クヒオ大佐のレビュー・感想・評価
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おかしさと哀しさ
見る前は、脱力系の映画だと思ってた。
だって、堺雅人演じるどう見ても日本人が、片言の日本語を話す偽アメリカ人に扮するのだから。
しかし、実際見てみると、おかしさの中に哀しさ溢れる作品だった。
クヒオ大佐は過去のコンプレックスから、最後まで虚像を演じ続ける。
松雪泰子演じる弁当屋の経営者も、おそらく騙されていると分かっていても、お金を貢ぎ続ける。
満島ひかり演じる博物館員も、この偽アメリカ人の事が気になり始める。
登場人物のほとんどが、何かしら負い目を持っていて、コミカルに描いているのだけれど、それがさらに哀しさを色濃くしていて、やるせなさを感じた。
でも、基本はコメディなので、考えてしまう部分を感じつつも、楽しんで見れた。
夢に敬礼
パンフレットによると、
吉田大八監督は、
「クヒオ大佐の滑稽でどこかチャーミングな詐欺師のテクニックを独自のテンポ感で演出し、
オフビートな笑いと感動をひきだした」
.
「クヒオ大佐と女たちのやりとりをそれぞれのラブストーリーとして見せ、
さらにLAでロケをした心おどるアクションシーンや、
クヒオの内面のドラマを挿入して、
さまざなトーンをちりばめたエンタテインメント作品にしあげた」
のだそうだ
つまらないコピーをつけられていて、
不愉快きわまりない…
表面上のことばにまどわされる若者が多いということなのだろう
.
.
「つらいときは空をみるんだ!」
.
ほんとうは軍人じゃないクヒオが、
ひ弱さが知れてしまうこともおそれずに、子どもを虐待している父親につかみかかる
「 空を !」
だけど子どもは、
虐待の父親のもとにもどるしかない
そんなことはクヒオだって知っている
.
子どものころ、
クヒオの無邪気な逃避方法は、
たしかに「空をみること」だった
つよい
つよい
戦闘機がひたむきに横切る空
でも、
そんなことですくわれやしないことも、
彼はだれよりしっていただろう
たすけられなかった母親
たすけてもらえなかった自分
かなわなかった子どものころの理想
.
彼は、
女の想いをかなえられるような男になりたかった
自分の滑稽さなどかえりみないほどに
.
おんなたちは、
自分の想いがかなうと思いたかった
自分の滑稽さなどかえりみもせずに
.
だけどなにひとつ、
想いはかなってはいない
でもそんなこと彼らはわかりたくない
だれも彼らに真実などしらせなくてよい
.
しのぶからのクヒオへの敬礼
軍人でもなんでもないクヒオへの敬礼
まだ夢からさめようなんて思ってない
これ以上ないくらいの愛の行為
.
おろかな夢としりつつも、
夢をみつづけることをえらんだのだ
.
.
人間ドラマとすれば、そこそこ秀逸。
女子も(?)、制服が、オ好き?…
コレが、(細部は、違うにしても)現実に有った事件だ、ってんだから、驚かされるし…可笑しくも、悲しくもなる話…
ああいう犯人(?というか、一部詐欺師的性格の人物)は、自身が創りあげた物語を自分も信じきるというけれど、「そうなのかもなぁ…」と思わせられた…
知識や情報が、少なかったり、無かったりすると、簡単に騙されてしまうけど、
ヤッパリ(?)、「少しばかり、知っている」というのが、「一番ヤバいんだろうなぁ〜、本物を知っとかなきゃあ…」…みたいな教訓めいたものまで、感じさせられた。
案の定(?)、"モノホン"を知っているらしきクラブ嬢(?)に、事実が、バレたあたりから、歯車の狂いだすクヒオ大佐役の
「堺雅人」さんが、ウンナンのウッチャンこと「内村」さんがコントをやっているみたい(…実際、「似てる!?」って、思った人も多かったかも?…)
に、思えてきて、
「もっと、ドタバタにならんかなぁ?…」と熱望したけど、そこは、実在の事件だから、しょうがないにしても、…あのギリギリの"可笑しさ"は、本物の事件の方の"奇妙さ"をも強調していて適役だったかも?とも思えてきたものの、
関係無い(?)、学芸員役の
「満島ひかり」さんまで(?)、「田中麗奈」さんのパチモン(←失礼!)に見えてきてしまいました。(←きっと、思い込みでしょう…)
公開から、だいぶ経っての、このレビューも、「コピー商品の話」の流れで、フッと、作品を思い出したからなのでした。
本物の事件での被害者(?)の女性達って、(こんな事を言ったらアレだけど…)ある意味、犯人(?詐欺師?)と同じ夢を見た(見ようとした?)"共犯者"だったんじゃ、なかろうか?
