尾聡が良すぎたため伊東四朗や竹野内豊が浮いているような気がしたせいもあるけど、残念なことに、脇の俳優たちの心理変化が読み取れないので、突如仇討ちを支援する側にまわる意味がわからなかったためです。
単純な復讐劇だったら品位を疑うぞ!などと批判的な心と裏腹に、復讐を果たせるかどうかという緊迫の展開。ペンションの父娘にもう少し存在感があればよかったのにな・・・
【2009年10月映画館にて】
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