「夢に敬礼」クヒオ大佐 Maki69さんの映画レビュー(感想・評価)
夢に敬礼
パンフレットによると、
吉田大八監督は、
「クヒオ大佐の滑稽でどこかチャーミングな詐欺師のテクニックを独自のテンポ感で演出し、
オフビートな笑いと感動をひきだした」
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「クヒオ大佐と女たちのやりとりをそれぞれのラブストーリーとして見せ、
さらにLAでロケをした心おどるアクションシーンや、
クヒオの内面のドラマを挿入して、
さまざなトーンをちりばめたエンタテインメント作品にしあげた」
のだそうだ
つまらないコピーをつけられていて、
不愉快きわまりない…
表面上のことばにまどわされる若者が多いということなのだろう
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「つらいときは空をみるんだ!」
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ほんとうは軍人じゃないクヒオが、
ひ弱さが知れてしまうこともおそれずに、子どもを虐待している父親につかみかかる
「 空を !」
だけど子どもは、
虐待の父親のもとにもどるしかない
そんなことはクヒオだって知っている
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子どものころ、
クヒオの無邪気な逃避方法は、
たしかに「空をみること」だった
つよい
つよい
戦闘機がひたむきに横切る空
でも、
そんなことですくわれやしないことも、
彼はだれよりしっていただろう
たすけられなかった母親
たすけてもらえなかった自分
かなわなかった子どものころの理想
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彼は、
女の想いをかなえられるような男になりたかった
自分の滑稽さなどかえりみないほどに
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おんなたちは、
自分の想いがかなうと思いたかった
自分の滑稽さなどかえりみもせずに
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だけどなにひとつ、
想いはかなってはいない
でもそんなこと彼らはわかりたくない
だれも彼らに真実などしらせなくてよい
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しのぶからのクヒオへの敬礼
軍人でもなんでもないクヒオへの敬礼
まだ夢からさめようなんて思ってない
これ以上ないくらいの愛の行為
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おろかな夢としりつつも、
夢をみつづけることをえらんだのだ
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