「音楽は偉大だ。 それを再確認する映画。」パイレーツ・オブ・カリビアン 生命(いのち)の泉 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
音楽は偉大だ。 それを再確認する映画。
そして、DVDでは、『レゴ・パイレーツカリビアン』を楽しむ(^-^;。
映画本編は、なぁんだ、こりゃ。
物語はお宝を求める冒険ものに戻った。だから、純粋にワクワクするかと思ったけれど…。
人物造形が、中途半端。
特にグダグダになっているのが、アンジェリカ。クルスさんの美貌を活かしてか、魔性の女っぽく登場するのにそれが続かない…。
エリザベスの方が活き活きしていたし、海賊に憧れて飛び出しちゃうお転婆と、ウィルとの恋とか、女の子が共感しやすかった。と同時に3部作の筋の迷走とともに、何を考えてるんじゃと言いたくなるような小悪魔ぶりも。
そんなエリザベスよりも、アンジェリカの方がかなり手管がうわて風なのに、思わせぶり。魔性の女ぶりも『シカゴ』の二人に比べたら全然魔性じゃない。父の言いなりだし。全然魅力的じゃない。加えて、海千山千を匂わす場面と、父を思う娘ぶりが、一人の女性として統合されていない。今回、ペネロペさんの妹モニカさんがアクションシーンを代役したときいたけれど、アンジェリカも二人いるのかと思ってしまう。
黒ひげもねぇ。1作目のバルボッサの方が迫力があった。
父としての黒ひげもねぇ。ウィルパパやエリザベスパパを思い出すと、なんじゃこりゃ?
他にも、あの人も、この人も…。
下ネタっぽいものを挟み込みながらも物語は子供向け。登場人物をくれよんしんちゃんやドラえもん、ポケモンにしたって通用するような話。ひねりがない。
前作がひねりすぎて話が散漫になっちゃったからなのかな。今作も結構大風呂敷広げてその設定を活かしきれていない。
唯一、すてきだったのは人魚のエピソードかな?
(バルボッサのファンだったりもする(笑))
アクションは、大がかりなものより、シャンデリアとか椰子の木を使った場面の方がワクワクする。あんなアトラクションがあったら、ってアスレチック等である程度までは真似できそうだ。
場面場面の映像はきれいだし、胸躍る冒険活劇まではいかないけれどそれなりに見られる。
でも、全体をつなぐと、とたんにしょぼくなる。「クリアすることが困難を極める」という説明セリフのわりには、そう大変に見えない。スパロウ船長ならではの機転というより、ごく普通の冒険活劇の主人公の行動になってしまっていて、他の人物でもいいんじゃないの?って言いたくなる。
空撮のシーンとか、『ハリポタ』?って、見間違いそうになった場面もあるし。
そうか、『シカゴ』『NINE』の監督か。
『シカゴ』も『NINE』も舞台ミュージカルの映画化。『シカゴ』もミュージックビデオをつなげたようだったし、特に『NINE』は、ミュージックビデオを繋いだような映画だったからなあ。でも、『シカゴ』も『NINE』も、ブロードウェイで磨き抜かれたナンバーと人物造形・筋で、素材そのものに迫力がある。
けれど、この『生命の泉』は書き下ろしの脚本。『パイレーツ~』前作同様、練る暇がなかったのか。整合性がないところがチラホラと。
と、観ているうちに飽きてきてしまうのに、あのテーマソングが流れると、気持ちが高ぶってくるんだよね。やっぱり、音楽の力ってすごい。
残念な気持ちで終わりそうになりましたが、『レゴ パイレーツオブカリビアン』は面白い。短いコントネタが続くのだけれど、これがあるからDVDを手放せません。