あるいは、現実(から)逃避(したかった?)者で、現実(から)逃避(するしかなかった?)者達だったのかもしれない…などと思えてきてしまいました。とサ
意外と深い映画
他の映画レビューでも同じ投稿をしているのですが、
この映画の良さが伝わっていないような気がして残念です。
この映画は、政治的メッセージが含まれていると思うのです。
湾岸戦争でアメリカに言われるがまま、お金を出した日本。
当時の日米関係になぞらえて、
クヒオとクヒオに騙される女達の関係を
コミカルに描いている作品です。
テンポ良い笑いと終盤に向けての切なさ
が上手く交じり合いっている。
最近の映画では抜群に面白いと思う。
映画よりも実話のほうが…
うーーーん、、、
なにぶん、これは実話のインパクトが強すぎるせいで、
“ヘンなもの期待値”が高すぎたのかもしれません。
意外とあっさり良い話にまとまっていて、
「実話のほうがもっとヘンだよーーーー」とちょっと肩透かしでした。
だって、
「エリザベス女王の親戚で、カメハメハ大王の血を引く、
アメリカ空軍パイロットのジョナサン・エリザベス・クヒオ」
なんて、普通、信じますか??
しかも、米空軍のIDカード(?)は、カタカナ書きでパウチされたシロモノ。
こんな“ありえねー”状況なのに、
女たちはあっさり騙されちゃったんですよね、、、
そして、かくゆうワタシも、
「ちょっと騙されてみたーーーい」と思ってしまったかもしれません。
実際に騙された女の人たちはどう思ってたかわかりませんが、
ここまでバカバカしくなると、もう、「夢を買う」とゆう宝くじレベルのお話。
だったら「いっぺんくらい騙されたいわ」と思うのが人情じゃあありませんか
(ってワタシだけ???)
とゆうわけで、実話のほうが百倍は面白いはずなので、
この映画の原作になった「結婚詐欺師 クヒオ大佐」を読んでみたいと思いまーす。
ちなみに、この映画をつまらなくしてる大きな原因の1つは、
松雪さん演じる弁当屋の女社長が綺麗でおしゃれすぎるトコでしょう。
もっと、イタい感じにしてほしかった、、、
同じく吉田八大監督の「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の永作博美さんぐらい
思い切りよくやってほしかったです。。。
堺さんの演技がにくめない
動けば動くほど。。
…もちろん、期待していた作品。
なんなんだ、こいつ~^^;
冒頭の第一声からしてそう思ってしまう。
バカらしくて情けなくて、それでも本人は懸命に
誇らしげに闊歩していく。あの制服姿…。爆笑。
騙される女たちが悪いのか。いやいや。
このヒトどう見ても日本人だし、英語ヘタクソだし、
おそらく普通の女性なら見抜けたはず…。
あ、あと同業者系か?(中村優子、新井浩文etc)
自分の悲しい過去をひた隠し、アメリカ軍人に
なることで、なにか途轍もない夢への一歩を実現
…していたんだろうか。このクヒオさんは。
いや~自分に置き換えると、怖い話なんだけど
これが実話というのだから(詐欺の意味では)凄い。
なにかこう…心に隙がある、穴があるというか、
そのポッカリ感をイスラエルの上空から狙うのか?
しかし、あのラジカセには大笑い^m^
あらゆる小道具、シチュエーション、のすべてが
「できていない」感、まる出しなのだ。
それなのに…どうも憎めないのは、この大佐を
演じた堺雅人の愛らしさ?なんだろうか…。
彼が懸命に騙そうとすればするほど、ボロが出て、
どツボに嵌っていくのに、まだめげない。まだ次。
制服を変えて、両腕を肩からあげてフリフリ、
堂々と闊歩する彼の後姿は毒キノコより逞しい!!
