「主人公より魔女さんに一票」ダーク・シャドウ ふぃあっとさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公より魔女さんに一票
5月15日に、友人に誘ってもらい「ダーク・シャドウ」試写会に行ってきました。…が半月経ってようやくレビューしようという気になりました。
事前に情報をあまり仕入れずに観てきました。ちなみに熱狂的ではないけれど、ティム・バートン × ジョニー・デップの作品ファン。
ネタばれあり、長文コメント失礼します。
観た第一印象は「独特のダークネスな世界観が面白い、出演者も豪華だわ~」。
出演者が女性多いですし、ストーリー的にも女性陣が強いです。
個人的に「ダーク・シャドウ」で気になる事をまとめてみると、
伝わりにくいバーナバスの家族への愛(家族のためと言いながら、普通に自分中心で行動してるような…)
主役はじめ、どうにも「だめんず」に見える男性陣と、個性的な美しい外見からパワーまで、とにかく強い女性陣
ストーリー内でフォローの少ないファンタジー部分の説明(あと少しだけでも、あればいいのに)
R指定はないけれど、意外とあったきわどいセリフや部屋のインテリアがぼろぼろになる位のラブシーン(大人はともかく、小さい子供に見せるのは考えた方がいいかも)
あくまでバーナバス(ジョニー・デップ)が主役で、今回もかなり印象的なルックスでしたが。
でも正直な所、元恋人であり今や強大な敵になった魔女(エヴァ・グリーン)の方が、大活躍でインパクト大。彼女の登場シーンや美しさ、色気のあるポーズ、着ていたドレスの方がよく憶えている。
人物設定で「あれ?」と思ったのは、とってつけたようなキャロリンの狼男の能力。登場シーンからヒントがあったかどうか、私も思い出せないけれど、唐突感が否めない…。
…あと博士(ヘレナ・ボナム・カーター)はあの役割で良かったのだろうか。勿体ない印象。最後の最後で、また登場されるけどあれもどうかと。
いちばんの見所。それは魔女アンジェリーク(エヴァ・グリーン)の、映画クライマックスまでの無敵、無双っぷり。驚くほどご活躍。
なのにその「魔女の最後」がやけにあっさり、意外な人物の唐突な登場&一撃でそのまま終焉…。それまで無双だったのに。
ストーリーについてはせめてエンディングで、「残ったコリンズ家のその後」について少しでも描いてほしかった…。
「物語はその行間を読め」と、映画を観た人それぞれが物語を補完する形もいいとは思うのですが…。今回はどうも、最後は駆け足で説明不足のままストーリーを閉じちゃった印象もありました。
音楽は現代でのシーンでは、カーペンターズなどの懐かしい洋楽が流れて「お、私でもこれ知ってる」というノスタルジー感も感じられ、なかなか好印象です。ただ全体的に、曲のインパクトもあまりない。
くすりと笑える面白い(大笑いではなく)シーンはありました。
マクドナルド看板への解釈(メフィストフェレスの「M」と勘違いする)、屋敷で段ボール箱やタオルの棚に入ってみたり、意中の女性(現代での家庭教師)と二人きりのシーンで、顔を近づけすぎた時の相手の反応を「私の口臭が気になるか」と言うシーン。
しかし全体的にあまり楽しく笑えるシーンは少ない。むしろ苦笑いしそうなシーンが多い。
これは「家族に向けるような愛をもって、何ぞこれというシーンもあたたかい目で見て、あまり考えずにティム・バートン世界に浸ると面白い」映画。
私としては独断ですが、あまりプッシュできないジョニー・デップ×ティム・バートン作品です。