劇場公開日 2010年6月4日

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「少々ネタたぎれ気味。」セックス・アンド・ザ・シティ2 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0少々ネタたぎれ気味。

2010年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 前作に比べて、これという波乱もなく、一口にいってアブタビツアーガイドドラマといっていいでしょう。
 シリーズお決まりの旅行シーン。でも今回、旅先でのガールズトークの長くなってしまうのも、メンバーそれぞれに理由があったからです。
 結婚式がドタキャンになったり、浮気が元で別れたりと、次々メンバーを巡る男たちのとのトラブルで、問題が勃発して飽きさせなかった前作と比べて、ネタ切れぎみなのではないでしょうか。これでは前作の後日談、エピローグといっていい内容です。
 もし此の後続編を作るなら、今の4人を隠居させて、新メンバーで新たなSATCを作ってはどうかと思います。

 今回のメインは、「結婚2年目の危機」。どんなに愛し合ったカップルでも、新婚2年目に入ると、日常生活に埋没して、相手をかまうことがついつい面倒くさくなり、互いの関係が冷えてしまうことを意味しています。キャリーとビッグも部屋で過ごすとき、お互いの会話がめっきり減っていたのです。
 仕事に疲れたビックは、キャリーがどんなにせがんでも外食をめんどくさがり、テイクアウトの食事を持ち込んで、テレビを見ながらのカウチポテト三昧になっていたのでした。世のオトーサンなら、これがどれほどの悦楽の時間か共感してしまうところ。男には誰にも束縛されない「ライオンの昼寝」が必要なんですね。
 キャリーからすれば、大きなお荷物状態になって、ソファーやベッドに無言で横たふビックにうんざりといった心境になるのも無理べからずでしょう。ビッグの結婚記念のプレゼントが、寝室の液晶テレビだなんて、考えられますか。

 そんな倦怠期のふたりに変化が生まれます。
 たまたまキャリーが、単身元のアパートに泊まり込んで仕事をこなしたことから、ふたりの関係に距離が生まれて、新婚当時の新鮮な感覚を互いに呼び覚ますことに繋がりました。
 そこで週2日は別居して、カウチポテト三昧を楽しみたいとビックは、キャリーに提案するのです。子供も作らないことも、夫婦の関係も自分たちで決めればいいじゃないかというビックに渋々キャリーは認めるのですが、別居が習慣化すれば、お互いダメになるかもという不安が、旅先でキャリーを饒舌にさせていたのでした。、

 実につつまされるエピソードではありますが、SATCとしては、なにやら所帯じみた話になっていないでしょうか?
 波乱要素としては、キャリーが旅先で偶然元彼と再会して盛り上がり、思わずキスを交わして罪悪感に悩むというくらいなんです。
 予告編では、世界同時不況の煽りを受けてミスター・ビッグも経済的にピンチとなり、それがキャリーとの関係に暗雲をもたらすと説明されていました。実際は、なんてことない、ちょっと居場所を予定よりも安いところへ決めただけ。それでもなかなか豪華なマンションです。ビッグの経営も安泰でした。

 弁護士のミランダもキャリアと家庭の両立をたやすくやり遂げて、前作ほどに深刻にはなりませんでした。シャーロットも、一見優しい夫と可愛い子どもに囲まれた幸せな結婚生活に見えて、ボイン過ぎるベビーシッターを雇ったために、夫が誘惑されそうになるというピンチを迎えます。しかしこれも、ベビーシッターに理想の男性が登場して、あっさり解決。前作だったら絶対に一波乱ある展開でした。

 唯一気を吐いているのは、サマンサ。自ら選んだ独身生活を徹底エンジョイしようと、カバンにコンドームを潜ませて、盛りのついた雌猫のように目をつけた男に飛びつくところがなかなかユーモラスでした。
 なかでもアラブに入ってからは、サマンサの奔放さは、地元のイスラム教徒に目の仇にされます。腕っ節のいいイスラムの男衆に抗議されて囲まれても、コンドームを振りかざし、セックスアピール。そのセクシーさを露骨に振りまくことで、猛然と反発するサマンサは、筋金入りのフリーセックス闘志でありました(^^ゞ
 さすがに浜辺でエッチしたことで当局に捕まってしまうですが、それもすぐに釈放になってしまいます。もう少し全員が戻れなくなる決定的なピンチが欲しかったですね。

 それと意外だったのが、イスラムの男衆に追われる4人を匿うことになる、黒服面に包まれたイスラムの女たち。こっそり手招きされた彼女たちの集会所で何が始まるのかと思いきや、黒服を脱ぎ捨てた内側から、次々にカラフルなブランドファションが露見。
 なんと彼女たちの集まりは、敬虔なイスラム教徒にして、ブランドファションを楽しみ、情報交換する場でした。当然NYにも強い憧れを持っていたのです。

 オシャレには、国境も宗教も関係ないのと訴えかけているようなストーリー展開でしたね。今回もファションに疎いむ小地蔵が見ても、豪華絢爛なファッションが次々登場。それをスマートに着こなす4人のフォルムは、男が見てもカッコイイと思います。

 その豪華なファッションの背景となるアブダビへの旅も、SATC史上でも特筆するほどのゴージャス。なにしろサマンサが仕事がらみでアラブの富豪に招待されただけに、夢のようなツアー内容なんです。見ている方も4人メンバーのエスコートで、楽しめます。 飛行機は個室のスーパープレミアムシートだし、お出迎えは1台ずつ超高級車に運転手付き。そして部屋と来たら、ワンフロアをぶち抜いたスーパースィートルーム。それだけではありません。独りひとりにイケメンの客室係が付いて、メンバーのボルテージは上がりっぱなし。何しろ一泊2万2千ドルという破格の部屋でしたからね。

 まぁ、最後にビッグも反省して優しさを発揮。倦怠期には適度な距離も必要なのでしょう。キャリーに謝罪するところは、ホロリとするかもしれません。それがSATCのラストとしてどうかなとは思いますが。
 ということで超豪華な旅とファッションを楽しむための作品と言っていいでしょう。

追伸
 ところで、小地蔵もI LOVE N.Y.ですよ。(「流山」を愛していますという意味。)・・・(^^ゞ

流山の小地蔵