騙された女性たちが可哀相とか、
そんな風に微塵も思えないところもなんか笑える。
私はヒロインの弟とのやりとりにいちばん笑えたが、
笑うに笑えない切なさがその悲哀度を増している。
鑑賞後に某サイトで御本人の写真を拝見。
え?このジジイが^^;と思ったらさらに切なくなった。
(ところで松雪泰子は弁当屋専門女優になったの?)
夢中になってる人の愛くるしさ
僕は実際のクヒオという詐欺師は知らなかったし実在してしかも被害者がいたのが信じられない。この映画は冒頭の一悶着からその理由をアメリカへの憧れとしたんだと思っていた。
しかし観た感想では違うように思った。詐欺師は憧れを持っていたようだが被害者はそういうある意味役に没頭している彼に好意をもったからという切り口にしているとお見受けしました。だからこの映画はコミカルな恋愛映画としてとらえられると思う。
しかしそうなると冒頭にあった「日本人は負けたことに気づいていない」という部分が見えてこないかったのが個人的には残念でした。もっと日本人が知らず知らずにもっているアメリカへの憧れを示すエピソードや町の様子などを見せて欲しかったです。
ただ対米の関係をキャバ嬢との関係にみたてたとこや、詐欺師がアメリカへの憧れを持つようになった過程は興味深かったしウルッときました。
監督が言っていたようにこの映画を観てクヒオ大佐のことを好きになればいいと思います。松雪泰子、満島ひかりや小嶋の演技に注目です。あとちょっと対米関係について考えて貰えれば!!
アメリカ人になりたかった男の悲喜交々
クヒオと名乗る詐欺師、決して天才的な能力があるわけではない。むしろ、詐欺師の落ちこぼれである。昭和70年代といえば、海外旅行はまだ一般的ではなく、日本人のアメリカ人に対する憧れやコンプレックスがまだ色濃かった時代だ。国際結婚に憧れる女性も多かっただろう。米海軍パイロットを名乗りながら、まったく英語が話せなかった男に引っかかったのは、そんな背景があったのかもしれない。
しのぶの弟にいきなり英語で語りかけられてガチガチに固まるクヒオが笑える。どんなに取り繕おうとしても、彼のパイロットとしての知識は経験ではなく、書物などの丸かじりなのだ。
正体がバレても逃げ出さないのは、単に女を騙そうとしたのではなく、一生懸命、米軍パイロットになり切ろうとしていたのではないか? 謎を残したままエンディングを迎えるが、解釈はいろいろで愉しい。(松雪泰子の、ちらっと敬礼のような仕草がヒントかも・・・)
境雅人の出演作は、どれも淡々とした内容ながら、観終わって数日経ってから、じわりとジャブが効いてくるような作品が多く、点数がつけづらい。(笑)
クレイジーケンバンドによるエンディング・テーマは、気品ととぼけた味を併せ持ち、この作品にぴったりだ。
kill you!!!
堺さんの表情最高!
堺さんのくるくるかわる表情に釘付けになりました!映画自体は何路線なのか、よくわからなかったような気がしました。とても不思議な映画です。
3人の女性がでてきますが、2人ぐらいにしぼって、もっとクヒオ大佐の心情を吐露する部分や幼いころのことを深めてみてもよかったのでは?監督が何をねらっていたのかがよくわかりませんでした。でも、堺さんの演技力としのぶの弟役を演じた新井さんがよくて、楽しめました。おすすめです。
詐欺は大罪 クヒオ大佐
すべてを笑い飛ばす勢いのある映画ではない
実話が元ネタの詐欺話なので
だまされる立場にたつと、ツライ
詐欺話は、詐欺の華麗な内容に舌を巻いて
『これならだまされても当然だ』と
誰もが感服するところに面白さがあると思うが
この作品は、そこのところは逆のアプローチ
『こんな幼稚な方法なのに騙されるなんて』
『笑っちゃう』べきなのだが
騙されるほうが、あまりにまじめで
一般庶民なので笑い飛ばせない。
取るに足らない政治家や、悪い人間を騙すのであれば
多少スッキリするだろうけど、
それじゃ普通だから面白くないんだろうなあ。
騙されて、詐欺だと分かったとしても
それでもなお詐欺師を好きでいられたのなら救いはあるかも
現実の話でもそうであってほしい。
いやいや、それは騙されつづけているだけ?
どう転んでも救いはないの?
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