「なんというかこう、熱の無い続編」パイレーツ・オブ・カリビアン 生命(いのち)の泉 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
なんというかこう、熱の無い続編
実を言うと……
自分、本作を観た時点で2,3作目を観たことありませんでした。
1作目は楽しめたけど、それ以降は何となぁく観る気が起きず
(話の流れくらいは知ってたけど)。
本作公開にあたって『どれちゃんと予習しておくかい』と
レンタル店へ行ってみたが、これがなんとひとつ残らず借りられていて唖然。
あらまあ。
という訳で今回は、1作目の記憶を辿りながらの鑑賞となった。
シリーズファンの方々からは今回概ね好評のようだが……
個人的にはイマイチかな。
ファンの方にとっては『ジャック船長が帰って来た!』とか
『また海賊達の派手な冒険譚が観られる!』という嬉しさがあるんだろう。
けどジャック船長、でずっぱりの割には
映画全体であまり目立った働きをしてないような。
や、『しっかり働いてるけど目立たない』と言った方が正確か。
冒頭の脱出劇も、
偽スパロウとの剣戟も、
人魚を追い払う為の決死の策も、
目も眩む高さの崖からのダイヴも、
最後の“生命の泉”での行動も、
演出が淡白すぎてその危険さの度合・切迫感が伝わらない。
黒ひげが独りで船員の反乱を食い止めるシーンはちょっとワクワクしたし、
人魚の襲撃シーンもスリリングで良かったが、
他の見せ場は早くも僕の記憶から消えかけている。
全体に、なんかこう、熱が無い。スリルが無い。
脚本の『ここでこういうアクション入ります』という文字を読んでる感じ。
あと新登場のキャラ達。
自分を悪党だと自覚している黒ひげは清々しいほど凶悪で良いが、
その娘アンジェリカについては、『実の娘では無いかも』
というくだりは必要だったのかな。結局サスペンスにも繋がらなかったし。
宣教師の兄さんも己の信仰に対する悩みを抱えてたと言うが、
何を悩んでいるか殆ど描かれないのではシンパシーを抱くのは難しい。
冷酷な黒ひげ相手に一歩も退かず啖呵を切る姿や
人魚シレーナへの真摯な立ち振舞いがカッコイイだけに、
『もっと話に活かしゃ良かったのに』と残念に思う。
シレーナもパーソナリティが見え辛かった。
他の人魚とは違う、と宣教師は言ってたけど……『恋は盲目』と申します。
僕にはその違いがあまり分からず。
一言で纏めると、
話を詰め込み過ぎてキャラ描写不足+活劇としての演出不足、かなあ。
つまらなくは無いが、エンタメ映画としての面白さは
1作目の8,9割くらいにダウンしてる印象です。
<2011/5/22鑑賞>